塩那道路ちょこっと2009・川見曽根

年月日: 2009年3月7日(土)

行程: 板室側ゲートから往復(時間記録無し)

ブログ:がりつうしんを見て、急にフキノトウを賞味したくなった。

自然環境下においてフキは下記の条件を満たす場所に生育する。

  @乾燥しない場所であること(大きな葉を持つ植物に共通する条件である。)

  A日当たりが良いこと

  B土壌が柔らかいこと

  C水捌けが良いこと

   

そして、必須ではないが、次の条件を満足する場所に特に多く生育する。

  D 深く積雪する場所であること

自然界でこの条件を満足する場所は比較的日当たりの良い沢の岸沿いに限られる。それ以外では、人工的に空間が開けた林道の法面に崩落した土砂が溜まったような場所に多く見られる。

線路横や住宅の庭等の限られた場所を除いて、平野部でフキノトウを見ることはまずない。栃木県であっても、油井近辺の那珂川の沢底に貧弱なフキノトウが出るのを除いて、積雪する亜高山帯の林道や福島県境近くに行かないと採取できない。塩那道路もそのひとつ。良型は少ないものの密度の濃さは栃木県随一。ただし、川見曽根付近(標高1,100m)まで行く必要がある。風が収まった午後1時過ぎに自宅を出た。山歩きの下見兼ねて行けるところまで行ってみる。

百村新田からの那須岳の眺めが好きである。那須岳の主塊は茶臼岳・朝日岳・三本槍岳だが、普段南側から目にする那須岳のイメージは白笹山と黒尾谷岳が主体だ。百村新田から見ると両者の間に南月山の稜線部が良く見える。写真を撮ろうとして車外に出てみると県北はまだ風が強く吹いていた。塩那道路では風花が舞う。山歩きするような天気ではなさそう。誰にも遇いそうにない。

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百村新田付近から見た那須


車止めゲートまではほとんど雪なし。ゲートから先も日照の少ない場所に20cm程度雪が残っているだけで、日当たりの良い場所は吹き溜まり以外に雪なし。雪の上には不鮮明なトレース有り。3月上旬で既に塩那道路歩いて雪山ハイクに行ったパーティがいるのかもしれない。

期待したとおり、川見曽根に近づくと雪の消えたばかりの場所に食べ頃のフキノトウが多数出ていた。

川見曽根・1141mピーク(帰りに撮影)
川見曽根


すぐ近くにある1141mピークが気になる。塩那道路から木ノ俣川渓谷にすこし飛び出たピークで、これまで何度もその姿を見ながらも藪を敬遠して素通りしてきた。今なら雪庇歩きで楽に行けるかもしれない。

踏み込んでみると雪の締まりはいまひとつ。その替わりチシマザサ藪は薄く、北側斜面寄りにうっすらと獣道がついていて辿るのは容易。シロヤシオは中の大倉尾根や大入道が有名だが(どちらも見たことないけど)、男鹿山地の小尾根にもシロヤシオが多い。川見曽根も太いシロヤシオの木がたくさんある。10分程度でピーク到着。

川見曽根・1141mピークのブナ


塩那道路を歩く時は殉職の碑近くからの眺めを楽しみにしている。遠く茨城方面には奥久慈男体山を確認できた。間近に見える白笹山と黒尾谷岳のいかにも火山らしい容姿も魅力的である。

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白笹山と黒尾谷岳


山野・史跡探訪の備忘録