大岩山〜古峰ヶ原高原〜横根山周回(2006年4月)

年月日:     2006.04.29

行程:      駐車地出発(06:37)〜長沢林道に入る(07:02)〜標高915mで尾根取り付き(07:13)〜大岩山(08:19)〜行者岳(08:57)〜古峰ヶ原高原(09:40)〜三枚石(10:21)〜方塞山(10:47)〜横根山(11:29)〜1,286mポイント(11:50)〜作業道出合い(12:44)〜林道前日光線(13:05)〜駐車地に帰着(13:35)

今年は何故か自分の行くところに花が無い。何度か残雪歩きをしたが、早春の草花にはとんと縁が無く、カタクリとかキンポウゲ科の植物(フクジュソウやキクザキイチゲ等)には全くお目にかかっていないのだ。4月末ともなると県南から聞こえてくるアカヤシオの開花情報が気になるところだ。昨年は運良く大岩山の見事な満開のアカヤシオに出会えたものの、デジカメ紛失につき写真無し。今年再びあの光景を見たいと思って、大岩山に出かけることにした。

大岩山に行くには古峰ヶ原高原もしくはハガタテ平経由で禅頂行者道を辿るのが普通だ。でもこの区間でアカヤシオが咲いているのは大岩山のみであることを知っているので、あまり歩きたくない。よって、古峯神社からまっすぐ大岩山を目指す。往復するのは味気ないので、古峰ヶ原高原へ抜け、天候次第で横根山まで歩き、1,286mポイントから古峯神社方面に適当に下ることにする。

古峯神社の無料駐車場には先客無し。草久足尾線を歩いていく。3km先で車両通行止めであるという。一年前にほぼ完成状態にあったはずだが、まだ開通していないとはどういうことか?

大芦川源流にはいたるところ「全面禁漁」と表示されているのだが、これがニッコウイワナの遺伝子保存のためなのか、それとも場所がら宗教上の理由で殺生を禁ずるためなのかは不明。その一方で、やたら砂防堰堤を作りまくって生態系をズタズタにしているのはどういう訳だ?

長沢林道をしばらく進んで標高915m付近で明瞭な尾根に取り付く。

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長沢林道起点    07:02
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尾根取付き地点   07:13


この辺りでは尾根筋がヒノキの植林になっていて、歩きにくくはない。山仕事用の細いジグザグ道に出合ったのでこれを辿るが、最後は東側の谷筋で道形が消えてしまったのでしばらく谷筋の急斜面を登る。標高1,050mで両側の尾根の植林地を結ぶ歩道に出合い、西に移動して朝日の当たらない植林地内を適当に登り、標高1,150mの尾根合流点に出た。ここで初めてアカヤシオの開花を見る。

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大岩山への登り・標高1,150m地点にて    07:48
背景は三枚石(遠くに見えるのは横根山)


尾根筋にはツツジ類の樹木が多い。アカヤシオの木も多いが開花はしていなかった。昨年に較べて一週間程度開花が遅れている。大岩山(標高約1,315m)にもアカヤシオの開花無し。というより、蕾がほとんど着いていない。枝には蕾の替わりに昨年の種鞘が多数残っており、昨年の開花の見事さを物語る。花着きが良すぎて樹勢が弱ってしまったのだろうか。

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大岩山   08:19


アカヤシオを愛でる目標を失ってしまったので、もう禅頂行者道には用が無い。口直しに未訪の三枚岩を目指す。行者平にて一組のご夫婦と出遇った。昨年、私とほぼ同時期に禅頂行者道を辿ったそうである。アカヤシオを愛でることができないのは残念だが、せっかくだからハガタテ平方面に抜けると言っておられた。

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行者岳   08:57


大天狗の鳥居から林道を歩き、途中から笹原を歩いて古峰ヶ原高原に抜ける。

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???   09:30


古峰ヶ原高原には団体様が集結中。おそらく三枚石に登るのであろう。三枚石の上空には積乱雲が発生しつつあり、ちょっぴり不安。団体様の喧騒につつまれる前にさっさと登る事にしよう。

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古峰ヶ原高原    09:43


この山は勝雲山近辺と全く同じ地質で、丸くツルッとした大岩が多数露出しているのが特徴だ。岩は関東ローム層に埋もれているので、火山灰が降り積もる以前に長い間浸食を受けていたことになる。巨岩びっしりの沢筋を見れば土壌に覆われる以前の様子は想像がつく。大きな岩がスパッときれいに切れているものがあり、これに神秘性を感じて霊場と定めたのであろうか。三枚石の名も岩がきれいに三層に切れていることに由来するらしい。

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古い花崗岩    10:12
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三角点   10:17
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???    10:21


三枚石に到着時、意外にも誰もおらず静かだった。

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三枚石   10:25


苦手の団体様がご到着したので、ゆっくりせずに先に進む。現在は前日光ハイランドロッジまで車で行けるので、方塞山から横根山経由で井戸湿原に行く人はほとんどいないはず。その割には有刺鉄線の柵沿いにしっかりとした踏み跡が続く。一応現役ではあるが、整備されてからかなり長い年月が経っており、道横のベンチはいずれも朽ち落ちて雑木藪に埋もれている。

横根山に登る前に通行止めの舗装林道を横切る。地形図に記載が無いが、どうやら日瓢鉱山方面から前日光ハイランドロッジに延びてきているらしい。横根山では一組のご夫婦が滞在中。カメラのシャッターを押してあげて先に進む。横根山から先は誰も歩かないようで廃な雰囲気が漂う。舗装林道を横切ったその先は完全に廃道化している。そんな場所に立派な金属製の標識(←横根山、入粟野→)が立っているのが不思議だ。地形図上の破線は昔の防火線を意味しているらしい。踏み跡は稜線の南側を巻くが忽然と消えてしまうので、適当に斜面を登って1,286mポイントへ到達。

しばし昼食休憩後、北北東方向に下り開始。磁石が無いので正確な方角はわからないが、最近購入した高度計のおかげで地形図上の大体の位置を特定できるので不安は無い。舗装林道を2回横切った後の方向の見定めが少々難しく、一度方向修正した。標高1,150m付近でアカヤシオが開花中。この尾根でアカヤシオがあるのはここ一箇所のみ。

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横根山からの下り・標高1,150m地点にて    13:00
背景は三枚石の尾根東斜面


標高1,100m付近に作業小屋の残骸あり。道も無く植林地でもないのでその目的は不明。標高900m付近で重機による作業道と出合い、西側の谷の林道を歩いて林道前日光線に抜けた。

林道沿いのタラの木は全て鎌で切られている。林道を歩いている間にも鎌を持った男が林に入っていくのを見た。他人に採らせないためにそこまでするのか?山菜採りではなくただの山荒らしだな。

家富連山(やふれやま)トンネルを抜けると参拝客で賑わう古峯神社に到着。アカヤシオの開花が少ないのは残念だが、廃な雰囲気を満喫して約7時間の充実した山歩きであった。

同日夜、古峰ヶ原ヒュッテに宿泊していたご夫婦が山中強盗に襲われ、夫は縛られ、妻は麓に停めておいた車まで連行され埼玉県で解放されるという事件が起きた。大岩山から古峰ヶ原高原に向かう途上でお遇いしたご夫婦ではあるまいな?とにかく無事でなによりでした。

山野・史跡探訪の備忘録