三依の紅葉狩り・日向倉山〜滝向山(2008年11月)

年月日: 2008.11.02(日)

行程: 下郷線104号鉄塔への巡視路入口(08:43)〜104号鉄塔(09:15)〜主稜線・1,090mピーク(10:15)〜日向倉山山頂(11:00)〜主稜線・1,090mピークに復帰(11:52)〜主稜線の巡視路出合い(11:58)〜106号鉄塔(12:06)〜1,071mピーク(12:37)〜滝向山山頂(13:26)〜三依・渓流釣り場へ降下(13:59)〜車に帰着(14:32)

先週の芝草山の紅葉が見頃であったとのノラさんの情報を参考に三依の紅葉狩りを計画。土曜日は風が強いので那須に滝を見に行き、穏やかに晴れ上がることが期待できる日曜日に紅葉狩りすることにした。芝草山の紅葉が終わってしまっていたり、大勢のハイカーが先に入山していた場合に備えて、日向倉山〜滝向山の地形図も用意していく。

三依は冷え込みが厳しく朝の気温は0℃で霜が降りていた。風も無いのにクワの木の葉がバラバラ落ちる。既に8時を過ぎているし、芝草山の登山口近くに車があったので先行者が居そう。遠目には芝草山の中腹より上の紅葉が終わってしまっているようだったので、行き先を日向倉山に変更。烏ヶ森の住人さんが滝向山から日向倉山まで縦走した頃に地形図を見てルートを検討したことはあったが、出入りの多い地形で登り下りの選択肢があり過ぎて考えるのが面倒くさくなり、以後三依を山歩きの対象に考えたことはなかった。この辺りの広葉樹林の紅葉が自分好みであることを知ったので、俄然この時期は魅力的。

予備知識が無いので下郷線の送電線鉄塔の巡視路を利用して主尾根に上がることにする。入山沢の林道を進み、送電線が谷を跨ぐ手前の広くて樹陰のある退避地点に車を停めた。下郷線・104号鉄塔巡視路に進み、すぐに入山沢を渡る。橋は流されて、代わりに丸木を結わえた簡易的な橋が架けられている。巡視路の状態は良好で期待通り急斜面でも楽に登っていける。この尾根は数十年前にはミズナラ等の大木が茂っていたらしいく、伐採された巨木の株が多数目につく。

多様な色彩・色調のモミジ・カエデ類の紅葉が朝日を浴びて織り成す自然の芸術に見とれて道草しっぱなし。

08:52
09:06
09:10


104号鉄塔から荒海山と芝草山が良く見える。

荒海山(右が太郎山、左の瘤が次郎岳)  09:15
芝草山  09:17


105号鉄塔は南隣の尾根にあるので、鉄塔巡視路はなんとここでお終い。尾根には煩わしい藪が一切無いし、急登区間もないのでそのまま尾根登りを続ける。高度を上げるにつれて色付いたゴヨウツツジの木が多くなる。

ゴヨウツツジ  09:29
枝尾根の雰囲気  09:35


自分好みの紅葉が延々と続き飽きない。上機嫌で登っていくと主尾根に達する直前に嫌らしい場所があった。標高1.000m付近で等高線が密であり、高々10m程度の区間ではあるがつかまるものが少ない。尾根の左右は急勾配で、足を滑らしてどちらかにずれればはるか下方まで滑落してしまう。登りはなんとかなるとして下りはどうなるのか。今履いている登山靴は滑りやすいし、ロープを持ってこなかったので100%安全に下る自信が無い。前日の那須の導湯管渡りの時とは異なる嫌らしい感じがする。紅葉を愛でるのが主目的だから此処で引き返してもよかったのだが、つい深入り。

主稜線・1090mピークから日向倉山が良く見える。簡単に到達できそうに見えるが、地形図によると現在位置より200mも登らなければならないし、しかも痩せ尾根が続く。気軽に行って戻ってこれる場所ではなさそう。

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主稜線・1090mピークから見る日向倉山 10:16


日向倉山の北側にある枝尾根はいずれも等高線の密な区間があり、針葉樹が多いので岩場だらけのようである。入山沢側には安全に下れそうにない。下りに課題を残したまま日向倉山を目指す。

1,090m北の鞍部は痩せており急な北東側斜面を避けるように進む。この辺りは大木が残っている。アズマシャクナゲもあるが数は少ない。鞍部から1,210mピークへの登りは尾根幅が一気に広がり、林床はミヤコザサと矮小なスズタケの疎な混合藪で気軽に登っていける。

