川桁山(2006年8月)

年月日:    2006.08.19

行程: リステル猪苗代(9:45)〜観音寺林道終点(10:30)〜小田峠(11:11)〜川桁山三角点(11:57-12:15)〜三角松原分譲地(13:32)〜リステル猪苗代に帰着(14:29)

夏季休暇を利用して会津若松で一泊検査入院。早朝に退院して猪苗代の実家に戻る際、久し振りの磐越西線の車窓の眺めに高校時代の記憶が蘇った。あまりに天気が良いので、栃木に戻る前に実家近くの川桁山にでも登ってみようと考えた。過去2度川桁山に登っているが、25年以上前のことで、しかも正規の登山道を辿ったことがない。観音寺林道終点から登るのが一般的だが、内野集落側に下る道も整備されているとのことなので周回してみよう。

周回なので林道奥に車を停めるのは得策ではないため、リステル猪苗代の近くに置いていく。林道を歩き始めてすぐにヤマカガシの轢死体発見。

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最近見かけるのはヤマカガシばかりで、シマヘビには長いことお目にかかっていないような気がする。ヘビの世界でも何か異変が起きているのだろうか?ヤマカガシは猛毒の持ち主だそうな。口を開けて調べてみたが、顕著な毒牙は見当たらない。攻撃目的の毒牙ではないようですな(子供の頃、こいつを振り回して遊んだことがあったが、幸い咬まれた奴はいなかった。)。

この時期、低山には眼を惹く草花も少なく、ススキの穂に秋の訪れの近いことを感じるのだが、とにかくクソ暑い。

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途中で3名乗った軽自動車が追い抜いていった。まさかこんな暑い時期の遅い時間帯に川桁山に登る訳ではあるまいと思ったが、果たして林道終点に車が停めてあった。自分に約30分先行していたはずだが、小田峠の急登直前で休憩中の自分より年配(のように見えました。違っていたら御免なさい。)の女性3名を追い抜く。

川桁山山頂部にときおりガスがかかるようになってきたので、早いところ登ってしまいたいところだが、30度近い気温で汗が吹出して全身びしょ濡れ状態となり、熱中症になりかねない。幸い川桁山の裏手は山襞に必ずといって良いくらい水流があるので、機会があればかならず水分を補給するようにして着実に登っていく。こんなマイナーな山でもきちんと刈り払いしてあり、歩きにくいところはない。登山者も適正数に収まっているらしく、登山道の荒れも少ない。

小田峠に上がった場所は最低鞍部ではない。一旦、最低鞍部に下ってから最後の急登に入る。木陰を登っていくので、日差しが遮られて意外に楽。むしろ、南北に連なる稜線の中央部に上がってから北端の三角点に向かってダラダラ歩く方がつらい。稜線部からは樹木越しに西側の猪苗代湖側の景色がなんとか伺える程度、東側は天狗角力取山を中心とする分水嶺と林道・三河小田川線が見渡せる。残雪期ならば安達太良山や吾妻連峰が見えるはずだが、この日は曇っていたせいか見えなかった。磐梯山もかすかに見える程度。三等三角点到着直後に猪苗代町の正午を知らせる音楽が響いてきた。日陰が無いのでタオルを被って昼食休憩とし、後続の女性3人組が到着と同時に下山開始。

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川桁山山頂   12:00


東側の視界が開ける場所があり、天気が良ければ天狗角力取山や大滝山から安達太良山に連なる分水嶺と中通りを眺めることができる。一方、猪苗代盆地側の眺めはあまりよろしくない。登山道が整備された際に山頂の樹木が幾分伐採されたらしく、磐梯山を望むことができる。5月の残雪期がお奨めの山。

内野方面への下山路は途中までは尾根上にあり、見事なブナ原生林の中を快適に下れる。

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内野方面に下る尾根のブナ林

内野に下る尾根は山頂直下から千石川沿いの林道に降りるまでほぼ全てブナ林を辿る。昔、川桁山でも炭焼きが行われていたが、大規模なものではなく、手つかずのブナ林が残されている。広範囲にブナアオシャチホコが大発生することがあり、全山のブナの葉が食い尽くされると、麓からまるで冬枯れた様に見える。知っている限りでは1981年の発生が最も大規模なものであった。

途中から尾根を離脱して進行方向右側(北側)の千石川の谷に下っていくのであるが、このルートは急傾斜であまりよろしくない。カラマツ植林が見えるとすぐに林道へと出る。あとは林道に沿って延々と下るのみ。右手に千石川の沢音が聞こえるものの、沢に近づくことはなく、水場は一切無い。

林道は分譲地を抜ける。この分譲地はかつては三角松原と呼ばれた草地で、30数年前までは長瀬小学校のスキー大会が行われていた。長瀬小学校の生徒は一年を通してこの場で自然を相手に授業を受けたものであるが、現在ではその景観は完全に過去のものとなってしまった。道横にフシグロセンノウの群落を見かけたのが唯一の慰め。

畑の農道を歩いて長瀬幼稚園に寄り、手洗い場で顔を洗って飲料水を補充。あとは内野集落から白津集落までカンカン照りの舗装道路を歩き、白津集落からリステル猪苗代へ向かう。白津集落から八幡神社に向かう道は扇状地の北の縁に沿っており、そのまま道なりにリステル猪苗代のハーブ園に出る。ホテル前衛の畑には毎年観光用にヒマワリやコスモスの畑が作られている。花がチラホラ咲きだしており、8月末には見ごろとなるであろう。

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リステル猪苗代のコスモス畑    14:16


暑さでややゆっくりのペースであったが所要時間5時間弱の周回となった。川桁駅から周回する登山者も多いと聞く。近くに入浴施設が無いのが難だが、リステル猪苗代に宿泊している方にはお薦めのコースと言えよう。

山野・史跡探訪の備忘録