栃木・茨城県境尾根歩き(花瓶山 〜 県道28号線、2008年2月)

年月日: 2008.02.16(土)

行程: 如来奥の二俣から出発(11:29)〜県境尾根(12:00)〜花瓶山(12:10)〜次郎ブナ(12:19)〜太郎ブナ(12:26)〜如来沢奥の最初の伐採地(12:36)〜754.4m三等三角点(13:17)〜県道28号線の南・標高670m地点で折り返し(13:53)〜754.4m三等三角点復帰(14:30)〜花瓶山復帰(15:34)〜駐車地帰着(16:00)

先週帰省して長時間車を運転したせいなのだろうか、再び腰痛が悪化。一週間経って山歩きできるくらいに回復。前日(2月15日)で狩猟期間が終了したので、山の中を安心して思い切り動き回ることができる。今年も花粉が飛ぶ前に八溝の快適な植林尾根を歩こう。

花瓶山から八溝山までの区間は距離的にはたいしたことはないのであるが、MTBを利用する周回に向く地形ではない。どうすればうまく回れるのだろうと思案しながら何年も過ぎてしまった。腰が悪くてMTBを担いで車に乗せるのは嫌だし、リハビリ兼ねての山歩きだからハードな行程は避けたい。朝寝坊したので時間も足りない。今回は単純に花瓶山から県道28号線の峠まで往復することにして携行する地図を準備して家を出たのが10時過ぎ。行く先は須賀川の如来地区。

須賀川に行くには国道294号を進んで旧黒羽町の市街地で那珂橋を渡って国道461号を進むのと、国道293号線を進んで旧馬頭町の大山田を経由して国道461号を北上する2通りの行き方がある。どちらにしても直線距離にくらべてだいぶ遠回りになる。鶴居峠を越えて近道しようと思い、那珂川町の新那珂橋に向かったところ、大規模に工事中で全面通行止め。やむを得ず大山田経由にしたら、仲妻で警官に呼び止められ、「事件があってこの先通行止めだから迂回してください。」とのこと。しかたがないので小元峠を越えて県道13号に抜け須賀川に向けて北上した。この辺りの地区は沿道にお茶の畑が多い。

須賀川の如来地区の狭い道を進むと二俣に至る、左側が如来沢の林道につながるらしい。ここで右の名前の知らない沢沿いの道を選択。理由は、この沢を詰めると花瓶山の南側で県境尾根に出るためムダ歩きが少なくなるためである。如来沢を詰めると県境尾根に出てから花瓶山に戻る形になってしまうのだ。

林道は退避点がほとんどなく車一台分の幅しかないが、路面状態は良く順調に沢奥に向けて北上。山々の全てが比較的良く手入れされたスギの植林地帯になっており、よくもここまでやったものよと感心してしまう。

今年は例年よりも積雪が多く、雪道の凍った轍にハンドルを取られそうになる。奥に行けば行くほど積雪量が増し、次第に車の腹を擦るようになった。如来から約4km入り込んだ場所で沢が二俣になり、人家らしきものがあった。どうみても民家の造りなのだが現在は無人で、中には山仕事の道具らしきものが置かれているだけ。ここに車を置いてスパイク長靴を履いて歩いていく。

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沢奥の二俣から出発  11:29


北に向かう左俣沿いの林道を選択。積雪の深さは10〜15pで歩くのに支障はない。約15分歩いて次の二俣で勾配の緩そうな右俣を選択。

県境尾根への詰め  11:49


道の無い詰めの部分は高度差にして約50m程度。楽に県境尾根に上がれた。上がった場所は花瓶山の南約300mの地点である。

少し県境尾根を南に進んで、南に開けた茨城県側の谷を眺めてから北上。100mほど進むと大勢のハイカーの真新しい足跡が出現。西から上がってくる尾根(如来沢左岸尾根)があり、黒羽山の会の道標が木に打ち付けられていた。

花瓶山の南側


大倉尾根とか向山とか聞いたことのない名称が書かれた板がある。2004年3月に訪れた時にはなかった。ハイカー達は最終的にこの尾根を辿って如来沢の土場に降りたものと思われた。

程なく花瓶山に到着。二度目の訪問である。

花瓶山 12:10


ハイカー達の足跡は花瓶山の北側から向かってきていた。15〜25p程度の積雪があるのだが、彼らによってよく踏まれていて楽に歩ける。この踏まれ様から察するに少なくとも5名以上のパーティであったろう。

