年月日: 2010年1月10日(日)
行程: 寄「やどりぎ」バス停(07:24)〜シダンゴ山(08:22)〜八郎丸・ダルマ沢ノ頭・880m(08:58)〜林道秦野峠線記念碑(09:21-09:30)〜秦野峠(09:55)〜1,086ポイント(10:25-10:30)〜伊勢沢ノ頭・1777m(10:50)〜檜岳「ヒノキダッカ」(11:28)〜昼食休憩(約10分)〜雨山峠(12:09)〜鍋割山(13:17)〜栗ノ木洞(14:17)〜笹地の森(14:31)〜上秦野林道(14:56)〜四十八瀬川(15:01-15:12)〜黒龍の滝(15:15)〜西沢林道(15:22)〜大倉バス停(16:05)
3連休に栃木に戻らないので1日は山で運動したいが、右足のかかとに軽く痛みを感じるので山歩きに不安がある。会社の表彰制度でお小遣い程度だけど臨時収入があって懐具合が少し温かくなったので、9日(土)は元住吉から横浜まで遠足して業務に役立ちそうな技術解説の書籍を仕入れに行った。長距離歩いても足の具合に変化無し。10日も日中は天気良さそうなので山歩き決行。
新松田駅3番バス乗り場で前に並んだ女性登山者が「富士山がきれいですね。」と言う。ここに並ぶと背後に大きく富士山が聳える。今日も良い眺めが期待できそう。
麓の寄は見えず、反対側の小田原方面の眺めが良好。富士山は手前の八郎丸に半分隠れている。蛭ヶ岳が見えるとは思わなかった。
西側への下りは乾燥してザレ気味。尾根を快適に西進して高松山方面との分岐に至る。尾根上に続く高松山方面の道もしっかりしているようなので次回の山歩き対象の候補の1つだ。秦野峠方面への下りはザレていて少々危険である。程なく林道虫沢線に再会。単にシダンゴ山から秦野峠方面に行くのなら林道を歩く方が楽であるようだ。林道虫沢線を少し進むと林道秦野峠線との接続点に至る。記念碑で小休憩してエネルギー補給。おそらくゲートがあって一般車両が入り込めないのであろう。明るく静かな峠だ。
いよいよ本題の檜岳山稜に入る。最初の急登がつらい。木製の土留め階段は朽ちてボロボロ(以後、雨山峠まで一貫してこの調子。道標以外はだいぶ長いこと整備されていない。)。時折、東側の眺望が得られる。
稜線の両側がヒノキ植林になっていて、それぞれ有刺鉄線の防護ネットで囲まれており、有刺鉄線の間が狭いところでは幅1.5m程度しかない。常に顔の位置に有刺鉄線があるので慎重に通り抜ける。
秦野峠は地形図上の破線の屈曲点にある。破線はその西側でT字路の形で接続するように描かれているが、現在の登山道は868mポイントまでは境界線上に在り、北側鞍部から秦野峠に向う。鞍部から尾根を登って玄倉に向う破線を指し示す案内は無かった。
秦野峠がいかなる存在であったのかまだ調べていないが、昔の道筋は現在の地形図に記載されていないようである。下の写真の窪みが寄から上がってくる旧峠道であると思われる。下部はおそらく林道秦野峠線で削られてしまっていることだろう。
1,086mポイントまでの尾根は雑木林で明るく梢越しの眺め良好。ザレた道の急登だが雰囲気は悪くない。西隣の尾根にいるシカの群れの動きが良く見える。
1,086mポイントからは勾配が緩く快適な尾根道。惜しむらくは、伊勢沢ノ頭・1177mまでの区間の北西側斜面がヒノキ植林で眺望が得られないことだ。防護柵の隙間を抜けてみた。この位置からは丹沢湖と富士山を望める。少し整備すれば絶景ポイントになり得る場所である。
伊勢沢ノ頭への登りで6,7名の男性の集団と遭った。シダンゴ経由で来たことに驚かれてしまったが、このコースはそんなにマイナーってことか。彼らは登山者でも狩猟者でもなく何かの調査のために行動していたようだ。玄倉側から上がってきた林業関係者だったのかもしれない。
