年月日:
2006.11.05
行程: 羽塩登山口からスタート(07:15)〜平滑沢を抜ける(08:26)〜七ヶ岳山頂(09:03- 09:29)〜1,558mピーク(10:18)〜下岳(10:53)〜下岳登山口分岐(11:21)〜林道・七ヶ岳線開通記念碑(11:40)〜MTB利用で喜三郎小屋着(12:25)〜徒歩で車に帰着(12:42)
3日は様子見がてら中山峠から丸山経由で七ヶ岳に登ろうとして、激藪に嫌気がして途中退却。しかし、後で調べたところ高杖スキー場から登ってくる登山道との出合い寸前まで達しており、途中退却する必要はなかったのだ。このとき山頂まで行っていれば、一応満足して念願の縦走は来年に持ち越すことになったかもしれない。
2度目は是非とも魅力的な七ヶ岳の尾根を縦走してみたい。Webで調べてみると林道・七ヶ岳線は未舗装ではあるが走行可能とのこと。最も良く利用されている羽塩登山口から登って下岳方面に縦走し、林道・七ヶ岳線をMTBを利用して戻るという周回が成立する。そして実際にこの周回をした記録も目にした。3連休最終日も好天に恵まれるとあっては七ヶ岳に行かぬ手はない。
自分にしては珍しく真っ暗なうちに起きてまたまた福島へ。放棄されて廃屋みたいな喜三郎小屋前で未舗装林道に入る。林道は広くないものの危険な場所もなく、山襞に沿ってうねうねと続く。林道開通記念碑の近くの茅野にMTBを置いて林道を戻り、羽塩登山口へ。駐車スペースが2箇所有り、全部で10台は停められる。先客が一台有り。窓ガラスの結露の様子では前日夜に車中泊したのかもしれない。
羽塩登山口の周辺にはシラカンバが多い。シラカンバは自然の広葉樹林にまばらに存在するというイメージがあるので、美しさに感動するよりも何故こんなに多いのか理由が気になる。<2020/02/16 追記: *1「明るい所を好む典型的な陽樹であり、山火事の跡などで一斉に成長して早期に占領し、後に陰樹がゆっくりと成長して追い越されると陰になって枯れていく。寿命はせいぜい30年とのこと。」つまりこの時見た光景は遅くとも20年後には消えているということだ。*1 は辻井達一著『日本の樹木』からの引用。>
七ヶ岳は700万年前の火砕流噴出物で形成されているそうな。溶岩の類は見当たらない。登山道として用いられている平滑沢は延々とナメが続く。山全体が巨大な凝灰岩の一枚岩なのではないか。薄くヒタヒタと水が流れる床は適度なフリクションがあってほとんど危険はない。夏場ならば尾根道よりも快適ではなかろうか。
平滑沢を離れると木の根が這う岩ゴツゴツの斜面を登るようになる。根が這っているのだから、この登山道が開かれたのはそんなに昔のことではないらしい。高さはたいしたことないものの、ロープにつかまってやっと体を持ち上げる場面もあったりして、結構ハードだ。
前日夜、栃木県では激しい降雨があった。福島県側は雨は降らなかったようだが大気中の水蒸気量が多く、景色がすっきりとしない。最初のうちは2日前に通った沼の平や丸山が見えていたのだが、最後の斜面を登っている間にガスが発生して何も見えなくなってしまった。山頂に人の姿が見えたので、手前の賽の河原でしばしガスが消えるのを待つ。適温で震えることもなく快適。太陽エネルギーで暖められた水蒸気たっぷりの空気が上昇しガスを発生させながら東風にのって吹き上がる。勢い良く七ヶ岳を越えて西側に流れていくが、いつまでたってもガスが尽きる気配が無い。上空に雲の溜まりができて太陽も見えなくなった。
山頂にいた男性が晴れるのを待ちきれずに下ってきた。高杖スキー場の林道終点までバイクで上がってきたので、山頂まではたったの15分しかかからなかったそうである。入れ替わりに頂上に上がってみると無人。はて、羽塩登山口に車を置いた先行者はどこに行ったのか?見晴らしの良い場所に出てみると、縦走路を下岳に向かう2名の姿が見えた。
羽塩登山口から後続の若い男性2人組がご到着。少し言葉を交わして先に進む。
手前が三番岳、中央が四番岳(1,558mピーク)、左奥が五番岳。六番岳と七番岳(下岳)は五番岳の背後にあって見えない。遠くに見えるのは下岳よりも北側の1,440m級の尾根である。
登山道傍らには数多くの枯れたエゾリンドウ(オヤマリンドウ?)があり、種鞘に小さな種子が詰まっている。10月初旬に来ればリンドウの花が楽しめそうだ。稜線はシャクナゲ・ヤマグルマ・イヌツゲ・ブナ・ミズナラの潅木類にチシマザサと蔓が混じる混合藪。モコモコとした稜線の藪の中に明瞭な縦走路が続き、一貫して眺めが良い。
山頂から1,558mピーク(四番岳?)までは遠くアップダウンも大きそうに見えるのであるが、1,558mピークまでは意外に楽に短時間で移動。確かこの辺りだったと思うが、下岳口から往復するという同年配の男性2人組とすれ違った。
朝は快晴だったが、9時頃に七ヶ岳の上部に雲の溜まりが拡大。雷発生時には逃げ場がない稜線なので、夏場は要注意。
切れ落ちる東側斜面の下に広がる山麓に生クリームのホイップみたいに突き出る無名の低山群がかわいい。清澄度が高ければ、遠くの貝鳴山(中央)と家老岳(左)がくっきり見えるはず。
下岳で先行する男性2人組を追い越す。下岳を過ぎると登山道が不明瞭となりチシマザサやクマイザサが道に被さる。岩石の上に木の根が這うような場所が多く、少々歩きにくい。手入れを怠ればあっというまに丸山みたいになってしまうことであろう。やがて登山道の分岐点に達する。標高が下がり昼近くになって気温が上がりポカポカと暖かい。軽食休憩してから林道開通記念碑方面の右側に進む。登山者の多くは左側の道を利用するようだが、右側も手入れされていて明瞭。勾配が急なので樹木を頼りに下る。
正午近くになってようやく上空に滞留していた雲が取れた。急いでちょっともったいないことをしたような気もするが、時間に余裕があるのは大いに結構。林道からの景色を眺めながらゆっくり戻る。