なりゆきで前黒山(2006年4月)

年月日:    2006.04.22

行程:      赤川渓谷線歩道入口(09:49)〜赤川渓谷線歩道と別れる(10:00)〜作業道と出遭う(10:43)〜日塩もみじライン(10:58)〜前黒山山頂(12:39)〜1,700m級ピーク東峰(13:20)〜前黒山山頂復帰(13:48)〜日塩もみじライン復帰(15:01)〜車に復帰(16:13)

 

関連記録@ スッカン沢北尾根ルート探索(2003年4月)
関連記録A 前黒山〜明神岳〜鶏頂山縦走(2003年11月)

回数は少なかったものの今年も残雪歩きを堪能できた。標高1,300m以下ではほとんど雪が消えているし、ツツジ鑑賞の季節が本番を迎えるまで若干間があるので、この機会を利用して廃道探索をしようと考えた。行き場所を決めて地図の準備をし終えた時には深夜2時。残雪歩きではないから早朝スタートする必要はないので、平日と同じ時刻に目覚ましをセット。

天気は良いが寝不足につき起き上がれない。結局家を出たのが7時半。車を走らせてすぐ県北の山々の様子が一望できる。男鹿山地も那須連峰も雪雲の下。高原山も強くはないが降雪している感じ。いまさら他に行くあても無し、そのまま塩原へ直行。

北に行くほど風が強まり、雲の流れる速度が増す。北西から流れてくる雲が尾頭峠の上部にあって雰囲気が悪い。前日の降雨と雪解けで今尾頭沢が増水しているので、渡渉で濡れるのは必至。沢奥の山野草の開花を期待するには早すぎる。こんなわけで今尾頭道の入口までは行ったものの気乗りがせず中止。次に善知鳥(ウドウ)沢沿いの三島道の入口を確かめようとしたが、こちらは降雪していてもっと雰囲気悪し。ならば赤川道でも探ろうかと思い元湯温泉に行ってみたが、準備不足につきどこから探れば良いのか判らん。上滝を見物して帰るつもりになっている矢先に「赤川渓谷線歩道」の案内を見つけた。右岸沿いに上流に向かい、元湯吊橋を渡って左岸側を元湯温泉に戻ってくるコースらしい。赤川道について何か手がかりを得られるかと思い歩いてみることにした。

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赤川渓谷線歩道   09:49
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「赤川渓谷線歩道」を歩く人が多いとは思えないが、良く整備されている。地図を持っていないので、もしこのまま尾根を進んで鶏頂開拓に抜けることができるなら地蔵曽根の高原道を辿って戻るのも悪くないと思った。標高約900mの元湯吊橋に向けて下る場所で、歩道と別れてそのまま尾根を進む。

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歩道から離脱   10:00


尾根はヒノキ植林に混じって成長した広葉樹を伐採放置してあるので歩きにくい。標高約1,015mで作業道と出合った。やや開けた場所で沢奥を窺うと、どうやら自分が乗っている尾根は空沢の右岸側のようである。鶏頂開拓には行けないことを悟ったので、そのまま作業道を辿って適当に日塩もみじラインに抜けることにした。作業道がどこから延びてきているのか不明だが、日塩もみじラインの手前で途切れ、後は笹薮の踏み跡となる。

日塩もみじラインに抜けた場所はなんと前黒山治山資材運搬路入口の対面である。ムムッ、ここに来るまで新雪被って白い前黒山の姿を何度か捉えてはいたが、今日登ることは考えてもみなかった。でも、入口に立ってみると・・・・。いつしか男鹿山地も雪雲が消えすっきり晴れ上がっているし、もちろん頭上は快晴で陽射しギラギラ。時間もたっぷりある。景色目的で前黒山に登るのも悪くない気がしてきた。前黒山の地形は把握しているから地図も方位磁石も不要。でも残雪歩きなんて想定していなかったからかんじきもスパッツも持っていない。歩けるかどうかは雪と藪の状態次第。

