才戸入口〜大山〜煤ヶ谷(2009年2月)

年月日: 2009年2月1日

行程: 才戸入口・バス停(07:24)〜大山道の碑(07:41)〜尾根道到達(08:04)〜蓑毛越(08:46)〜女人禁制の碑(09:22)〜山頂(10:10-10:25)〜989mポイント(10:59)〜不動尻(11:56)〜谷太郎林道終点(12:32)〜煤ヶ谷・バス停(13:05)

日曜日はすっきり晴れるとの予報。土曜日ならば思い切って行動できるのだが、日曜は早めに行動を終了したいので大山に登ることにした。

前回と同じ時間に出発。小田急線・登戸駅で5時41分発の各駅停車に乗った。急行は混んでいるので、海老名で追いつく急行に乗り換えるのがベスト。新宿発の電車は夜通し遊んで朝帰りの若者が多い。みなグテッと寝ている。海老名駅では前回と同じ登山客を見かけた。急行に乗り込んでみると座席の上に携帯電話がポツン。朝まで飲んでいたらしく、メールを書きかけた状態で自分もつぶれて、あわてて目を覚まして降りてしまったらしい。今時の若者は携帯電話なしでは何もできないのでいまごろパニック状態であろう。悪用されるとかわいそうなので、秦野駅に預かってもらった。

7時5分発の蓑毛行きのバスに乗り才戸入口で下車。ここで降りた登山客は自分だけ。ここで降りた理由は、できるだけ尾根道を長く歩きたかったからである。予定では小蓑毛の寺の近くから延びる破線路を辿るつもりであった。才戸入口のバス停の対面に「大山7.5km、鶴巻9km、弘法山7km」の案内有り。これは幸先良い。今日は地図は不要だな。

住宅地の中の分岐点で進路に迷った。予定の破線路がある方向に標示が無いのだ。ここはおとなしく地元の案内に従うことにし、右側の道を行く。道は東京カントリークラブを右に見ながら谷奥に向かう。どうやら予定と異なるルートを歩くことになるのは確定的。川を渡ったところでまた案内があり、そこから山道となる。入口にシカ侵入防止用のネットがかけてあり、ネットを通り抜けると面白いものがあった。


地形図には記載されていないものの、これは歴史ある大山詣での道であるらしい。左には使われていない旧いくぼみが存在し、これが地形図の破線に相当すると思われる。右側の道は東京カントリークラブの際を進み、T字路にぶつかる。幅はそこそこ広いが雨水で抉れて車の通行は不可能だ。でもバイクの轍がある。山歩き用の服装に着替えていたら、いましがた登ってきた道からオフロードバイクのエンジン音が響き、2台のオフロードバイクが現れ左側に進んでいった。この道はオフローダーに人気があるようだ。いまは山の中まで舗装されてオフロードバイク乗り回すところが無いからな。

分岐を右に進むと再び東京カントリークラブの際を進むようになる。再び分岐点に至り、右側は弘法山、左が大山方面である。左に進むと無線で話をしながら下ってくるおっさんと出遭った。シカ狩りをしているらしい。この日、3発の銃声音を聞いた。

分岐からひと登りで広い尾根道に到達。不動明王と彫られた石が建つ。尾根道を歩き始めてすぐに舗装林道に抜ける。この林道は蓑毛奥からクネクネと山肌を走って尾根反対側の大山不動尊まで続いているらしい。さきほどのオフローダーは何故か戻ってきて自分と同じ道を上がってきた。

登山道は林道を横切り尾根上を行く。幅広の道は土壌が剥きだしであり、昨日の雨で湿っているので滑らないように慎重に歩いた。シカの足跡があるが、この尾根はほぼ全てヒノキの植林なので生息数は多くないようだ。

遠目からこの尾根を見て、電波中継塔が幾つもあるのだからさぞ眺めが良いだろうと期待していた。ところが延々と稜線部まで植林されていて眺望ゼロ。たまにチラリと富士山を拝める程度で完全に期待外れで退屈だ。


どこまで行っても高取山の標示が無いなと思って登っていたら、どうやら高取山は自分が尾根上に出た場所より南東の556.3mの三角点ピークだったようだ。尾根東から上がってくる舗装林道を横切る辺りにも電波中継塔があるがここも眺め悪し。さらに尾根を進んで最後の電波中継塔を過ぎると蓑毛越に達する。自分が登ってきた方向に浅間山と示されている。最後の電波中継塔のある場所が浅間山と知らずに通り過ぎてしまった。


吐く息は白くても、陽だまりで暖かく感じる。ここで軽食休憩をとった。本日は山の上は無風快晴。最高の登山日和である。地形図を取り出して眺めてみると、すぐ近くに見える大山山頂まで高度差が600m弱もあるではないか。先週登った奥久慈男体山の標高差よりはるかに高い。ということはここからは急登の連続ってことだ。ペースをさらに落とす。

標高780m付近であったと思われる場所に防火線があり、頭の無い石像が数体並んでいる。由緒ある場所のようだが案内は無い。


標高840m級の尾根が平坦な区間には植林が更新されたような跡がある。太い木が残っていないので昔の参道のスギ並木ではないようだ。

画像


同じ平坦地に石塔が2本立っている。一つは寶暦二年の『是迄二十八丁目』と彫られた丁目石。もう一つは弘化二年の女人禁制の碑。女性が登るのが許されるのが何故二十八丁目までなのかの説明は無い。女人禁制の碑の北側(大山山頂側)の面には不思議な刻字がある。


この場には右にも左にも道は無いのである。元々はこの場にあったものではないのか?それとも失敗作なのか?

