奥武蔵ハイキングその24(親鼻駅 〜 龍ヶ谷城跡 〜 古峯神社 〜 釜伏峠 〜 寄居駅)

年月日: 2017年11月12日(日)

行程: 親鼻駅(08:54)〜角山(09:42)〜龍ヶ谷城跡(10:10)〜ハギノソリ峠(10:34)〜古峯神社(11:00)〜三沢川の谷から釜伏峠に向かう車道出合(12:30)〜廃林道経由で二本木峠の北で車道に抜ける(12:18) 〜釜伏峠(12:50)〜寄居町・東秩父村境界尾根を下って舗装林道出合(13:30)〜大宝地区経由で県道294号(13:55)〜寄居駅(15:24)

行ってみたいところが無くはないが、仕事でもないのに未明に起きて時間と金かけて移動したあげくに気疲れするのかと思うと、出かけるのが億劫だ。よほどの好条件が揃わないと山歩きに行く気力が湧かない。12日は風が収まり快晴の予報。狩猟期間に入る前の藪歩きの最後の機会でもあるし、奥武蔵で紅葉の見納めしようと、地形図だけ見て人に会わずに済みそうな場所を物色。

親鼻駅近くから取り付けそうな未訪の比較的長い尾根に着目。三沢川と田野沢に挟まれた尾根は広葉樹の森が期待できそうだし、標高400mの神社マークも気になる。素直に辿れば車道を2回横断して皇鈴山の北側に登りつめる。2回目の横断は傾斜がきついので道路に這い上がる感じだろう。多くのハイカーが居そうで且つ訪問済みでもある皇鈴山には行かず、最初の車道交差点から未踏の林道を辿って南下して二本木峠北側にある未訪の654.9mピークに寄り、車道を北進して釜伏峠に至り、2年前同様に東秩父村と寄居町の境界尾根を下って大宝地区に抜け、県道を歩いて寄居駅に向かう計画である。

事後にウェブ検索して少なくとも3つの先行例があることが判った(本記録の末尾参照。)。先行者が言及していないことを主に記す。

熊谷駅で秩父鉄道07:41発の便への乗り換えに9分の余裕があったのだが、いざ入口に行ってみてびっくり。熊谷運動公園で高校生を対象とした弓道の審査会が催されるらしく、券売機前に弓を持った高校生が長い列を作っていた。結局予定していた便には乗れず、次の08:00 の便で親鼻に向かった。SUICA/PASMO が使えればこんなことにならずに済むのに。どのくらいの投資が必要になるのだろう。

荒川散策の一環で2011年に親鼻駅を利用したことがあった。今回の取り付き予定地までの道筋はそのとき歩いた道筋と同じ。国道交差点より先は2年前にも歩いたことがあってスムーズに進行。三沢川を渡った先に廃業した「民宿旅館 多加」の建物があり、その先で半分薮化した道が山側に上がっていく。

遺棄されたマイクロバス
       

この民宿旅館は今でもウェブ上のいくつかの宿泊情報に記載されているのだが、いつごろ廃業したものか。道の藪化状態から推測すると10年程度は経っていそうだ。部屋数11で70人程度は宿泊できたらしい。

刈り払いされた跡を辿っていくと奥にもう一台バスが遺棄されている。その近くのアズマネザサ藪の薄い場所から取り付いた。尾根上は藪薄く、辿るのは容易。山道らしきものがあるが最近誰かが訪れた形跡は無い。今日の山歩きはこんな感じで推移するのかと思っていたら、案内標識が出現。


なんと、ハイキングコースであったとは。北側に登り口が存在するようだ。拍子抜けした反面、史跡の存在に興味が湧く。まずは270m級ピークへ。地形図に記されている建物は傾いた琴平神社であった。その先に続く踏み跡を辿って鞍部に下り、登り返して261.9m三角点ピークに立ち寄り。三角点ピークには何も案内がないが、次に見たハイキングコースの案内板に拠ると角山(つのやま)と呼ばれているらしい。

琴平神社
角山(261.9m三角点ピーク)
         


龍ヶ谷城跡に向かうには角山から琴平神社に登り返す必要はなく、鞍部から斜面を横切る細い道を辿って尾根道に抜けることができる。

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龍ヶ谷城跡に向かう尾根道


期待した通り、広葉樹に被われた尾根は紅葉の盛り。鮮やかなカエデ類の紅葉を見ることは無く、コナラやシデを主体とした林の中に葉の色が抜けて淡くなっていくタイプの樹種が多い。低木では濃淡および色彩の変化に富むオトコヨウゾメが多いのが特徴。自分好みの雰囲気で、機会があればまた訪れてみたい。