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11:20


林道上には局地的に雪が残っており、複数名の足跡有り。1名は途中で引き返し、もう1名は登山続行したらしい。こちらは出発が遅いのでおそらく山頂でご一緒することはないだろう。この時期、ミヤコザサは雪が消えた後も倒れていて歩きやすい。廃林道が空沢方面に向かって折れ曲がる場所から藪の斜面を直登して次のヘアピンカーブまでショートカット。さらに藪の斜面を直登して1,343mポイントに上がり、後は尾根に沿って高みを目指すだけ。

標高1,400m付近から残雪帯となった。朝の冷え込みが強かった分、正午近くになっても踏み抜きはない。表面が適度に柔らかく、アイゼンも要らない、理想的な雪の状態である。どちらかというと日当たりの良い場所の方が締りが良かった。標高1,400m付近からコメツガが多くなり、枝に積もった新雪が融けて大粒の雫となって、まるで雨が降っているかのよう。

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1,600m地点から見る男鹿山地   12:30
男鹿岳を除く主な山々が全て見渡せる。
左下の林道は比津羅山を巻くシラン沢林道、中央右は塩那道路である。


最後は尾根形が消えて残雪の斜面を100m以上急登することになるが、雪の状態が良く特に危険は感じない。急登を終えると若いダケカンバの生える緩斜面を抜けて前黒山山頂にまっしぐら。

前黒山山頂到着(標高1,678.3m)。 来て良かった。初めて来た時は降雪していてあまり余裕が無かったが、今回は無風快晴で澄み渡っている。ただし頂上の雰囲気は二年半の間にずいぶんと様変わりした。山名板もあるし、笹も刈り払われて三角点が露出している。先行者は1名のみで、既に下山。自分が使用した尾根の南隣の尾根を往復したらしい。

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1,700mピーク  12:39
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釈迦ヶ岳、鶏頂山    12:46
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明神岳  12:50


昼食休憩後、空身で久し振りに1,700m級ピークに向かう。途中の尾根に危険な場所はないがコメツガが鬱陶しい。雪の具合はまあまあで、順調に進める。

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1700m級ピーク西峰から見る大田原方面  13:17
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イラモミの球果  13:27


1,700m級ピークは3年前の記憶にある姿と変わりない。カモシカの居場所となっているようで溜め糞有り。久し振りに標石にご挨拶してすぐに前黒山へ戻る。

1,700m級ピーク西峰から下るときに前黒山とその背景の県境尾根・南会津の山々が見える。樹木が邪魔で写真撮影には不向きな場所だが、枯れ枝を折ってなんとか1枚撮影。

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1,700m級ピーク方面から見る前黒山   13:33


帰りは荷重がかかるし、雪も緩んで、踏み抜きが増える。慎重に足を運ぶも、あっという間に廃林道まで下山。林道歩きの方が時間がかかった。林道の残雪に先行者が下っていった足跡が残されていた。形が崩れていないのでそんなに時間は経っていない。でも入口に車はなかった。いったいどこから登ってきたのだろう。

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日塩もみじラインに復帰   15:01


帰りは藪尾根歩きを嫌い、日塩もみじラインを歩いて下ることにした。しかし、これは失敗。距離が長いし、舗装道路歩きで足裏に負担が掛かる。さらに元湯温泉に向かう道は長い上り坂が待っている。これには参った。舗装道路歩きは結果的に藪尾根の登りよりも時間がかかってしまった。たった6時間強の行動時間であるのに、最後の苦手な舗装道路歩きだけで疲労したような気がする。

今回辿ったルートには青い頑丈な荷造り用PPバンドの目印がやたらと付けてあったので、できる限り除去した。前黒山は登山道が無く自然の姿が保たれている貴重な山だ。テープ類でゴミだらけにせず、できるだけそのままにしてあげて欲しい。今後、笹刈り等の自然破壊行為が起きないことを願う(2020/03/29 追記。現在は北から登るルートが整備されているとのこと。地元に金が落ちる訳でもないのに、いったい誰が何を目的として道を作りたがるのだろうか?

山野・史跡探訪の備忘録