栃木・茨城県境尾根歩き(県道13号県境 〜 関ノ多和峠、2008年3月)

年月日:   2008.03.08(土)

行程:    県道13号太子・黒羽線の県境(10:22)〜石尊山(11:04)〜391mポイント北の400m小ピーク(11:40)〜茨城県側のピークに立ち寄り〜400m小ピーク復帰(11:58)〜383mピーク(13:09)〜宿−市場間の実線峠(14:14)〜林道・桶子沢線の峠(14:32)〜関ノ多和峠(15:07)〜MTB〜車に帰着(15:45)

スギ花粉アレルギーを持たなくてもバホバホ花粉が飛ぶ時期に植林地帯を歩くのはあまり気分のよいことではないし、暖かくなったら他にやりたいことが出てくるであろうから、八溝山地を歩くなら今のうちであろう。今週も栃木・茨城県境尾根の未訪区間を歩いてみる。

県道13号の県境から石尊山までは歩いたことがある。石尊山から茶の里トンネルまでの間に特別目を惹く存在はない。この区間を歩いてみようという気になったのはMTBを利用した尾根歩きにぴったりあてはまるからである。どうせ石尊山に登るなら県道13号の県境からスタートしたほうがすっきりするので出発地は簡単に決まった。MTBはどこに置こうか?単純に茶の里トンネルから下ってもよいし、米梨沢の温泉マークの正体が気になるのでさらに尾根を歩いて大道沢を下ってくるという手もある。MTBの置き場は現地の様子を見て決定することにする。

さかりがついた飼い猫が一晩中家の中をうろつき鳴きまくるためこのところ睡眠不足。本日も朝まで鳴き続けていたので早出する気になれず、家を出たのは9時過ぎ。今ひとつ空気が澄んでいないので植林尾根歩きは正解だった。旧黒羽町から須佐木を経由して須賀川に至り、最初は大道沢を目指して県道13号線を南下しようとしたが気が変わった。地形図には米梨沢の温泉マークの横に人家があることが示されている。こんな山奥に人家があるとは考えにくいが、もし今も人が住んでいるならば私有地にずけずけ入り込むようなもので、自分の一番苦手なパターンである。犬でもいたら最悪。よって米梨沢を下る案はやめて茶の里トンネルから下る案に変更。旧道の入口付近の若い植林地にMTBを置いて出発地へ。

尾根の様子は2004年12月に石尊山に登ったときと変わりない。地形図を見ずに歩いていたら、標高310m付近の小ピークで進路判断に少し迷った。前回も地形図無しで往復しようとしたら帰路がわからなくなった。この植林尾根は侮れない。まめに地形図を見て現在位置を常に把握していないと全行程をノーミスで歩くのは困難であろう。自分はずぼらなので、ある程度のミスは覚悟の上だ。

石尊山は2度目の訪問。

石尊山    11:04


山頂付近のみ広葉樹に覆われており、その北側は再び植林の尾根が続く。尾根の向きが北東になる区間は栃木県側のみ勾配が急であるため植林されていない。茨城県側から上がってくることになっている破線路には気づかなかった。391mポイント付近では植林の中に太いモミやアカマツが何本か残されている。

391m地点北の400m級小ピーク    11:40


ここから茨城県側にある2つのピークに立ち寄ってみたが、スギの植林地以外何もない。アカマツの立つ県境に戻ってみると、やはり県境尾根は何か風格が違うと感じる。

西側に見えるやや大きなピークを無視して県境尾根を北上。北に向けての尾根の下りは気持ちの良い広葉樹林である。

12:16


鞍部からの登りは栃木県側が若いヒノキの植林地帯で枯れ枝が邪魔。茨城県側の植林は間伐材が横たわる。最初は植林時に作ったと思われる広い作業道跡を辿れたものの、徐々に藪が酷くなって進みが遅くなり距離感を失う。