オトコヨウゾメ


皆野寄居有料道路の下田野トンネルの上辺りが伐採されており眺めがよろしい。

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田野沢の谷(皆野寄居有料道路、奥が登谷山)


321mピークの北側は崖になっており、ピークの東側に向けて斜めに登っていく。案内図に拠れば321mピークが龍ヶ谷城の主郭であるとのこと。ピークに説明板がなかったが、三沢川側斜面が城跡らしいので麓に説明板があるものと思われる。

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尾根の北側(田野沢側)は概ね急峻で天然の要害となっている。尾根には複数個所の堀切が認められる。標高270m級の鞍部にハギノソリ峠があり、田野沢側がヒノキ植林となっている。ハギノソリ峠の先はハイキングコースではなく踏み跡が薄いが、藪も危険個所もない。

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緑泥片岩の剥き出しの段差がある場所から先は踏み跡がなくなる。地形図の神社マーク手前のやや勾配のきつい場所に差し掛かると、右側(南側)から深く抉れた廃道が上がってきており、尾根の北側を回り込んで神社に近づいて尾根道となる。現在は小根地区から釜伏峠方面に向かう車道が存在するが、かつては神社を経由する道を利用していたものと推測する。神社の名は古峯神社。緑泥片岩から成る標高400mの平たい岩場の突端にある。神社の南側に小根地区からの参道がある。

古峯神社
       


尾根を進むにつれて廃道は次第に現役の道へと姿を変える。

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伐採後数年しか経ていない若い株立ち


進行方向右側に電柱らしきものが見えるようになると間もなく、小根地区から上がってくる道路に接続する。この辺りにゴンズイの木があった。

林道の接続点(右側が辿ってきた道)
ゴンズイ


道は一応舗装されているのだが、落ち葉が積もった林道のように見える。日当たりのよい場所では落ち葉の上をピンピンと数多くのバッタが飛び跳ねる。イナゴに似るが翅が無い。バッタの仲間で冬を越す種は少ない。ということはこれは成虫か(後日、フキバッタの仲間であることを知った。)。

やがて、道は三沢川の谷から上がってくる車道との交差点に至る。車道の反対側に続く林道は通行止めであり、舗装もされていない。車の往来のない静かな歩きが約束された。林道はしばらく使われていないらしくススキが茂って藪になっている場所もあったが、荒れている場所はなく順調に二本木峠方面に近づき現役の車道に抜けた。

明るいうちに家に帰りたくなり、654.9mピークに立ち寄らずに車道を北上。登谷山の西側は車道からの眺めがよろしい。

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両神山と二子山


残念ながら今年の奥武蔵の紅葉はハズレ年だった昨年よりも冴えない。釜伏峠のイロハモミジの色付きもよくない。男性ハイカーの姿をみかけたので、下の写真を撮影してすぐに踵を返して東秩父村・寄居町境界尾根に向かった。


釜伏峠でみかけた男性が同じルートを辿ってきた(ヤマレコに掲載された当日の記録に拠ると、この方も同じルートで大宝に下山したようだ。)。東秩父村・寄居町境界尾根に達して下り始めてすぐに別の男性と遇ったし、踏み跡も明瞭なので、ここを訪れる人は少なからずいるらしい。

まだ狩猟解禁前。2年前のように銃声に怯える心配はない。既知の場所であり尾根形が明瞭なので地形図を見るまでもなく順調に大宝地区に至り、既に使われなくなった昔の道型を利用して舗装路を短絡しながら順調に県道294号に抜けた。その後の舗装路歩きが長く、舗装路歩きに向かない靴が原因で肉刺ができてしまった。荒川を見下ろす鉢形城跡の殿御殿曲輪東端の東屋で休憩し、着替えを済ませてから寄居駅へ。上流のダム湖が放流しているらしく、荒川には緑色に濁った水が勢いよく流れていた。

寄居駅到着後間もなく15:27寄居駅始発の東武東上線に乗り、順調に帰着。終日快晴が続くかと思われたのだが、電車で南下するうちに奥武蔵上空に雲が広がった。好い時間帯に行動できたようだ。

後日ウェブ上で見つけた、前半に辿った尾根に関する先行記録は以下の3つ。

@ 野老の里(http://blog.goo.ne.jp/tokoronosato/e/8a0d3020ba09c00f6cbd7cef7cfece51)

A 山旅DIARY(http://yamatabi-diary.com/repo-201503kanrinin2.html)

B バテバテ山日記(https://blogs.yahoo.co.jp/waikazu/40484989.html)

山野・史跡探訪の備忘録