栃木・茨城県境尾根歩き(県道28号 〜 八溝山、2008年3月)

年月日:    2008.03.16(日)

行程: 林道・横山線入口から出発(10:11)〜県道28号線の県境(10:39)〜2月16日の退却地点まで往復〜県道28号線復帰(11:01)〜旧道峠(11:09)〜舗装道と出遭い(12:06)〜林道・八溝線分岐(12:30)〜山頂(12:45−13:13)〜舗装林道に降下(13:50)〜県道八溝山線分岐(14:05)〜南いわき幹線巡視路入口(14:36)〜MTB(14:40)〜車に帰着(14:58)

週末の天気予報がいまひとつなので計画を立てる気にならない。土曜は降雨後なので山歩きに行かず庭仕事に精を出した。天気予報が外れ雲ひとつない良い天気で出かけないのはもったいないような気もしたが、たまにはこんな余暇もよかろう。

日中の高気温と朝方の冷え込みがセットにならないと雪が締まらない。この週末は冷え込みがないので、おそらく栃木・福島県境の雪は降雨後で腐っているはず。残雪歩きにはまだ早いので、日曜日は栃木・茨城県境尾根歩きを完結させることにした。残っているのは県道28号線から八溝山までである。

本日は朝夕が曇りで日中は晴れるとの予報であった。なかなか晴れないので寒井地区で雑魚釣りして暇つぶし。降雨のおかげで釣りに適した水量になった。しかし、雪代が入っているらしく、冷え込みがないのに水温がとても低い。魚の活性が低いのであろう。まったくアタリがなかった。

太陽が覗きかけてきたので釣りを切り上げて、MTBを置きに向かった。栃木・茨城県境尾根を辿って八溝山に至り、帰りは栃木・福島県境尾根にある舗装林道を戻ってくる予定。県境尾根の稜線を歩く可能性も残しておきたいので、MTBは道が尾根を離れて下る場所の近く(南いわき幹線の鉄塔巡視路入口と今十文字峠の中間にあるカーブ)に置いた。

車は県道28号線を大子に向かってすぐのところにある林道・横山線の入口近くに置き、まずは県道28号線を歩いて峠に向かった。空は暗くはないものの曇ったまま。特に見所はなく、これから花粉を放出せんと構えているスギの植林地帯が延々続く。10年以上前この峠を通って大子に抜けた時、周りに人家がないのに道路に白いニワトリが居たっけ。そんなことを思い出しながら単調に歩き峠に至った。この間、通過した車は栃木県から茨城県方面に走っていった1台のみ。

県道28号線県境    10:39


一旦峠から南下して、2月16日に引き返した地点まで行ってみた。取り付きからスズタケ藪が続きその中に明瞭な山道がある。大きなアカマツを過ぎると栃木県側が若い植林地帯になっていて見晴らしが良い。とはいっても植林された低山が見えるのみ。植林地から雑木の生える山にひと登りして前回引き返した場所にあっけなく着いた。こんなことなら前回一足伸ばして峠から引き返せばよかったかな。まあ、そのくらい雪中歩行で疲れを感じていたということだな。直ぐに引き返して峠に戻る。往復約22分。この間にかなりの数の車が通り抜けていった。

峠の北側取り付きは南向きなので茨藪。これを抜けると茨城県側斜面が広く伐採されていて眺めが良い。あいにく八溝山にはガスがかかりつつあった。10年以上前に車で来たときも濃いガスの中だった。八溝山とは相性が悪いんだろうか?

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八溝山    11:04


伐採したことによって強風をもろに受けるようになり、稜線部の広葉樹がバッタバッタと根こそぎ栃木県側にぶっ倒れている。この歩きにくい区間を抜けて鞍部に下るとそこには古い峠道跡があった。両県ともにしっかりとした道が続いているので、現在の県道28号線の峠を切り通す以前はこちらの道を通っていたに違いない。

旧道峠    11:09


旧道峠から北側は県境が土塁になっている。明らかに両県側の土壌を掘って積み上げてある。最初は昔の砦の跡かと思っていたのだが、峠から遠く離れてもまだ続いている。

県境の土塁    11:12


そのうち、栃木県側の稜線直下にしっかりとした林道が上がってきたので、以降は林道を歩いて楽させてもらった。想定外のハイキング気分の尾根歩きである。土塁がびっしりとスズタケに覆われている区間がある。林道がなかったら結構つらい尾根歩きとなったのではないだろうか。

県境沿いの林道    11:24


722mポイント付近で林道は尾根と分かれて下っていく。林道から離れて稜線に上がってみると、なんと県境の土塁はまだ続いていた。藪化していて歩きにくい。黒羽から登ってくる舗装林道と出合う辺りから尾根幅が広がり笹がスズタケからミヤコザサに移行する。

