渋沢丘陵(2009年11月)

年月日: 2009年11月3日(火)

行程: 秦野駅(08:16)〜震生湖(09:10)〜栃窪〜頭高(ずっこう)山〜渋沢駅(12:04)

関連記録: 弘法山・吾妻山コース(2009年1月)

久々に釣りに行こうと思っていたのだが、3日は北風が強く波も高いとの予報であきらめた。3日朝には風も波も穏やかな予報に修正されたが、快晴なので東側を向いた海岸では釣りにくい。それに寒いし。足の具合は本格的に山登りできる状態ではないので、今年1月に歩き残していた渋沢丘陵を歩いてみることにした。丘陵と侮ることなかれ。丹沢、箱根、富士山、大島を望めるらしいのだ。

今回のコースは頭高山を除いて下記ガイドブックのコースにほぼ同じ。

山と渓谷社発行 新分県登山ガイド13 神奈川県の山 19項

今回は菊名で東横線からJR横浜線に乗り換え、町田で小田急線に乗り換えて秦野に向った。丹沢山地は快晴である。足の具合がもっと良ければ降雨後のドロドロ道歩くのを覚悟で丹沢縦走したかもしれない。

秦野駅のヤビツ峠行きバス乗り場にはハイカーの長蛇の列。今年一番人出が多かったのではないだろうか。塔の岳なんて人で埋まってしまったのではないか。

秦野駅北口から水無川に向かい、橋を渡らずに川に沿って右側(下流側)にしばらく歩き、案内に添って右折するとすぐに弘法の清水に着く。ガイドブックには「踏切を渡り、T字路を左折」と書いてある。ところが小田急線の踏み切りを渡ってもT字路には行き当たらない。前回同様ここで道が判らなくなり、適当に住宅街の広めの道を歩いて高みを目指すことにした(ガイドブックの名誉のために補足すると、ガイドブックの記述に間違いはなかった。小生の思い浮かべるT字路とは、直進できなくて左右に道が分かれるイメージなのだ。Tの字の横棒の左側から歩いてきたのでT字路と思わなかっただけ。しかも、間抜けなことに、ガイドブックには地図も載っていたのに気づかなかったのだ。)。住宅街歩くのは薮山歩きよりはるかに難しい。

尾尻トンネルを抜け、十字路で右折するとしばらく富士山を正面に見ながら直進してから丘陵を下っていく。「なんだなんだ?せっかく登ったのに降りちゃうのか?」と思いながら進んでいくと、白笹稲荷神社入口の交差点から丘陵に上がっていく路の傍に震生湖を指し示す道標が立っているのを発見。ここでめでたくガイドブックのコースに復帰。

畑に沿って丘陵を登っていくと丹沢山地が一望できる。これは素晴らしい。

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東丹沢(右が大山、中央が二の塔・三の塔)、左にピョコンと見えているのが何なのか不明。


東側から富士山を眺めると、その手前に丹沢山地が広がり、最も左側に尾根勾配が一定ですっきりとした姿が特徴的な大山が見える。渋沢丘陵から見るとちょうどその逆の構図となる。こちらか見る大山の容姿も良い。

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大山


ここで問題発覚。充電したバッテリーを置いてきてしまったので、パノラマ写真を撮っていたら電池切れ寸前。少ない電荷が溜まるのを待って騙し騙し使うしかない。富士山の眺めを撮ることを最優先したので、この後撮ったのはたった3枚。

丘陵上の道に出ると前方に富士山が浮かぶ。期待していた眺めに満足。今日、丹沢に登ったハイカーは新雪を被った美しい富士山の姿を満喫したことであろう。

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程なく震生湖に至る。大正12年(1923年)の関東大震災による地滑りで堰き止められてできた溜池だそうである。澄んだ美しい湖を期待していたのだが、実態は水の濁った沼だ。こんなところにもブラックバス密放流したアホがいるらしく、ルアー竿持った釣り人が何名かいた。昔からヘラブナが放流されており今でもヘラブナ釣り客の方が多いようである。沼の水が汚いのはヘラブナ釣りの餌による富栄養化らしい。

