長安寺〜羽賀場山〜お天気山〜上大久保・南小来川線の峠(2007年1月)

年月日:    2007年1月13日(土)

行程:   長安寺駐車場発(10:32)〜枝尾根稜線に出る(10:46)〜栃木線鉄塔(10:55)〜南いわき幹線鉄塔(11:24)〜羽賀場山(774.5mピーク)山頂(11:57-12:02)〜お天気山山頂(13:01)〜北西側鞍部へ降下(13:25)〜525mピーク(14:01)〜舗装林道峠(14:17)〜MTB利用で長安寺駐車場帰着(14:52)

遠出はしたくないから、この時期に山歩きするとしたら鹿沼近辺が第一候補だ。大芦川左岸尾根には、地図に山名は記載されていないがお天気山や羽賀場山なる山があるらしい。どのピークに名前がついているのか知らないので、一気に尾根を通しで歩いてみようと思っていた。先人の記録を丹念に読めば尾根の大体の様子を把握できるのだが、低山はできるだけ予備知識無しで歩いて、後で先人の記録と比較してみるのが面白い。よって、地形図を見て不安に感じる箇所だけ先人の記録を参考にさせていただく。当初の計画は、笹原田から尾根末端に取り付き、上大久保から南小来川に抜ける峠まで縦走し、峠からMTBで戻るというものであった。お天気山の北西斜面は急勾配で登り降りは無理とのことなので、懸垂下降で突破する。

寒いし年初はいろいろ忙しいこともあって、しばらく山歩きには行かないつもりでいたのであるが、13日朝は無風快晴につき2007年の初歩きに出かけることにした。十分に明るくならないと気力が湧かないので8時過ぎにさくら市の自宅発。国道293号は田舎道のくせにやたら信号が多くて時間を食う。途中で食料を調達しようと思ったのだが、鹿沼市街地を出てしまうとコンビニはおろか食料品を扱う商店すらほとんどない。食料を調達できないまま上大久保から南小来川に抜ける峠にMTBを置きに行き、再び鹿沼市街地に戻って食料を調達して取り付き予定地に戻ったときには既に10時を過ぎていた。当初の行程を日没までの6時間で回れる自信はないし、だいたい取り付き予定地に車を停める場所が見つからない。行程を大幅に短縮すべく手洗の長安寺付近から尾根に上がることにした。長安寺の駐車場ならば付近の住民に怪しまれることはなかろう。自分の里山歩きの2大課題は地域住民に怪しまれない駐車地の確保と民家の馬鹿犬に吠えられずに歩くことである。

駐車場の長安寺側に栃木線の送電線鉄塔巡視路入り口があるのを見つけた。これはラッキー(この時はまだ、ここが羽賀場山の登山ルートであることを知らない。)。

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巡視路は長安寺の裏手の植林斜面を登って標高430m付近で枝尾根の上に抜け、後は尾根上を快適に進む。巡視路は栃木線鉄塔を過ぎてさらに上方の新いわき幹線鉄塔に向かう。栃木線鉄塔の周囲はアズマネザサがはびこっているが、藪を分けるとなかなか眺めがよろしい。

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栃木線鉄塔から見る556.6mピーク(かまど倉)   10:58
当初はかまど倉のはるか向こう側から縦走してみようと考えたのだが、出遅れて大幅に行程を短縮。


尾根上を這う道はところによって広く深く抉れており、昔から山仕事に用いられていたことが伺える。新しい足跡があるので、ここを歩く登山者がいるらしい。そういえば、マーキングがやたら多い。最初の頃一番目に付いたピンクのテープは林業関係者が付けたものと思っていた。これ以外にも赤テープをグルグル巻きにしたり、鳥避けキラキラテープや荷造り紐を付けたり、赤ペンキでスプレーしたりと、山中にゴミ撒き散らしたようなもんだ。道が明瞭でどうやっても迷うことなどできない場所にマーキングは不要と考え、程度の酷いものは除去。

南いわき幹線の送電線鉄塔付近にはうっすらと雪が積もり、前日のものと思しき数名の足跡があった。さらに北上して標高690mで西に方向を変える地点で『羽賀場山』と『長安寺』の標識を見る。これでやっと、自分が偶然選択したルートがハイキングコースであることを知った。

