粟野・粕尾境界尾根縦走記録その2(2005年2月)

年月日:    2005.02.27(日)

行程:    林道・羽遠線の分岐(山ノ神)から歩行開始・標高約250m(08:52)〜 新栃木線197号鉄塔・標高約445m(09:27)〜 600mピーク(09:56)〜 縦走最終地点・710m級ピーク北西峰(11:19)〜 南いわき幹線286号鉄塔(12:01)〜 鹿沼・足尾線へ下る・標高約300m(12:35)〜 車に帰着(14:09)

関連記録@ 2005-02-20 ハナント山探訪

土曜日(2月26日)は風が強いであろうから山には行かずに庭仕事や解禁間近の渓流釣りの準備をして過ごし、等圧線の間隔が緩む日曜日に山へ向かった。行き先は、前週ドチョンボで行程短縮してしまったハナント山から北西に横根山に続く尾根である。前週と同じ、上粕尾の日光神社前の公民館にMTBを置き、林道・羽遠線へと向かう。しかし、またしても忘れ物に気づく。地図が無い!釣りならば出かけるときから興奮状態なのだが、山歩きは歩き始めるまで気が重い。元々健康維持と廃なるものへの憧れが原動力だから、気乗りのしないときは準備もおろそかになる。小学校でダントツNo.1だった忘れ物の多さは今も健在。

地図が無くても目的地までの縦走は問題ない。問題は下山時に正しい尾根を辿れるかどうかだ。破線路をうまく見つけることができればなんとかなると思われるが、その保証はない。幸い、急斜面が少ない山域であるので間違えても命に危険はあるまい。頭の中にあるおぼろげな地図を頼りに歩くことにした。

08時52分 林道・羽遠線の分岐(山ノ神)から歩行開始(標高約250m)。   前週の日曜日は春の到来を思わしめるくらいの暖かさであったが、今回は非常に寒いので少し億劫だ。襟巻き兼汗拭きであるタオルを忘れたので余計寒い。風が吹いていたら絶えられず中止するところである。

前週下った巡視路を辿って尾根上に上がり、新栃木線197号鉄塔・標高約445mから尾根歩き再開。尾根上には古い道跡あり。ここから600mピークまでは延々と緩い勾配の杉の植林地の中を歩く。遠くで犬が激しく吠える声が聞える。前週もハナント山の下りで同じ吠え声を聞いた。

600mピークの南側は自然林で明るい。梢越しにハナント山も見える。しばし佇むうちにだんだん犬の吠え声が近づいてきた。気が狂ったように吠え続けている。急に不安になってきた。既に狩猟期間は過ぎている。吠え声の近づくスピードが速いのでハンターが伴っている犬ではないはず。ということは野犬か?野犬が野生動物を追いかけているのだろうか?もしそうなら極めてまずい事態といえる。大型の野犬の群れに襲われたら勝ち目は無い。

もう手遅れだとは思ったものの、尾根から逸れてしばし斜面を下ってじっとしていた。臭いを辿って真っ直ぐ近づいてくる。鈴の音も聞えるので生まれながらの野犬ではないらしい。少しほっとした。正体は2頭のビーグル犬で、首に発信機らしきものをつけていたので猟犬のようだ。奴らはこちらを見て激しく吠え立てるものの、獲物とは思っていないらしい。かといって、友好的な雰囲気でもない。しばし自分に向かってさんざん吠えまくった後、落ち葉に残る何かの匂いを嗅ぎながら東側に去っていった。バカヤロめ。奴らはいったいどこからやってきたのだろうか?ハンターの姿は見えなかった。

600mピークを北西に向かうと小ピーク上に石祠が一基有る。彫り文字は無く年代も建立者も不明。向きから判断して昔の水沢地区の住民が祀ったものであろう。

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10:13


石祠を過ぎると急降下。その次に尾根上の臍ともいうべき地形(凹地)がある。縦走を計画時に地図を見てどうしてこんな地形が自然にできあがるのか不思議に思い、今回の山歩きで最も楽しみにしていた場所であった。しかし、悲しいことに地図を持たずに植林地帯を歩いているので肝心の場所の東側の尾根鞍部を歩いていることに気づかなかった。先ほどの猟犬2匹が吠えまくりながら南西側斜面を北に向かっていくのが見えた。後で地図を見て気づいたのであるが、犬が通って行った場所が臍であったようである。

目の前にはどっしりした植林の山が待ち構えている。尾根の北東側斜面には未舗装林道が上がってきており、うねうねと656.4mピーク上に向かっている。雪上には真新しい轍があった。確か縦走コース上に三角点があったはずと思ったが、地図が無くて確信が持てず、探しもしなかった。林道は山頂をかすめてさらに北西に向かい、植林地のトンネルを抜けて南いわき幹線284号鉄塔・標高約640m)に至る。

