蒲谷地から大倉川・小滝訪問(2009年8月)

年月日: 2009年8月15日(土)

行程: 小倉川林道欅沢支線ゲート出発(標高約870m、05:29)〜登山道入口(標高1,370m、06:43)〜鴛沢下部(07:35-07:43)〜鴛沢上部(07:59)〜駕篭山稲荷神社鳥居(08:37)〜小滝への下降路分岐(09:00)〜大倉川へ降下(09:30)〜小滝(09:45-10:30)〜駕篭山稲荷神社鳥居復帰(11:42)〜神社まで空身で往復(12:09)〜鴛沢下部(13:00)〜登山道入口(13:50)〜アサギマダラを観賞しながら林道ゲート帰着(15:10)

関連記録: 蒲谷地から姥ヶ原・谷地平へ(吾妻山修験の跡探訪その2)(2005年7月)

とうとう今年は梅雨明けせずに立秋を迎えてしまった。12日に小滝を目指したものの、高温・多湿で朝方雨が降っていたため登山道入口で退却。午後から澄んだ青空が広がったが、この日の気温・湿度で長時間行動はきつかったと思われる。途中退却して目的地を変更したのは賢明であった。13日と14日も猪苗代では降雨こそなかったがすっきりしない空模様。栃木に戻る予定の15日になってようやく快晴が望めそうだ。こんな機会は滅多にないので、栃木に戻る予定を1日延ばして再挑戦。

15日早朝は放射冷却現象で猪苗代平野部の気温は14℃。蒲谷地に至っては10℃。夏ではなくすっかり秋の空気に入れ替わった感じがする。平地でこの気温だから高地の気温は推して知るべし。2006年夏に中津川を遡行してヤケノママに泊まった夜、凍えて眠れなかったのも無理からぬところだ。あの夜の気温は5℃を下回っていたかもしれない。

気温が低いのは、ハードな山歩きするぶんには汗っかきの小生にとって好都合。ゲートから歩行開始。順調に登山道入口に到着。お盆直前に(おそらく猪苗代地区遭難対策協議会が)笹刈りを実施してくれたおかげで、4年前よりもはるかに歩き易く感じられた。前日に歩いた1名分の足跡があった。

登山道入り口から駕篭山稲荷神社までの様子は「吾妻山修験の跡探訪その2」に記した通りなので、要約のみ記す。当時の地形図記載の破線路の位置は全く信用できないものであったが、近年の地形図記載の破線路はGPSログに基づいているらしく極めて正確である。

  1) 歩き始めて間もなく水流のある沢を渡る。
  2) ツルツル滑りやすい石がゴロゴロする涸れ沢を数十m遡る。道に見えないが、途中一箇所に登山道の標示有り。
  3) 数箇所倒木で遮られた広く明るい台地状の尾根を横切る。
  4) 水流のある沢の左岸側を少し進んでから渡る。
  5) しばらく登りが続く。
  6) ほぼ涸れた大岩ゴロゴロの鴛沢(*1)を約400m遡行する。基本的に沢底歩きであり、上流側で断続的に右岸側を歩く。ツルツルの岩に注意。
  7) 針葉樹林帯の中をダラダラ登りしてからトラバース。

*1 福島浪漫紀行さんの記事に基づき鶯沢→鴛沢に訂正(2018/06/30)。鴛(オシドリ)がいるような沢ではないのに、何で鴛沢?

今回新たに気づいたことは、

@ 1) と2)の間で大倉川右岸側に朝日が当たる日向ーが見える。日向ーは常人が行ける場所ではないし、大倉川を遡行しても見えない場所に名前がついているのを不思議に思っていた。昔の人が朝方この道を歩いて谷地平に向う時に見て命名したと思われる。 

A 6)の鴛沢をほんの少し下ると大倉川左岸の崖に出る。特に見るべき眺めではない。

B 周りは針葉樹林帯だが谷間だけ広葉樹が多いので多数のウグイスがホーホケキョ。

C 見晴らしのない樹林帯だが、一箇所だけ磐梯山と秋元湖が見える。

鴛沢末端
磐梯山と秋元湖


7)の区間で木の根を跨いだときにザックから鈴が外れて深い穴に転がり落ちてしまった。この鈴は6月に中袈裟丸から餅ヶ瀬川中道尾根に下る際に拾ったものだった。短いおつきあいでした。

ようやく駕篭山稲荷神社鳥居に到着。十字路の案内は文字が消えてしまって、案内は無きに等しい。谷地平方面に登山道を下り、小滝への下降路分岐に到着。ここの道標も文字がかすれてしまっている。

小滝への下降路分岐点


下降路は少し薮化しているものの、踏み跡自体は明瞭。ここにも前日のものと思しき1名分の往復した足跡があった。薮の中にゴミ袋を2つ発見。1つは重いウェーダーが入っていた。罰当たりめ。神聖な場所でよくやるよ。最低限のマナーくらいわきまえろっちゅうの。重くて回収できんわい。釣り餌の箱とビニールシートだけ帰りに回収。

次第に傾斜が出てきて沢音も聞こえるようになる。下降路にガレている箇所はなく、適度に薮化していて掴まるものがあって安心。赤布もあるので追うのは容易だ。谷底へ真っ直ぐ下降するのではなく、下流側に向けて斜めに降りていく感じ。ガレた小さな沢筋を横切る場所で反対側に道の続きがあるのに気づかずガレ沢を下り始めた。明らかにそれまでの道と様子が違うし危険度が高い。すぐに道を誤ったことに気付き戻って事なきを得た。その後も順調に下って大倉川左岸に到着。結局、懸垂下降の装備は必要なかった。重かったぁ〜!

なんとなく登山靴のまま滝まで行けそうな気がしてそのまま遡行。一箇所、岩にへばりつくようにぎりぎりのバランスで通過する場所があるが、早めに沢靴に履き替えておけば問題ない。小滝まであと少しというところで垂直側壁のぶっつけで行き止まり。ここで沢靴に履き替えて浅い場所を右岸に渡り、少し進むと眼前に小滝が出現する。思わず喚声を上げた。


落差、水量、瀑風、瀑音、垂直側壁のいずれも迫力十分。あいにく滝の上空に雲が発生してきれいに撮影できなかったけれども、小滝訪問を達成してこの夏休みに思い残すことはない。


下るときは足元に集中していて気づかなかったことが2つ。

@ 下る途上でも小滝の上部が見える。

A 下流側右岸に落差の大きな支沢の滝が懸かる。

登降途上で見える小滝落ち口
登降途上で見える右岸支流の滝


慎重に登り返して駕篭山稲荷神社の鳥居に復帰


駕篭山稲荷神社に空身で詣でてから下山。12日の疲労が残る右足首が心配だったが、なんとかもってくれた。

道沿いのヨツバヒヨドリにはアサギマダラがたくさん群がっていた。彼らは遠く南方への旅の途上にある。山形から吾妻連峰を越えてきたんだろうか。花から花へ優雅に舞いながら徐々に南側に移動しているように感じた。

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道草しながら林道歩きに1時間以上かけてゲート到着。


蒲谷地出口から安達太良山の爆裂火口がくっきりと見えていました

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山野・史跡探訪の備忘録