寺坂峠 〜 不動岳 〜 塩沢峠(2005年2月)

年月日:    2005.02.11(金)

行程:     寺坂道・永野側から歩行開始・標高約180m(10:20)〜 寺坂峠到着・標高約340m(10:49)〜 421mピーク(11:39)〜 615mピーク(12:26)〜 不動岳到達・標高664.5m(13:50)〜 塩沢峠到着・標高約560m(14:59)〜 塩沢峠・永野側へ下る・標高約270m(15:24)〜 車へ帰着(16:01)

寺坂峠から北北西に向けて標高300m台で始まる尾根は、千部ヶ岳の山塊を取り巻くように、美しいカーブを描いて徐々に高度を上げながら西に向きを変え、最終的に615mピークにて千部ヶ岳から続く尾根と合わさる。

寺坂峠から塩沢峠まで歩けば秋山川と永野川に挟まれた尾根を一通り歩いたことになる。今回もMTB利用だが、最終地点である塩沢峠に車で上がれない点がこれまでと少し違う。最近、高いところから一気にMTBで下って楽をすることに慣れてしまったので、下りで楽できないことが少し悩ましい。塩沢峠の秋山側は歩いたことがあるので、どうせ歩いて下るならば、未訪の落合側に下って峠道の踏破も達成してしまおう。

落合にMTBを置いて寺坂峠に向かう際、急に気が変わって左折して谷倉山に寄り道登山。2時間半遅れで寺坂道に入る。車で峠まで上がってしまうとMTBで戻ってきた時がつらい。暗くなる前に戻ってこれる保証はないので、永野側から寺坂道を少し入った場所(標高約180m)の路肩に停めた。

尾根の北側は冷え込んでいる。朝一で谷倉山に登った時は手袋無しでも平気だったのに、こちらは手袋をしても手が冷えてくる。ガンガン歩くのには好都合な寒さである。汗をかくことなく寺坂峠着。

寺坂峠北側は法面工事が施されており、少し永野側に戻ってから這い上がる。アズマネザサの藪があって嫌な感じだが、少し奥へ進めば薄くなる。踏み跡は無いし見通しも悪い。左手にでんと聳える千部ヶ岳の存在を伺いながら尾根を辿る。大きなアップダウンが無く、藪もたまにスズタケが生えている程度であり、概ね快適に進める。方位磁石で時折方向を確かめるだけで良い。

程なくして広い林道に飛び出る。予期していなかった林道の存在に最初は喜んだのだが、林道は次第に下って尾根から外れてしまう。林道と別れて尾根筋を維持して細い踏み跡を辿る。421mピーク手前だったと思うが、マダニが1匹くっついた。マダニの野郎、年中無休なのか?

421mピークの下方に永野ゴルフ場が広がる。北側の立ち木が払われている場所があるので見晴らしがよろしい。

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421mピークからの眺め 11:39
左から横根山、男体山、高谷山、女峰山、石裂山、671.9mピーク(ハナント山)


466mピークで昼食。強風で寒いので休憩もままならない。この辺りから広い抉れた道跡が現れ、延々と尾根上に続く。抉れ方と風化状態から見て、近年作られたものではないことは確かだ。終点は確認しなかったが615mピーク南側の鞍部を越えて西側に抜けていると思われる。林業関係者のつけた道ではなさそう。昔は尾根上に葛生に抜ける峠道でもあったのか?それにしてはここに至るまで祠の類は全く無い。やたら清涼飲料水の空き缶が目立つ。銃猟禁止区域だからハンターじゃあるまいし、山仕事の連中が棄てていくのだろうか。

527mピークからは鬱蒼とした杉林の中を進むが、道跡は615m南側に登っていく。炭焼き窯の跡有り。ここで道跡から外れて615mピークの北東の鞍部に上がってしまったので、道跡の行方は不明。いずれ千部ヶ岳からも歩いて正体を確かめてみたい。615mの北東にも抉れた道跡が部分的に認められるので北北東の533mピークから来る道跡もあるのかもしれない。

