根名草山(2007年10月)

年月日:    2007年10月28日(日)

目的:    根名草山を含めた周遊

行程:    女夫渕温泉駐車場から車道歩き開始(06:08)〜手白沢橋(07:15)〜手白沢の大堰堤右横で退却〜手白沢橋復帰(07:34)〜手白沢温泉に向かう車道に進入(07:54)〜登山道探してウロウロ・加仁湯雨量局で引き返す(08:09)〜手白沢温泉登山口(08:29)〜廃道との分岐(09:19)〜日光沢温泉・手白沢温泉分岐(09:33)〜根名草山山頂(10:54-11:18)〜第三薙ぎ(11:45)〜忘れ物探しに再び山頂へ〜第三薙ぎ復帰(12:24)〜日光沢温泉・手白沢温泉分岐(13:14)〜日光沢温泉(13:55−14:05)〜遊歩道歩き〜女夫渕温泉駐車場帰着(15:06)

根名草山には日光というより栗山のイメージがあって、どうせ登るなら奥鬼怒方面からと考えていた。藪漕がずとも簡単に登れる山ではあるが、標高があってアプローチも長いので、日帰りで根名草山を含めて周遊するのは難しい。女夫渕温泉まで車を運転するだけで疲れてしまうし、ガソリンも食う。好い眺めが得られないと登る価値がないので、気象条件の良い機会を伺っていた。日曜日は紅葉の時期に台風一過の快晴を期待できる。根名草山に登る絶好のチャンス到来。

烏ヶ森の住人さんの記録も参考にしてMTB 利用の少し大回りの周遊を計画した。根名草山に午前10時頃までに到着できれば十分に可能性がある。問題はスタート時間だ。夜更かしの我が家では早寝は不可能につき、睡眠時間を確保するためにはどうしても出発が遅くなる。なんとか4時に起きて出発したものの、山王林道のゲートが閉じており周回計画は早々とボツ。根名草山から折り返すことにして朝6時前に女夫渕温泉の駐車場に着いた。前夜台風20号が来ていたのに駐車場は温泉客の車で満杯でスペース無し。黒沢林道入口の広場に車を置いた。

今回は手白沢温泉側から登る計画なので、鬼怒川沿いの歩道を歩かずに車道を歩いていく。鬼怒沼から女夫渕温泉に戻ってくるときに歩いたことがあるが、奥に向かうのは初めて。一般車両通行止めにしてあるので歩く距離が長く、かなりの健脚でないと日帰りはつらい。温泉に宿泊しないと山に登れないようにしているのだろう。奥鬼怒四湯は結構良い商売しているんじゃないか?

朝6時になると十分に明るくなって周りの景色が見えるので、陽光が山歩きの触媒となる自分にとって最高のスタート時間である。折りしも女夫渕温泉付近の紅葉が見頃を迎えていた。今年の紅葉は猛暑の影響で期待できないとのことだったが、一斉に色づいた様は見事で、歩いていて退屈しない。

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女夫渕温泉近くの紅葉  06:16


奥鬼怒林道は何度も折れ曲がって女夫渕温泉から一気に200mも高度を稼ぐため、鬼怒川遊歩道よりも距離が2km程度長い反面、眺めが良い。路面状況も良いので遊歩道よりも林道歩きの方がお薦め。

台風の通過後に北西から冷たい空気が流れ込んでいるようで、県境の山々の西側に白い雲が発生しているのが見える。時折強い風が吹き、まだ朝日が当たらない谷間は冷え冷えとする。手白沢の手前で大嵐山が見える。薙ぎが真っ白で昨夜降雪したようだ。まだガスが残っていて、山頂をかすめていくガスの流れが速い。今あそこに立っていたら寒さに耐えられないだろう。フード付きの合羽を置いてきたことを後悔。最悪は途中退却覚悟で進む。

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大嵐山  07:06


手白沢橋に達して地形図を確認。今回はダウンロードしたウォッ地図ではなく平成3年版の市販の地形図を携行してきた。地形図には手白沢沿いに破線が記載されていて、これを利用すれば手白沢温泉まで近道となる。入口は怪しい感じだが、足場を補強した跡があり古くはないトラロープが一本下がっている。よく見ると「手白沢温泉」と書かれた古い標識も付いている。てっきり現役の道であると思って進入。

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道は細いものの最初はしっかりしていて楽に辿れる。傾斜がきつくなると道の形が崩れてだんだん怪しい雰囲気になってきた。ロープが何本か張られていてそれ以上先に進むなと言わんばかり。危険とも立入禁止とも書いてないし、途中に文字が読める標識があったので行けるような気がしてそのまま進むと、もう道とは呼べないくらいの荒れ具合になる。巨大な砂防堰堤があり、堰堤プールに流れ込む細いガレ沢で道が途切れている。ガレ沢に降りればその先に進むことも可能と思われるが、段差があって簡単には降りられない。これ以上深入りすると本日の計画が丸潰れになりかねないので退却決定。完全に廃道と化しているのに何故入口だけ朽ちていないのか。堰堤建設の作業員が辿るために一時的にささやかに補強されたのかもしれない。

