霧降から女峰山(2008年11月)

年月日:    2008年11月15日(土)

行程: 六方沢橋の駐車場出発(07:28)〜八平ヶ原(07:38)〜丸山山頂(08:01)〜小丸山(08:14)〜赤薙山(09:07)〜奥社跡・標高2,203m(09:46)〜一里ヶ曽根・標高2,295m(10:25)〜女峰山山頂(11:19-11:28)〜一里ヶ曽根復帰(12:32)〜奥社跡復帰(13:13)〜赤薙山巻道分岐(13:46)〜小丸山復帰(14:18)〜八平ヶ原への分岐(14:32)〜駐車場に帰着(14:57)

土曜日の午前中はなんとか天気が持ちそう。近場の未訪の場所で尾根歩きできそうな場所として六方沢の左岸尾根に着目。午前中勝負ならば六方沢橋の北から2,209mポイントまで左岸尾根を登って帰りは登山道を下ってくるのが良いであろう。2005年に日光稜線紀行のstarion さんがここを歩いた報告がある。この記録を見て、女峰山まで往復するのも悪くないと思った。

自宅の西側には家がないので普段は日光連山、特に女峰山が良く見える。本日は天空の月が見える程度の薄曇りだが、日光方面は全く見えない。雲にすっぽりと覆われてしまっているならば視界の悪い藪尾根登りはしたくないし、頂上行く意味も無い。どうしようかと思いながら近づいていくとぼんやりと女峰山の姿が見え出した。どうやら山の上は晴れているらしい。俄然ヤル気が出てきた。

女峰山は日光連山の一番手前(東側)にあって存在感が大きく荒々しい容姿をしている。栃木県に移り住んで16年になるが、女峰山を毎日のように眺めていながらも近づいたことすらなかった。霧降道路を通るのも初めてである。何故なんだろう。露出度が高いからかな。過去に何度か地形図を眺めたことがあるので興味が無かったわけじゃない。行こうと思えばいつでも行けるという思いがあってつい後回しになったのかも。

霧降道路は部分的に路面が凍結していた。六方沢橋から左岸尾根の全貌が見える。コメツガが多くてあまり自分好みの尾根ではない。寒々として気が萎えてしまう。笹が濡れているので朝早く藪尾根を歩くのは得策ではない。早々と藪尾根を登る案を放棄して、キスゲ平側から上がってくる登山道を歩くことにした。山上が晴れているうちに女峰山に登り、時間の余裕と天候次第で藪尾根を下るかどうか決める。眼下は見渡す限り雲海で遠くに那須・茶臼岳と八溝山の頂がかろうじて覗いているだけ。高原山はすっぽりと雲に覆われもんやりとした膨らみになっている。この雲が徐々に高度を上げてくるのであろう。

六方沢橋南側の駐車場に車を置いて南に向かって道路を歩いていくと、笹刈りされた直登の道がある。案内はないが丸山に至る地形図の破線路のようなので進入。この道を辿る人はほとんどいないようで土壌が剥き出しになっていない。笹原に細いダケカンバがまばらに突き出る平地(八平ヶ原)に上がると丸山が視界に入る。

八平ヶ原から見る丸山    (07:36)


登山道は霧降高原ハウス方面から上がってくる一回り太い遊歩道に抜ける。自分が登ってきた道には遊歩道を歩いてきた人が誤って入り込まないようにロープが張られていた。接続点の右側に進むと道標がある。一本道をそのまま進んで丸山山頂へ。丸山からの眺めは秀逸だ。

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赤薙山〜2,209m峰(丸山から)    08:02


  

丸山からの下りの景色はミヤコザサ原とダケカンバの組み合わせが美しい。そういえば今年は一度も足尾に行ってなかったな。小丸山に達した頃には八平ヶ原の高さまで雲に飲み込まれてしまった。

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丸山(小丸山から)    08:22


キスゲ平から上がって来る登山道はツツジの潅木の間に幾筋もある。このあたりはミヤコザサの丈が低くて自由に歩けるため、道が荒れて歩きにくくなると自然発生的に新しい筋ができてしまうようだ。稜線部にある最新の道は風が当たって寒いので、風裏の旧い道筋を登っていった。

赤薙山への尾根    08:33
丸山も雲の下    08:48


荒れ放題でどれが道か判らないようなコメツガ樹林帯を抜けて赤薙山到着。赤薙山の名の由来となったと思われる薙は南側からしか見えないのでいまひとつ赤薙山に登った実感が無い。

