雪の小法師尾根(2005年3月)

年月日:    2005.03.26

行程:    庚申ダム駐車場から歩行開始・標高約650m(06:34)〜 巣神山・標高1,226.0m(08:41)〜 破線路終点・標高約1390m(09:39)〜 小法師岳(11:00)〜 破線路終点復帰(12:37)〜 庚申ダムへ帰着(14:30)

風邪でやられた肺が癒えた(発熱しなかったのでインフルエンザではないと思う。)。四十肩は相変わらずだが痛いのが当たり前になってしまっているから、体調は元に戻ったといって良い。あとは鈍った体を鍛えなおすだけなのだが、行きたい所にはまだ雪が残っていて出かけるのが億劫である。今年の降雪量が多かったことは高原山南面にある土上平放牧場の雪の様子を見ても明らかだ。例年、土上平放牧場は降雪する度に数日間だけ白く見えるのであるが、今年は冬の間土上平放牧場から雪が完全に消えることがなかった。ここから完全に雪が消え去らない限り、県北の山はどこに行っても雪があると考えて良い。

大佐飛山等の例外はあるが、初めての場所はできるだけ無雪期に訪れて真の姿を見たいと考えている。雪が多い今年は県北の未訪の場所に行くのが5月に入ってからになりそうなので、それまでの間は残雪期の山々を再訪して暇つぶしをしようか。3月22日〜25日まで天候が崩れてまとまった降雨があった。これで残雪がかなり締ったはず。25日は寒波が来て県北は降雪したが、足尾ならば新雪は無いのではないかと期待した。締った雪を歩いて、1,526mピーク〜小法師岳から庚申山や皇海山を眺めてみたい。27日は気温が上がるとの予報なので、歩くなら冷え込みの残る26日のほうが良いであろう。隣町のHさん(後のハンドルネームは@上三川さん)が2月末に小法師岳のスノーハイクを試みたことが記憶にあったので、行き先は迷わず小法師岳とした。

日足トンネルに向かう際に見た山々は新雪に覆われて真っ白だった。25日日中はこの辺りに雪雲は無かったように見えたのだが、夜間に積もったのだろうか。予想外の新雪だが、深くはないようであるし、他に行き先も無いのでそのまま足尾へ。庚申ダムには到着したが、サッカーの対イラン戦を見ていたのでかなり寝不足状態。しかも外が寒いので車外に出たくない。しばし仮眠しようとしたが、こんどは肩が痛くて眠れん。ウダウダしても仕方がないので出発。

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出発時の庚申ダム駐車場   06:34


スギ・ヒノキの植林地内のジグザグ道の新雪は5から15cm程度。歩くのに支障は無いが、体が鈍っているのですぐにバテる。一気に登る最初の植林地が一番つらい。おまけに雪が降ってきた。

尾根上の新雪上には動物の足跡と雪を蹴散らして落ち葉の下の餌をあさったような跡が残されていた。予想通り残雪は締っていて、新雪の薄いところを選択すれば草刈スキー場跡まではほぼ快適に歩いていける。草刈スキー場からの登りは踏み抜けが多くてやや難儀する。ここは過去2回とも下りで転んでいるので自分にとって鬼門のような場所

巣神山から先は防火帯の新雪の深さが増すのでかんじき装着。装着がめんどうくさくいのであまりお世話になったことはないが、今回は役立った。カラマツの植林された丘陵を進む際に数頭のシカを見かけた。積雪していてもかなりのスピードで移動できるらしい。

破線終点・標高約1,390mは大きなダケカンバが数本残されていて個人的に気に入っている場所。丘陵の幅が狭まり風が吹き抜けるようで、瞬間的に地吹雪状態になった。1,425mピークに向かう細尾根は新雪が薄く快適だが、尾根が広がると防火帯上の新雪が深くなる。

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破線路終点    09:39
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1425mピーク手前の防火帯  09:51


ほぼ一年前に訪れた時との状況の違いに驚く。2004年は積雪が少なく防火帯にかろうじて雪が残っている程度であったのに、今回は前日の大荒れで完全な冬景色。風の吹き抜ける場所では新雪がほとんど無く,地面もしくは締った残雪上を快適に歩ける。しかし、防火帯上はほぼ全域で新雪が20〜40cm程度積もっており、かんじき無しでの歩行は困難であった。1,526mピークへの登りは風裏にあたるため積雪量が特に多く、かんじきを履いても30cm程度沈み込む。

1,425mピークからは1,526mピーク(雨降沢ノ頭)の右側鞍部越しに皇海山の不気味な姿が見えた。この頃、西側から雪雲が張り出しつつあった。進むべきか否か躊躇したが、ここまで来て戻ったら一年前と同じで癪だ。天候が回復すると期待して足を踏み出す。1,426mピークから先に登りで向かうのは初めてなので、記憶のイメージと一致しない。1,526mピークへの登りは特に積雪が深く、初めて来た冬山といった感じがする。1,526mピークの雪庇を避けて小法師岳側の鞍部に抜けた。鞍部は吹きっさらしで雪が固く締り歩き易い。

天候さえ良ければ小法師岳から庚申山とその背後に聳える皇海山がよく見える。小法師岳到達時にあいにく大きな雪雲が西側から流れてきて降雪が激しくなり周囲の景色を隠してしまった。皇海山や庚申山はおろか自分が辿ってきた尾根も見えない。小法師岳三角点付近は北側から猛烈な雪混じりの強風が吹きつけて寒い。氷点下の気温でデジカメがうまく作動しない。バッテリーを温めようと四苦八苦しているうちに手が悴んでくる。天候が回復するまで待つなどとんでもない。飯も食わずに退却決定。

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小法師岳三角点にて  11:13


三角点は雪の下だが、前回通過した時に場所を確認済み。山部山名板は持ち去られたのだろうか。針金だけが残っていた。100m程度東側の誤った場所にある山名板2枚は残されている。

最悪の時間帯に登頂したようである。自分の足跡が地吹雪で完全に消えている場所もあった。帰りも1,425mピークからは袈裟丸山方面と半月山・社山方面のどちらも確認できたが、山の背後(西側)の暗い空に白く浮かび上がる姿が雪女みたいで不気味。カメラバッテリーを温めている間に雪に霞んでしまいイライラ。次回からは使い捨てカイロでカメラを温めておくつもり。

巣神山で軽く休憩してから、かんじきを履いたまま植林地まで一気に下った。ジグザグ道を下る時に脚に疲労を感じる。リハビリ登山としては限界であったろう。

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帰着時の庚申ダム駐車場   14:30


残念ながら快適な残雪歩きには程遠く、予定外の本格的な雪山歩きとなってしまった。今シーズンの山歩きの予定を立てるのに参考とはなったが、いまひとつ爽快感が無い。帰りに今後の山歩きの取り付き場所の下見をし、足尾銅山観光に寄ってから粕尾峠経由で帰宅した。

山野・史跡探訪の備忘録