尾根は徹底して植林されていて見晴らしが良くないのであるが、羽賀場山山頂手前で伐採された斜面があり、少し下ると眺めが良い。

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羽賀場山東650m付近からの眺め  11:48


羽賀場山の山頂は植林に囲まれ眺望ゼロ。縦走目的でなければ来る価値はない。

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羽賀場山山頂   11:57


一等三角点(標高774.5m)に腰をおろして昼食中に正午のサイレンが響いてきた。『羽賀場』の語源は『墓場』?などと考えながら昼食終了。まだ風は吹いていないが気温が低くて体が冷えてしまうので、長居せず先を急ぐ。

稜線の踏み跡を見る限り、羽賀場山からお天気山に向かう人はあまり多くないようである。丈の低いスズタケの群落が存在する。稜線には硬い層状チャートの岩が所々剥き出しだが気をつけて歩けば問題ない。北に向かう枝尾根にひきこまれそうな箇所を除けば、地図を見なくても歩ける。間伐したばかりのようでヒノキの良い香りが漂っている。樹木に白ペンキで「山サ」マークが描かれているのが面白い。777m地点に至るまでに幾つか急傾斜のピークを越えていくが、足場はしっかりしており、ロープを這わした箇所もある。

お天気山の山頂にはうっすらと雪が積もり、上大久保から登ってきたと思われる登山者の足跡が残されていた。日光方面の樹木を少々伐採してあるので眺めは悪くない。

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お天気山山頂  13:01
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お天気山からの眺め  13:03


さて、先人の記録では展望台の下が崖になっているとのことであった。足元からスパッと切れ落ちているようなイメージを抱いていたのだが、そうではなく地形図通りの急斜面のようだ。下まで樹木が生えているので15mずつ3ピッチで下れそう。ロープを掛けるのに都合の良い立ち木を探して1/3程度下ってみた。限界まで下ってロープを取り出そうとしたとき、数m南側に足場が高さ数m分連続しているのを発見。樹木も生えている。真っ直ぐトラバースできないが、数m登り返して方向修正すれば移動できそうだ。上から見ると降りられそうに見えないのだが、さきほど横から見て下した判断は正しかった。こんな調子で、うまく場所を選んで順調に鞍部まで降りてしまい、今回も懸垂下降の出番無し。一番の難所を抜けて安堵(注意!危険な場所なのでお薦めしません。)。

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お天気山北西鞍部の崖   13:25


降りた場所は鞍部というより稜線を横切る深い溝のような場所だ。目の前には高さ10m未満ではあるが岩壁が聳える。フリークライマーならば登ってしまうのだろうが、ここは安全に南側を巻いていく

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北西から見るお天気山   13:30


この後は順調に尾根を辿る。植林されて見通しの悪い単調な尾根を辿って徐々に高度を下げていくのは、雲の中を滑走路めがけて高度を下げていく飛行機みたいだ。標高600mで北東側斜面に作業道が現れ、鞍部で南西側に回り込む。この作業道は上大久保の林道から上がってきているようである。525mピークには建立者、年代不明の祠が一つ。

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525mピーク  14:01


この山域の植林はスギの木が主体。スギの枯れ枝は反っていて、踏みつけると先端が跳ね上がり足にぶつかったり引っ掛かったりするので、スギの植林地帯を歩くのは好きではない。今回もたくさん傷を作ってしまった。現在位置を慎重に見極めて主尾根から外れて西に下り、ぴったり MTBを置いた林道峠に降り立った。

林道からお天気山北西の深い切れ込みを見ることができる。

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辿ったお天気山北西稜線(帰りの林道から撮影)  14:36
切れ込み(画像中央)のお天気山側は急峻な斜面、反対側は断崖)


上大久保まで下ってしまうと、お天気山北西稜線の切れ込みは植林ピークの陰になっていて見えない。

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左から2番目の落葉広葉樹に覆われたピークがお天気山(上大久保から撮影)   14:40


峠から長安寺まではMTBで順調。4時間強ではあったが中身の濃い山歩きだった。

お天気山北西稜線に関して、事前にstarion さんと烏ヶ森の住人さんの先行記録を参考にさせていただきました。

山野・史跡探訪の備忘録