赤薙山から先は痩せてゴツゴツしており細かなアップダウンがあって進みが遅い。このような場所が嫌いなので冷たい風に当たると引き返したくなる。

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奥社跡に向かう途上で見た光景    08:22

この頃はまだ「内の外山」を認識していなかったように思う。前女峰下の赤いバンドを意識して撮った写真


奥社跡(2,203m峰)から先は尾根幅が広がりコメツガ林の中を順調に進める。特に2,209m地点から西進する1,1kmの区間は梢越しに尾根南北の地形を窺いながら快適に進める。ヤハズ(矢筈?)なる場所は樹木が無くまずまずの眺望が得られる。

石祠のある一里ヶ曽根(2,295m)からの眺望が良い。徐々に高度を上げてくる雲に追い立てられるようにして、晴れているうちに山頂を踏みたい一心でここまでだいぶ飛ばし気味に来た。女峰山に至るまでの残りの距離と標高差を把握してまだ先は長いことを知りゲンナリ。

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一里ヶ曽根から見る女峰山方面    10:25


正面ピークの右横にあるモアイ像の出来損ないみたいな岩峰が気になる。

石宝殿(東南から)
石宝殿(西南から)


2,318mポイントの先は尾根幅が狭まり眺め良し。低空の雲海は川俣付近まで伸びてきており、西風に押されてそれ以上は進出できないでいるらしい。風向きが変われば一気に曇ってしまうことであろう。標高2,350mと2,400mの2箇所で急な岩場を通過する。後者には一箇所トラロープが下がっている。

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奥鬼怒方面を俯瞰    10:58


嫌らしい場所を過ぎるとハイマツの中の尾根道を進んで女峰山山頂着。意外なことに頂上は無人。奥日光や奥鬼怒方面、さらには尾瀬やその背後には平ヶ岳らしきが山がくっきり見えており、期待していた以上に眺めが良かった。帝釈山の山頂に人の姿が見えた。あそこまで行けなくは無いと思うが、今日は早めに下山したいので後日の楽しみとする。

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女峰山頂から奥日光方面を俯瞰    11:24


朝方は標高1,400m以下だった雲海は標高1,800m辺りまで上昇してきたようだ。雲竜渓谷からガスが吹き上がってくる。尾根を越えようとして西風に押し返されて渦を巻く。雲の竜が舞うかの様。これが雲竜渓谷の名の由来か?

女峰山頂の社    11:19
雲竜渓谷の雲海    11:28


お神酒をいただいて気合十分(神社にお供えしてあった紙パックのお酒をいただきました。次回はお礼にお供え用のお酒を持って登るつもり。)。登るときに怖いと思った場所もほろ酔い気分のせいか難なく通過。一里ヶ曽根に復帰した頃には上空が曇ってしまった。登りで飛ばしたのは正解だったな。

2,209mポイントで進路を思案。高度計を合わせて方位を確かめて六方沢左岸の藪尾根を下ろうとしたが、樹木の枝が低くて身を屈めながら進まなければならず不快。霧が立ち込めて暗いコメツガ林を下るのは嫌だし雨が降り始めたら最悪。自分の藪歩きのスタイル(自分の眼による地形把握を基本とし、地形図+方位磁石+高度計を補助的に使う。)が成立しないので藪尾根を下るのをやめて登山道に復帰。この判断は大正解。登山道を下る途中で樹上からパラパラと水滴が落ちるようになった。雨は降っていないが霧が付着して木々が濡れている。

奥社跡と赤薙山の中間ピーク手前で若い女性2人組と出遇った。まさかこの天候でこの時間帯に登ってくる人がいるとは思わなかった。しっかりした装備を所持していたので唐沢小屋泊まりで縦走するのであろう。

巻き道を辿って赤薙山頂をパスし、シカの警戒音を聞きながらコメツガ林の中を適当に下って笹尾根に抜けた。視界が利かないので単調に下るだけ。登るときには気づかなかった焼石金剛なる場所があった。女峰山について勉強しておけばもっと楽しめたかもしれない。

小丸山からの下山路は荒れていてうんざりするくらい長い。分岐点から八平ヶ原に向かうハイキングコースに入った。涸れ沢横断地点で霧降道路に下れば楽勝だったものを、地形図をよく見ないでそのまま進んだため100mもの登りを強いられた。雨が降り始めていたため急いで登って最後の最後で大汗かいて八平ヶ原到着。これなら丸山経由で下った方が楽だったな。

山野・史跡探訪の備忘録