1,210mピークから日向倉山へ西進する区間はアズマシャクナゲ藪あり(あまり濃くはなく藪漕ぐ感じはしない。)、痩せ尾根の岩場越え有り(南側から巻ける。)で気分良く辿れない。危険個所多くお世辞にも一般ハイカーにはお薦めできない。紅葉愛でるのが主目的だったこともあって今ひとつ気分が乗らないが、ケチな性分だからここまで来たら山頂まで行かないと気が済まない。

山頂まであとわずかというところでピンク色のテープがぐるぐる巻きになっている。南尾根から登ってきた人がつけたものであろう。今日はこんな山登る人はいないだろうと思っていたら、なんと上方から男性が一人鈴を鳴らしながら下ってくるではないか。次いで、女性を含む5名(確か)のパーティが下ってきたのでびっくり。登山道の無い藪尾根で登山者に出遇ったのは久しぶり。山中で孤独でいることには慣れっこだが、今回は嫌らしい尾根の連続で不安を感じていたので彼らと出遇ってちょっぴり心強かった。踏み跡は三角点よりも先に続いているように見えたが、彼らはいったい何処から登ってきたのだろう。読んだことはないが新ハイ等の雑誌で紹介されているのかもしれない。

日向倉山三角点からは女峰山を主とした日光火山群が見える。三依には容姿の美しい山が少ないので、その手前に見えている山々はどうでも良い感じ。

日向倉山  11:01
三角点
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会津駒ヶ岳方面


日陰を求めて少し戻って軽食休憩。高原山が良く見える。曇って雰囲気が悪くなる前に帰りたいのですぐに下山開始。シャクナゲ藪の尾根で下っていくパーティに追いつき、先を譲ってもらった。話している内容から察するに東尾根を下るのは初めてらしい。経験豊富なリーダーと思しき方と少し話をした。「滝向山まで行くんですか?」と問われ、このときはまだ縦走する気が無かったので「いいえ、途中の尾根から登ってきたので」と答えた。「じゃあ、南に下るんですか?」「いいえ、反対側に」「こっちに車が置いてあるんですね?」彼らはおそらく送電線巡視路で南に下ったと思われる。

登ってきた枝尾根の東隣の枝尾根が派生する場所(標高約1,000m)で送電線巡視路に出遇う。105号鉄塔方面に向かえば入山沢に楽に降りられそう。まだ時刻は正午だ。快適な尾根歩きを止めて降りてしまうのはあまりにもったいない。急に気が変わって滝向山まで足を伸ばすことにした。

106号鉄塔を過ぎて標高1,070mの肩で南西方向に下る巡視路とお別れ。1,071mピークから滝向山に向かうには100m以上一気に降下して連絡尾根に入る必要があるのだが、ここの下りの方向を見定めるのが難しい。晩秋で見通しが利くのでなんとか上手く尾根を辿れた。標高930m級の尾根はカラマツが北方向にバタバタと倒れこんで歩く障害になっている。てっきり昔の間伐跡と思ったのだが、根元が全てバキッと折れており、何らかの激しい自然現象で倒れたと考えられる。カラマツがあるのは稜線部のみで、南斜面にはヒノキが植林されている。

標高1,040m級の広い尾根はクリの大木が茂る。入山沢と中ノ沢の合流点に向けて北東に下っていく尾根の派生場所でシカ2頭が急斜面を走り下っていった。岩場を北側に残るワイヤーを利用して越えて滝向山山頂到着。

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滝向山 13:26


所持していた地図が滝向山で切れていたので東南東の尾根の様子が判らない。安全性と歩く距離の短縮を優先して、少し戻って北東尾根を下った。中ノ沢との合流点より上流ならば水量が少なくて楽に渡渉できそうである。尾根は一本調子で危険個所も藪も無い。尾根の左側には渓流釣り場、右側には青い屋根の建物が見える。人の気配の無いことを確認して、入山沢の屈曲点に降り立った。ここは渓流釣り場の最下流部にあたり、石を並べて人工的にプールを形成してあるので楽に渡渉できる。少しチマキザサの藪を漕いで舗装道路に飛び出た場所は芝草山の登山口の対面であった。

三依の渓流釣り場は家族連れで賑わっていた。入山沢沿いの紅葉を眺めながら駐車地に帰着。

山野・史跡探訪の備忘録