2008年残雪期の釈迦ヶ岳(2008年3月)

年月日:    2008.03.22(土)

行程:    林道・守子線の最高点(06:43)〜守子分岐(07:21)〜前山(08:26)〜釈迦ヶ岳(9:54-10:10)〜前山(11:29)〜守子分岐(12:25)〜車に帰着(13:05)

2007年春は降雪が少なく残雪歩きが低調に終わった。2008年はそこそこ寒く降雪もあったので期待していたのに、3月に入って一気に暖かくなってしまった。すっきりと晴れ上がることもなければ冷え込みもなく、このまま推移すると3月は残雪歩きしないで終わってしまいそうだ。固く締まることなく雪が融けてしまうかもしれない。

20日に平地でまとまった雨が降った日、高原山の八方ヶ原が新雪で白くなっているのが見えた。21日夜に晴れていたので22日は新雪がある程度締まっていることが期待できる。どうやらこの週末を逃すと3月に気持ちよく歩ける日はないらしいので、今年初の残雪歩きを計画した。当初歩いてみようと考えたコースはかなりハードなもので、雪の締まり具合を考慮すると現在の体調で一泊二日で周るのは無理との結論に達した。よしんば一泊二日で周れたとして疲労で月曜の仕事に支障がでかねない。日曜午後の天候も気になる。夜12時まであれこれ検討した結果、歩きたい場所が他に見つからず福島県境にでかけるのは止めて今年初の釈迦ヶ岳登山に落ち着いた。

いざ雪山歩きの道具を準備しようとしたら、日頃整理していないものだから必要なものがみつからずイライラ。さらに、雪が緩む前に歩くために早起きせねばならず、日頃の睡眠不足に追い討ちをかけるようなもの。山の中を歩いているときはエンドルフィンが出ていると思われるのだが、自分にとって本格的な山歩きは結果的にストレスの原因となる。血糖値のことを考えると山歩きはしないほうが良いのかもしれない。

今回もいつもの場所から尚仁沢右岸尾根コースを歩く。最近はお手軽な低山尾根歩きばかりしていたので、今後の残雪歩きのための体慣らしを目的に本格的な装備を担いでいく。歩き始めから息が上がる。睡眠不足のせいか体調も良くないようだ。本日、高原山を選択したのは正解だな。

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守子分岐    07:21


守子分岐辺りから樹木の陰に小さな雪の塊を見かけるようになる。登るにつれて雪に覆われている割合が高くなるが、そのほとんどは20日に降った雪のようで締まり無し。ズボズボ踏み抜けるのでたまらずアルミ製のワカンを装着。歩くスピードは増したものの数歩に一歩はズボッと抜けるので先が思いやられる。

20日以前の残雪が露出している場所は黄砂などの影響で汚れているので区別できる。固くはないが沈み込みが小さい。例年より雪の量が少ないのではないだろうか。20日以前に歩いた人たちの跡が残されていた。これに対し、20日に積もった雪は締りが足りず、表面から1p下はスカスカ。気温が上がれば踏み抜けることを意味する。

ようやく前山到着。雪はズボズボ。前山からイラモミが生える尾根の区間は稜線部の雪が少ない。せっかく装着したワカンを外すのが面倒くさくて雪庇上を歩こうとするも、20日に降った雪なので踏み抜けまくり。全コースで一番歩きにくかった。初めて釈迦ヶ岳に登った1999年4月は、この区間は固くしまった厚い残雪に覆われておりスニーカーで歩けてしまったのである。

若いダケカンバに覆われた区間に入っても雪が少ない。ミヤコザサが露出してしまっている。登山道に積もった雪のみが若干締りがある。こんな腐れ雪の日にメイプルリゾート側から登ってくる人は少ないだろうから、急いで登らなくても良いだろう。一歩一歩着実に歩を進める。イラモミが数本立つ場所にようやく到着。中岳の眺めはここが一番良いと思う。釈迦ヶ岳まであと少し。

雪に覆われた登山道  09:18
中岳  09:30


このコースの良いところは、全般的に眺めが良いことに加えて眺めが劇的に変化することだろう。釈迦ヶ岳と中岳を結ぶ稜線に達すると北西側の大パノラマが迎えてくれる。これを楽しみに登ってきたようなものなのだ。見渡す限り雲一つなく澄み渡っていて、これまでで一番良かった。腐れ雪を我慢した甲斐があった。南側の関東平野はいつもの如く霞んでいるが、上空の空気は澄んでいるようで富士山が見えている。

富士山がかすかに   09:40
登ってきた尾根と土上平放牧場    09:48


山頂は無人で一番乗り。初めて登頂したときと同じ静かな雰囲気を満喫。

釈迦ヶ岳山頂   09:54


北関東で眺望で釈迦ヶ岳に優る山はあるまい。初回に最高の条件で歩いてしまうとその美しい印象を台無しにしたくないので、たいていの山は再び行こうという気にはならない。釈迦ヶ岳は近場で手軽に素晴らしい眺望を期待できるので、何度も登る気にならしめる数少ない山の一つである。何度も眺めた景色だが、見えている主だった山々を歩いて知識が増えた分面白い。

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前黒山(手前左)・1700mピーク(手前右)と男鹿山地  09:57


日留賀岳の左側に飯豊連峰が明瞭に見えた。積雪期には七ヶ岳の特徴が顕著に現れる。

飯豊連峰(手前の谷は善知鳥沢)
七ヶ岳
会津駒ヶ岳方面
日光・奥鬼怒方面


中岳側の登山道分岐点から見ると燧ヶ岳が鶏頂山の真後ろに白く輝く。

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鶏頂山と県境尾根の山々  10:13

県境で写っているのは右端の帝釈山から台倉高山、引馬山、孫兵衛山、黒岩山まで


北側から人の声がしたが山頂に滞在する間には誰も姿を現さなかった。山中では遠くの声が収斂して聞こえることがあるので、御岳山付近にいた人の声だったかもしれない。

久しぶりに西平岳経由で下山してみようかと思ったものの、西平岳手前のザレ場で雪崩が発生したような跡があり危険と判断。中岳方面には踏み出さず来た道をった。気温が高く日光エネルギーを受けて雪が緩み、帰りはズボズボ踏み抜けまくり。前山の下りで脚が攣って何度か歩行休止したこともあって、下りに3時間弱を要した。

山野・史跡探訪の備忘録