石裂山を眺めながらしばし休憩。林道はさらに北西に向かうが、尾根筋から外れる。緩い傾斜のスギの植林地の中を下ると、鞍部に林道・横平線のカーブがあり、そこから2本の未舗装林道が分岐している。林道・横平線は国土地理院の地図に表記されていない。カーブにあった案内図によると、林道・横平線は北村地区から東に向かって上がり、677mピークと656.4mピークの間の鞍部で一旦粟野側に出て、そのまま粟野側の斜面を北西に進み、地図の破線が跨ぐ鞍部で一旦粕尾側へ戻り、一つ山を巻いて最終的に粟野側へ下る。生活道ではなく伐採収穫用に整備した道なので、長くてくねくねとしている。

林道を跨ぎ677mピークを経て710m級南東ピークまで行くと、北東側(粟野側)が若い植林地になっていて眺望がよろしい。特に石裂山の眺めが良い。その先の鞍部には自然にできたと思われる窪んだ地形がある。

次の710m級北西ピークまで行って、その先の鞍部で林道・横平線が尾根と交差しているのを確認して下山する。

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710m級南東ピークから見た石裂山 11:11
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710m級南東ピークの端から見た前日光 11:19


710m級北西ピークに至るまで破線に相当すると思しき道跡はなかった。破線は粟野側から710m級ピーク北西峰に上がり鞍部へ下っているのだが、地図が無いのでそんなこと判るはずがない。鞍部まで下ってみるつもりだったのだが、その近くで犬が吠えまくっているので南東ピークまで戻り南西尾根を下ることにした。

南西尾根は緩い勾配のスギの植林地帯で、途中から古い抉れた道跡が現れる。これを見て、目的の破線を辿っているのではないかと思い始めた。林道・横平線が尾根を回り込むカーブで法面を降りようとして、四十肩を患う左肩に力が入らず、下にずり落ちた。左肩に激痛が走り、右足首も軽く捻ってしまった。カーブから下は旧来の抉れた道跡が送電線鉄塔の巡視路として利用されており歩き易い。

南いわき幹線286号鉄塔(標高不明)で昼食。鉄塔の周囲だけが若いヒノキの植林地なので、尾出山が良く見える。

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尾出山   12:05


巡視路は286号鉄塔で行き止まり。再び植林地を突っ切り、深く抉れた道跡を辿ってどんどん下る。麓の民家の屋根が見え、てっきり北村地区へ向けて下っていると思い込んでいた。炭焼き窯跡を過ぎて、道跡がさらに明瞭になる。ポツンと一つある廃屋の傍を通るが、まだ麓までは遠い。道は尾根先端の西側の斜面にあり、右下に民家を見ながら尾根先端に向けて下っていく。

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炭焼き窯跡   12:26


道は尾根先端で折れ曲がり、民家の傍を通らないと道路に降りられない。民家の庭に犬の姿が見えたのでUターン。幸い風が強くてこちらの物音には気づいていない。民家まで行かずに小屋の前を突っ切り道路に降りようとしたのだが、ついに気づかれた。数匹の犬が狂ったように吠えまくる。

鹿沼・足尾線に降りた場所は目的地の北村地区より下流部のようだ(後で地図で確かめたところ細尾地区であった。)。鹿沼・足尾線を歩いて半縄地区を通り北村地区へ入る手前で、山の上で遭った犬とは別の放し飼いの犬が現れた。ビーグル犬と同じ大きさの黒い犬で、こいつも首輪に発信機が付いている。吠えはしないが背後に回り込もうとする。子供のときに野犬に咬まれた経験があり、背後に回り込む犬は反射的にぶちのめしてやりたくなる。棒で威嚇すると悔し紛れにフンッと鼻を鳴らして離れていった。

バカ犬どものせいでさんざんな山歩きだったが、最後はMTBで快適に下って憂さ晴らし。上粕尾地区は犬を飼っている家が多く、道路を歩いているだけで吠えられる。犬畜生ごときに泥棒呼ばわりされるのは許せないし、民家近くの舗装道路歩きほどつまらなくて不快なものはない。こんな所、二度と来るもんか。

上粕尾地区は猟犬が野放しになっており危なくて歩けない。サルを追い払うのが目的ではないかと推察するが、明らかに県の条例第28号違反であり、事故が起きてからでは遅いので粟野町の保険センターに通報した。指導を徹底し、野犬捕獲担当者、猟友会等の指導担当者と対応を検討するとの回答であった。

参考: 県の条例第28号で、飼い犬の繋留義務が定められている。これに違反すると認められれば六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処せられる。危険な状態にあれば犬を捕獲、捕獲が困難であると認められる場合には毒えさによって薬殺することになる。

山野・史跡探訪の備忘録