花瓶山から500m程度北上した標高650m地点に大きなブナの木が鎮座している。尾根上まで全て植林してあるのにブナの古木を残したのには何か謂れがあるのであろう。平成19年2月に黒羽山の会が設置した名板によれば「次郎ブナ」と呼ばれているらしい。

次郎ブナ  12:20


「ふーん、次郎と名づけるからには太郎でもあるのか?」と思いながら進むとその200mほど先に本当にあった。こちらはやや衰えており、大きな枝が支柱で支えられている(その後、倒れてしまったらしい。)。

太郎ブナ  12:26


花瓶山の北600mの地点で大規模な伐採地に出る。樹木を伐採したのは1年以上前のことで、今年植林する予定なのであろう。スズタケが刈り払われていた。 

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花瓶山の北600mの地点  12:38


ハイカー達はここで引き返したらしい。ぷっつり足跡が消え、尾根上にはスズタケが繁茂し道があるようには見えない。700mピークの雪に埋もれたスズタケ藪を漕いでいくと如来沢の最奥部の伐採地に達した。ここも今年新たに植林する準備を進めているのであろう。3名の男性が伐採した潅木の枝を整理していた。

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如来沢最奥部(727mポイント南)  帰りに撮影


この先、しばらくは単調な尾根歩きが続く。特徴は、強いて言えば鞍部に向けて北に下る斜面に必ずといってよいほどスズタケの藪があることと、一貫して右斜め方向に梢越しに八溝山の姿が見えることくらい。

県境稜線の北向き下り斜面のスズタケ藪


北上するときは地図を見ずに漫然と歩いていたので自分の現在位置を全く把握していなかった。754.4m三角点なんてとっくに通り過ぎたと思い込み、その割りに本日の目的地である峠が見えてこないので不思議に思っていた。この山地にしてはめずらしく岩が露出している場所があり、その北側のピークで西側に尾根が派生する。県境尾根から栃木県側に数十m離れた位置にあるピークが754.4m三角点ピークであった。これでようやく現在位置を特定。この先の行程の所要時間が読めるようになる。

754.4m三角点ピーク  13:17


県境尾根に復帰して北側に下る。この下りはスズタケ藪が濃い。尾根の東側には伐採地が一切無くきれいな眺望が得られないものの、県境尾根が北西に向く場所では八溝山が比較的良く見える。

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八溝山  13:29


標高710mから北に向けて30m程下った鞍部には大田原営林署の山火事用心の看板が立っている。この付近で人の足跡発見。尾根歩きした形跡が無いので前日の狩猟者のものであると思われる。そのさらに北側にある標柱近くには三角点マニアのR.K.の茶色のブリキ板が掛けてあった。「754.4m」と書かれている。754.4m三角点から700m以上離れた場所に間違って設置するなんてR.K.らしからぬミスである。標高標示が不正な場所にあると紛らわしいので、帰りにR.K.の標高標示を754.4m三角点に移しておいた。

標高表示を正しい場所に移動  14:30


この冬に間伐したばかりのヒノキ植林のピークを抜け、691mポイント北の標高670mの辺りでようやく峠道が目に入った。まだだいぶ距離がありそう。しかも現在地より50m弱低い位置にある。周回ならば喜んで突進するだろうが、本日は往復なので帰りのことを考えると下って行く気になれなかった。折り返しの時限である午後2時まであとわずか。目的地目前で退却することに決定。

帰りは地形図を眺めて現在位置を確かめながら南下。腰が痛むことはなく順調に帰りついた。歩行時間は5時間未満。集中力が維持できるので尾根往復には理想的な行動時間だった。

帰りの車の運転中に聞いたラジオのニュースで、大山田の通行止めの理由がひき逃げ事件であったことを知った。手押し車を押しながら歩いていたおばあさんが跳ね飛ばされてしまったのだ。大山田の辺りは国道とはいっても幅4m程度しかなく、歩道なんてものは存在しない。栃木県で最も道路整備が遅れている地域だ。そんな道を田舎者が車をかっとばす。犯人が悪いのは当たり前だが、栃木県の道路行政の怠慢のせいで生じた事故と言っても過言ではないと思う。

車の運転中はなんら異常を感じなかったのに、自宅で車を降りようとしたら両脚の腿内側が痙攣した。雪中歩行は普段使わない筋肉が疲労する。春の残雪歩きの前にもう一度くらい雪の八溝を歩いて足慣らししておいたほうが良さそうだ。

山野・史跡探訪の備忘録