北岸に福寿弁才天がある。めずらしくおみくじ引いてみたら大吉。昨年末からずっと良い基調で推移している。不信心でも気を良くしないはずがない。

丘陵上の舗装道路に復帰して程無く、震生湖バス停に至る。ここで自分が歩いてきた丘陵上の舗装道路は北側の麓から上がってくる車道に接続する。峯坂と彫られた碑があるので、昔は峯坂と呼ばれていた場所なのかもしれない。この他に、震災埋没者慰霊塔と昭和初期の道路拡幅記念碑が建つ。

この先、車道から分かれて道標に従い丘陵上の細い路を辿る。221.1mの三角点は見つけられなかった。丘陵上にはみかん畑や野菜畑と雑木林が混在しており、雰囲気良し。南側の開けた場所から伊豆大島も見える。ガイドブックの記載の如く、稜線漫歩の気分。

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大島


小生は野菜大好き人間だが、酸味のある果物は普段一切食べない。味覚は子供の頃と変わらず美味しいと思うのだけれども、野菜で十分ビタミン摂取しているためか普段は果物を食べたいという欲求が起きないのだ。特に柑橘類は1年に数個、疲れた時に食べる程度。無人販売所にあった中サイズのみかんは6ヶ入りで一袋¥100である。一袋購入して帰宅後に賞味。久し振りに食べたみかんは美味しかった。

ガイドブックの薦めに従い、栃窪集落から渋沢駅には向わず真っ直ぐ細い路に進入。栃窪神社の分岐点(御嶽大権現の標有り。)に至る。ここから栃窪神社まで往復。浅い谷にある施設から数多くの犬の吠え声が途切れることなく響いてくる。すごい騒音だ。犬のブリーダーでもいるんだろうか。犬が決して嫌いではないのだが、このやかましい吠え声を聞くのはとても不快だ。

分岐点に戻り、右側の深く抉れた山道を行く。山頂には神道系の妖しげな施設があり、門が閉まっていて入れない。ガイドブックでも触れていないので、見る価値はないものだろう。

山道は左から来る舗装道路に接続する。ガイドブックの推奨コースはこの舗装道路に沿って下るものだ。しかし、現地には頭高山を指し示す道標があり、頭高山経由で渋沢駅まで3.7kmとのこと。まだたっぷり時間があるので頭高山にも寄っていくことにする。

左下の斜面に広がる耕作地とその向こう側に続く丘陵地帯を見渡せる開放的な場所を経由して、広葉樹林の斜面沿いの車道を下り、かりがねの松なる言い伝えの説明板がある神社(雁音神社という名らしい。)を過ぎ、道路が右にカーブするところで細い道に直進。

丘陵上の踏み跡を進むと右下から上がってくる道に合流する。右下から上がってくる道が頭高山に登るメインの道らしく、男女のペアが登ってくるところだった。あとは広い道に沿って歩くだけ。頭高山の直下で道が左右に分かれる。富士山が見えるかもしれないと思って右を選択したのだが、これは失敗。この山は眺望は期待できない。八重桜の山として整備しているらしいので、将来八重桜が立派に育ったら名所になるかもしれない。

山頂を経由して休まずに下山し、直下の眺めの良い東屋で軽食休憩した。降りていく間に登って来た男女のペアが3組いた。内、2組はガイドブックで進むべき道を調べていたので、リピーターではない。渋沢丘陵を歩くのではなく頭高山に登るのが目的で来たようである。見所が無い時期に、丹沢登らずにこんな山に来る人が他にもいるなんて不思議。

下りでは渋沢駅を指し示す案内を見かけないが、迷わずにまっすぐ渋沢駅に到着。眺めがよく足に優しい秀逸なハイキングコースであると思う。

山野・史跡探訪の備忘録