615mピークは重要なポイントだと思うのだが何もない。千部ヶ岳から縦走した者が付けた鳥除けテープがヒラヒラしている。不動岳方面に踏み出して数分で、大釜講中が嘉永七年(1854年)一月吉日に建立した山ノ神がある。保存状態は良好だが、最近祀られている様子は無い。

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12:33


この先、しばらくは起伏の少ない単調な尾根を進む。589mピークから北進してくる尾根が接続する辺りでは南西側が若い植林地になっており、少し藪がうるさい。その先の下りで尾根が二股に分かれる。若い植林地に気をとられて左側に下りそうになったが、左側に589mピークを見てすぐに方向修正。589mピークは存在感が有り、山頂に何かあっても不思議ではない。

不動岳手前の630m級ピークの手前に岩場を巻くところがある。岩がゴツゴツした急斜面で登りにくい。630級ピークはミズナラの落ち葉が分厚く積もった広葉樹林である。ここでようやく本日のターゲットである不動岳を視界に捉えた。主尾根から外れてその北東にも同じくらいの高さのピークが見える。まるで葛生の石尊山と浅間山の関係みたいだ。下野新聞社の栃木百名山の説明を読んで、北東の613mピークが雷電山と呼ばれ地元の信仰の対象になっていることは知っていた。雷電山(613mピーク)はこのとき見ていた目立つピークではなく、さらにその先にちょこんと飛び出たピークである。しかし、当然目立つピークが雷電山であると思い込んだ。

不動岳手前の手前の植林された鞍部で文化六年(1809年)二月に政七なる人物が建立した石祠を見る。当時は植林されておらず、風裏で一等地だったのかもしれない。

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13:36


修験コースらしい雰囲気の岩がゴツゴツした斜面を登り切ったところが不動岳の南側のピークで、不動岳の三角点は北側のピークにある。山頂は周囲より抜きん出ていて植林されていないので、枝越しに周囲の様子を伺える。明るい雰囲気だが、朝登った谷倉山とは違って、狭いし、強風が吹きつけてくつろげない。三角点以外何も無い。麓の信仰の対象でもない。寂しい場所だ。何でこれが名山なの?抗議の意味も含めておふざけ写真を一枚。

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不動岳にて  13:53


葛生・田沼境界尾根の不動岳もそうだが、「不動」なんて名前で期待させておいて実は山頂には何も無い。修験コースとしてただ駆け抜けるだけの場所だったのだろうか。石祠が無いところを見ると里の人に親しまれた山でもなかったらしい。不動岳の北東にある613mピーク(雷電山)は地元(落合)の信仰の対象となっているらしいので不動岳から空身で雷電山を目指した。しかし、行き着いたピークには二重丸の彫られた石柱が一本あるのみ。どうやら雷電山はその先にあるらしい。疲れているのでこれ以上下る気になれないし、期待した場所に神様が無かったので面白くない。天邪鬼なのですぐに引き返した。往復約27分。

不動岳から塩沢峠までの区間に危険な場所はない。塩沢峠経由で訪れる人が多いのか比較的良く踏み込まれている。尾根の雰囲気も素敵だ。やたらと目立つ嫌いな赤テープを除去していたら時間を喰ってしまった。

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不動岳にて  14:59


塩沢峠から落合側へ下る。山陰なので暗いが、風裏になっていて静かだ。ようやく冷たい風から解放された。峠道は秋山側より明瞭である。地図上の破線路は枝尾根の右に下るが、実際に辿った道は左に下っていた。最終的にはどちらに下っても同じ場所に出る。沢底には古いモノレールが敷設されている。

MTB走行は快適だったが、寺坂道入り口で檻の中に飼っている気狂い犬に吠えられて気分台無し。吠える犬は良い人か悪い人か区別しないから困る。飼ってもらえるだけ感謝しろよ。お前みたいなバカ犬は韓国だったらとっくに補身湯に化けて食われてるぞ!

山野・史跡探訪の備忘録