舗装道路を3回跨いでも土塁はまだ続く。

電波中継塔跡    12:26


922mポイントで土塁は屈曲して東南東に向きを変え、電波中継塔跡の南側を掠めて林道・八溝線の分岐(峰越連絡林道・真名畑−八溝線入口)に至る。 

峰越連絡林道・真名畑−八溝線入口)    12:30


ここからは道路を歩いてもあっというまに山頂に着く距離と思われるが、県境歩きにこだわり再び林の中へ。山頂近くはミズナラを主体とした原生林で雰囲気がよいが、ミヤコザサの藪が深く歩きにくい。残っている雪は締まりがなくシャーベット状。朝の冷え込みがなかったから、おそらく雪山もズボズボ踏み抜けまくりであろう。

山頂直下の土塁傍の窪みは広く、かつては車道であったようである。土塁は結局、県道28号線の旧道峠から途切れることなく山頂まで突き上げていた。いったいいつ頃、誰が何のために行った土木工事なのだろう。傾斜を問わず設けられており、明らかに人手に頼ったとしか考えられない区間が多い。笹の繁茂状態から察するに工事が行われてから少なくとも数十年は経過していると思われる。

山頂近くの土盛り    12:34


土塁に沿う幅広の道跡は三角点の真下に出る。この瞬間に栃木・茨城県境尾根(北部)歩きが完結。三角点傍らでハイカーが昼食休憩中だったので、しばし山頂をブラブラ。

八溝山一等三角点


まず新しい電波中継塔に行ってみた。説明板には近隣の各地の電波中継塔との関係が示されている。近くには高笹山から縦走する登山道がある。

画像
電波中継塔    12:41


次に社に詣でた。現在の社は平成元年に建て直されたもので、2段構えである。風雨から建物を護る目的なのだろうが、奥の社の回りに高く土盛りしさらに潅木を植えて囲ってあり、一般の参拝客は奥の社に入ることはできない。三角点がその裏手の最高点にあるということは、土盛りではなくて山頂部を削ったということか?平成元年に削ったのではなくて昔からそういう造りなのだろうか。記念碑の裏の寄進者の名簿を見ると、茨城・福島・栃木の3県を中心にして広範囲に八溝山を信仰する人がいることが判る。

八溝神社    13:02


展望台の利用料は大人100円らしい。あいにくバラ銭がなく曇って景色も良くないので、登るのは次の機会に回す(もう来ないかもしれないけど)。

案内標識@  13:11
上は「八溝渓谷を経て棚倉町に至る」、中段は「徒歩15K・3時間、バス6.5K・22分」(正確には読み取れない)、「福島県・棚倉町」と書かれている。


案内標識A  13:13
自分が歩いてきた方角を示して「至八溝林道10分」なんて書いてある。そんなに古そうな標識には見えない。棚倉町から八溝林道を歩いてさらに笹薮を登って山頂にくる人がいるとは思えないのだが。


県境を下り電波塔跡地で5分程度昼食休憩して、さらに県境を辿って栃木・福島県境尾根に入った。栃木県側が伐採して放置したためひどい藪。膝下の丈のミヤコザサの下には切り株や伐採屑が隠れていて脛をぶつけた。気分良く歩けないので意気消沈し、県境尾根の栃木県側にある舗装林道に降下。

しばしガードレールにもたれてぼんやりしていたら、コツコツという足音が近づいてくるではないか。今時こんなところを歩く人が他にもいるとは驚いた。歩きながら後ろを振り向くと、何も荷物を持たない普段着の男性が歩いてくるのが見えた。栃木県の住民が散策でこんな奥までくるとは思えないし、山頂にはあの風体の男性はいなかったし、いったいどこから来たのか???

棚倉町に下る道との分岐はロータリーになっている。県道・八溝山線は通行止めであった。舗装林道は道路に張り出した樹木が伐採されたばかりで、すっきりしている。全て植林地帯なので見るべきものは特にない。一箇所無線中継施設があり、林業関係者と思しき人たちの無線の会話が漏れている。てっきり近くで伐採中なのかと思ったら1km以上離れた場所で作業していた。

南いわき幹線の巡視路入口の付近は伐採地が広がり、八溝山を遠望できる(左の写真 14:36)。

八溝山    14:36
収穫作業中のスギ植林   14:52


花が膨らみつつあるネコヤナギの木を見つけ、一枝おみやげにいただき。ようやく青空が覗き、陽光を浴びて気分良くMTBで下る。今十文字峠は3年前同様通行止めになっているようだった。

短時間で歩けてしまったので時間が余り、再び寒井地区で竿を出してみた。水温が上がって魚の活性が上がり、瀬の中でも渕でもウグイばかりが食ってくる。既に婚姻色が出ている個体もいた。この地区ではヤマメが釣りきられてしまったようだ。今年の渓流釣りはあまり期待できそうにない。

山野・史跡探訪の備忘録