平坦な区間を抜けて急登復活。ここも植林地で眺め悪し。下社から来る道を併せて程なく、朝早くから登山道の整備をしている人や下山してくる最初の登山客と出遭った。標高990mで下社から上がってくるもう一つの道を併せると植林地を抜けて明るく見晴らしが良くなる。大山ケーブルカー利用で登るハイカーを次々と追い越して鳥居を潜って山頂到着。

大山からの眺めは予想以上に素晴らしいものだった。南側は逆光でうまく撮れないが登ってきた尾根を一望できる。全部植林じゃん。知っていたらこの尾根は使わなかったかもしれない。


山頂には10名程度のハイカーが思い思いに休憩中。我が物顔ででかい声で話しながらお食事している数名のオッチャン連中が居たが、こういうのは山の雰囲気台無しだな。山頂到着のタイミングで社の扉が開けられたので、自身が本日最初の参拝客だ。


山頂の広場は霜が融けつつあった。べちょべちょになる前に退散。山頂の地理に疎いので鳥居まで下って西手に行ってみた。富士山と丹沢山塊が一望できる。この眺めを見たくて登ってきたようなものなので大いに満足。ぐるりと山頂を回って下山開始。

画像


時間がたっぷり天候も安定しているので、大山ケーブルカー方面には下らず不動尻方面に下ることにした。地形図も予備知識もないが一応登山道が整備されているので問題ないと判断。地面に乱れがないところを見ると、自分が本日最初の通行者らしい。ちょっぴり不安を感じた頃に登ってくる男性と出遇い、その後、団体様含めて計15名程度登ってきた。

南側の尾根に較べると植林が少なくて眺めが良い。この尾根は山頂に電気を供給するルートでもある。送電線鉄塔の廻りにはなぜかシソがびっしり。


989mポイントはなだらかな萱野風の場所で眺め・雰囲気ともに良く、二度目の軽食休憩をとった。北側に見える山(三峰山)の容姿が気に入ったので、次回はあそこに行ってみようかな。

画像
大山三峰


989mポイントの雰囲気と正反対にここからの下りは痩せたザレ尾根が続く。袈裟丸山の八反張りが幾つもあるような感じ。両側にロープ・鎖が無かったら怖くて通れん。893mピーク南の分岐点では七沢方面の道が通行止めになっていた。

標高800mの鞍部には東屋があり、男性登山者が休憩中。ここに分岐があったようだが気づかなかった。ここからの登山路は地形図とは異なっており、北側の850mピークまで登ってから東に下る。


850mピークから下りの尾根は全て植林されている。不動尻までの高度差はたったの400mだが、実際に一気に下るとその倍くらいあるように感じる。標高500m付近で遇った男性が最後の登山者だった。

不動尻はお不動様でも在るのかとの期待に反し何もなし。不動尻から三峰山に登る道がある(物見峠まで6kmと書かれていた。)。

川原に下りて顔を洗い靴の泥を落とし、バス停まで舗装路歩き。行く先である広沢寺温泉について全く知らない。バスが走っているのは確かなようだが、主要路線から外れていれば便数が少ない可能性がある。そんなことを考えながら歩いていると、谷太郎川を渡る2つめの橋で煤ヶ谷方面に向かう遊歩道の入口があった。煤ヶ谷は本厚木から宮ヶ瀬に行くバス路線の途中にあるから便数は多いはず。広沢寺温泉に向うより距離が長いけれども未舗装だから足には優しそう。迷わず煤ヶ谷方面に進路変更。


落ちていた標示が古そうだったし、渓流の斜面沿いに続く細い道なのでちょっぴり不安があったが、鎖で安全を確保してあったり渡渉点には新しい木橋が架かっていて安全に歩ける。


谷太郎川の渓流は大きな堰堤が幾つかあって渓流本来の流れが失われてしまっている。砂防もある程度は必要だから仕方ないか。しばらくの間、煤ヶ谷に向う遊歩道は左岸側、広沢寺温泉に向かう林道は右岸側にあって並走する。林道はだいぶ高い場所にあり、そのうち尾根を越えて反対側に向うようだ。一箇所、右岸側から落ちる一条の美しい滝を見た。

谷太郎川林道終点には車が4台あった。ここまで遇ったのは親子連れのハイカー一組のみ。残りはどこに行ったのであろう(どうやら終点から鐘ヶ嶽に登ることができるらしい。)。なんとなく汚らしい管理釣り場には客の姿なし。ハンターの一団が居た。

煤ヶ谷の寺家谷戸にも三峰山への登山路入口がある。東丹沢は暖かくなるとヤマビルがわんさか出るらしいが、早春はこの辺りが面白そうだ。

主要道路に出てすぐ近くに煤ヶ谷のバス停がある。携帯電話の時刻を確認すると13:05。時刻表を見ると13:04発である。並んですぐに本厚木行きが来たので待ち時間無し。バスの利用客が多く、バスはこの地域の住民の足として重要な役割を果たしているようだ。今日は行きも帰りもバス利用。バス利用の文化が死滅し自家用車利用が当たり前の地域に住んでいたので、PASMO使ってバス利用するのは初めての経験である。バスに揺られてついウトウト。なかなか良い旅であった。

山野・史跡探訪の備忘録