まだ400m級ピークにいたのに距離感を失って漫然と歩いていたため既に383mピークの南側にいると思いこんでいた。400m級ピークから尾根を北東に向かうときに北西側にある390m級ピークの存在を感じる。これを383mピークであると勘違いした。それにしては尾根の向きが地形図と違うし、383mピークと思しき方向に下ると谷に下りてしまう。見通しがきかないので眼前の谷が栃木県と茨城県のどちらから切れ込んでいるのかも判断できない。行きつ戻りつしてはみたが完全にお手上げ。一旦北に下ってみることにした。答えは谷底に降りる前に出た。きれいな山道と出合い、その勾配で栃木県側に居ることが判明。ようやく現在地を把握して県境尾根に復帰。20分程度ムダ歩きしてしまった。

12:43


県境尾根が東進し始める場所から383mピークを経由して次のピークに至るまで、一貫して広葉樹に覆われて明るい雰囲気である。うっとうしい藪は無い。

367m地点付近から赤い樹脂製の円筒形の境界杭が現れ、さらに茨城県側の里が見えるようになると頭が黄色い四角柱の境界杭も現れる。最初の実線の峠に下る前に伐採地で眺望が得られる。

高戸山    14:09
堂山


大道沢から茨城県の宿地区に抜ける実線の峠は実在するものの、車が通れるほどの道幅はない。半分藪化して、今は山仕事に用いられているだけの存在である。馬頭観世音と彫り込まれた大きな石が倒れており、昔は荷馬の往来があったことが伺える。

大道沢−宿間の峠    14:13
馬頭観世音の碑


ひと山越えた北側鞍部を通る峠道(林道・桶子沢線)は舗装された現役の林道である。昔から用いられた道であることを示すものは無い。

林道・桶子沢線    14:33


山歩き終了後に車で栃木県から茨城県に通り抜けてみた。栃木県側は峠部のみ舗装されている。茨城県側は全線舗装。退避点の少ない林道であるが危険箇所はない。

峠の北側は最初だけ茨城県側がコナラ・クリ・クヌギの林になっており、後は全て植林地帯。

飛ばしてきたので最後の登りは脚に疲労を感じた。関ノ多和峠から栃木県側に下り、若い植林地の陽だまりで着替えをし、出発地までMTBで快適に下る。茶畑の風景や製材所の材木の香りなど、里の雰囲気を満喫して帰り着いた。

画像
茶の里トンネル    15:22


この後、車で大道沢に進入してみた。米梨沢分岐手前の人家は廃屋で潰れる寸前。米梨沢入口には須賀川鉄鉱泉入口なる標示がある。

米梨沢入口    15:55


サイト「温泉師の事情」http://www4.plala.or.jp/toninyo/に拠ると、昔鉄鉱石やマンガン鉱石を採取していた坑道から湧いて出た冷鉱泉だそうである。今は営業していないらしいが・・・。

米梨沢沿いの林道を進むと、一人の老婆が道を歩いており、振り返ってうさんくさそうに見ている。この奥の人家の住人なのだろうか。鉱泉は今も営業しているということか。さらに進むと果たして人家が現れた。林道沿いに人家があるのではなく、林道は人家で終点となるようである。どこからともなく大きな白い犬が現れてまとわりつく。吠え声は聞こえなかったし好意的な表情をしていたが、放し飼いの犬は苦手だ。方向転換しようとしていたら人家から人が出てきてこちらを見ている。風呂に入るつもりはないので逃げるように米梨沢を戻った。白い犬は米梨沢入口近くまで追いかけてきた。米梨沢を下山予定地にしなかったのは正解だった。それにしてもあの人家の住人はいったいどうやって生計を立てているんだろうか。地元の住人はこの鉱泉をよく利用しているのかもしれない。

米梨沢を脱出した後、大道沢沿いの林道を沢奥に向かった。林道は2手に分岐する。右側はハタゴ??(擦れて読めなかった。)線と書かれており、馬頭観世音のある峠に続くのであろう。左側は桶子沢線というらしく、危険箇所はなく順調に茨城県に抜けられる。茶の里トンネルを抜けて栃木県に戻り帰宅。

山野・史跡探訪の備忘録