近道できず結果的に20分弱の時間ロス。手白沢温泉に上がる車道に進入し、途中で加仁湯方面に向かう2本目の歩道を経由して尾根を辿る登山道を利用する案に変更。ところが現実の道路の状況が地形図とだいぶ異なっていて面食らう。車道に接続する歩道に逸れて西に向かうと歩道が交差する場所に出た。上り方面に左折して進むと何か様子が変だ。手白沢に向かう地形図の実線と同じ道筋である。現在の車道は所持していた地形図には掲載されていなかったのだ。交差点に戻ってさらに西に進むと手白沢温泉の菜園らしき区画があり、細い道が奥に続くが、加仁湯雨量局で終点となった。近くには赤い吸殻入れが設置されているので、かつてここに登山道が開かれたことがあったと思われるのだが、道跡らしきものは見当たらない。廃道なのか?これで15分程度時間ロス。

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加仁湯雨量局  08:09


近道をあきらめて手白沢温泉に向かう。既に大嵐山のガスは消えていた。当初の周遊計画は達成不可能になってしまったけれども、根名草山の山頂から絶景を見ることができれば良しとして山登りを続ける。

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手白沢温泉手前から見た大嵐山  08:29
根名草山は大嵐山の真後ろにあって手白沢温泉方面からは見えない。


日光沢温泉口は入口こそ頼りない感じだが、いざ入ってみると踏み跡は明瞭で、倒木も切除して手入れされている。樹木が強烈な日差しを遮ってくれるので、快調に高度を上げていく。尾根上に出たところで廃道との分岐らしき場所に至る。藪を少し下った場所に文字の消えた標識が幹に打ち付けられているので、加仁湯コースが廃道化しているのは確かなようだ。コースを開設しても辿る人が少なく、かすかな窪みすら残らなかったということか。

やや緩い尾根を辿り再び勾配がきつくなってから日光沢温泉からくる登山道と合流。程なく、薙ぎの頭で黒岩山方面の視界が開ける。1972mポイントから少し下ってダラダラ進むと北から東にかけて眺めの良い場所に至り、その後標高2050付近から稜線部を外れて大嵐山の西側に回り込む。この辺りの道筋は地形図の破線とはだいぶ異なる。

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大嵐山北北西、標高2000m付近からの眺め   09:58
左端に黒岩山、左半分の中央に台倉高山、右側に明神ヶ岳と高原山が見える。右側手前の黒く見えるのが手白山の尾根


薙ぎを3つ横切りながら徐々に高度を上げていく。第三の薙ぎは拡大進行中ではないようで、両側からダケカンバの植生が広がりつつある。なかなか雰囲気も眺めも良い場所だ。

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第三の薙ぎ  10:34
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四郎岳(左)と燕巣山  10:33


標高2100mを越えると積雪で登山道が真っ白。大嵐山と根名草山間の鞍部から先には1名の先行者が往復した足跡があった。途中で行き遇わなかったのだから、どうやら先行者は根名草山を下りて大嵐山に向かったらしい。根名草山の直下は樹木が少なく見晴らしが良い。期待以上の眺めに満足。

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根名草山山頂部  10:54
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根名草山山頂にて  11:00
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小真名子山、太郎山、大真名子山  11:08


山頂は無人。当初の予定より1時間遅れである。念仏平までは行ってみたいような気もするが帰りのことを考えると登り下りが億劫だ。しかも積雪している。あっさり来た道を戻ることにした。南東の端まで行って日光白根山や菅沼を眺めてから下り開始。

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日光白根山と菅沼   11:14


大嵐山は藪が酷いらしいがどんな具合だろうと、針葉樹林の踏み跡状の場所を辿ってみた。先行者の足跡は大嵐山に向かっている。融けだした雪の雫がボタボタ落ちる。だんだん針葉樹の藪が密になってきたので嫌気が差し大嵐山はあきらめた。先行者の下りの足跡があったので既に下山したらしい。今日の根名草山は貸切みたいなものだ。

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大嵐山 〜 手白山  11:18


第三の薙ぎで休憩しようと思ってザックを下ろしてみると、上の小物入れの外側ファスナーが開いていた。てっきり大事なものを落としたと思って空身で再び山頂へ戻ってゴソゴソ。何も無い。よく考えてみたら、大事なものは内側に収納したような気がする。アホだ〜。これで40分弱のムダ歩き。帰りにどこかに寄って遊ぶ余裕も無くなった。根名草山を十二分に堪能したと考えれば損ということもないか。おかげでこの山域に親しみを感じるようになった。

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燧ヶ岳と鬼怒沼  12:10(2度目の下り時)


下りは日光沢温泉に下った。こちらの方が手白沢温泉側より歩く人が多いようで道がしっかりしており、ジグザグで足にも優しい。

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日光沢温泉付近の紅葉  13:55


3年前と較べると10日くらい紅葉が遅れているようで、日光沢温泉近くの山肌の紅葉が真っ盛りであった。

加仁湯からは鬼怒川遊歩道を歩いて女夫渕温泉へ。この時間は遊歩道を歩いて戻るハイカーや登ってくる宿泊客で人通りが多い。全体的に石がゴツゴツしていて、台風のもたらした降雨で一部ぬかるんでおり歩きにくかった。景色も車道の方が優るように感じる。最後は通行止め区間を抜けて駐車場まで近道。まだ午後3時だが、谷間には日が入らなくなる。秋の日の短さを感じながら帰宅。

山野・史跡探訪の備忘録