伊勢沢ノ頭(檜岳山稜の最高点)の屈曲点を過ぎるとさらに尾根の雰囲気が良くなる。
檜岳山頂には朽ちたテーブルが数台あるのみ。ほぼ同時に雨山峠方面から男性単独行者がご到着
雨山は檜岳山稜の一部であり、男性単独行者2名を見かけたこと以外、特筆すべきこと無し。檜岳のどこかでタオルを落としたようだが、いまさら戻る余裕無し。今日は寒くて汗かかないからなんとかなるでしょ。腹が減ったのでやや雨山峠方面に下った場所で昼食休憩した。朝拾った柑橘の皮を歯で齧り千切って果肉を頬張った。酸っぱい果汁が口いっぱいに広がる。結構いける。酸味が嫌いで普段は果物を一切口にしないが、疲れた時はレモンでも平気で食べられる。
雨山峠は浸食が進み危険な場所であるという。峠に向けて下っていくと険相となり両側が切れ落ちた痩せ尾根が続く。ようこそ!丹沢へ!に拠ると寄沢は断層に沿った谷であるとのことなので、鍋割山と雨山の間を繋ぐ痩せ尾根はいずれ浸蝕が進んで分断されてしまうことだろう。元々風化しやすい石英閃緑岩が断層の力の影響を受けたためか極めて脆くボロボロ。
ザレていて且つアップダウンが激しくて疲れる。最低鞍部の雨山峠はまだ良い方で、最大の難所はその北側区間にある。特に1,108mピークへの登りにある長い鎖場の登りはケツがムズムズ。下りはもっと怖そう。浸蝕が進んで通行止めになる前に歩いておこうと思って来たのだが、少々後悔。ここに較べたら蛭ヶ岳南稜の方が安全だわさ。雨山峠と鍋割山の間は怖いのでもう歩かない。
鍋割山最寄の鞍部にも分岐点があり、男性単独行者が地図を広げて思案中。地形図に記されてはいないが、ここが鍋割峠なる場所らしい。植林されているので、割合楽にアクセスできそうだ。
鍋割山山頂ではまだ多くの登山者がくつろいでおり、昼寝してるのも居る。蛭ヶ岳が少しもんやりとして時間が押しているような気がしていたのだが、まだ午後1時半を過ぎたばかり。この先は余裕である。大倉尾根の下りに較べると足に優しい。
午後になっても小屋泊まり予定で登ってくる人が多数いる。小生、メジャーな場所でも行き遭う登山者に全て同じように挨拶する。様々な反応があるものだ。先に挨拶する人、譲り合ってお礼を言う人、声は出さなくても目線が柔らかくてお辞儀する人、女の子には愛想良いくせに小生には「ふん、男か」と言う感じで無視するスケベオヤジ、昔のプライドが邪魔するのか「この若造が」という感じで尊大に振舞う爺、完全にそっぽを向いて面倒くさそうに声だけ返す人。山中に限ったことではなく、どこでも挨拶と譲り合いは大事ですぞ。
鬱蒼としたヒノキ植林の栗ノ木洞・908.3mピークを通り抜け、810mポイントまで行かずに標高850m付近にある道標を見て四十八瀬川側に下った。途中から派生する枝尾根を下っていく。シカ防護柵で区切られた一帯があり、ミヤマクマザサに被われている。ミヤマクマザサに被われた区間は急勾配斜面をジグザグに横切る道だが、植生がしっかりしているので荒れが全くない。対照的に柵の外側にミヤマクマザサはシカに食われて一本も残っていない。山の荒れを防ぐにはシカ生息数の適正化と林床の植生保全が大事であることを如実に示している。
林道支線を横切り、スギ植林をさらに下って上秦野林道に抜けた。上秦野林道を下っていくとゲートがあり、登山者の車が多数有り。マイカー利用でここを起点として鍋割山に登る人が多いらしい。ゲートから程無い場所から道標に沿って四十八瀬川に降りた。朽ち掛けた木橋を渡り左岸へ移動。この時間にこんな場所歩く登山者は稀だから気兼ね不要。清流で顔を洗いさっぱりして着替えを済ます。山を歩いて最も達成感を得られる瞬間である。大倉バス停までまだ遠いが、本日は気温が低いしもう山登りも無いので汗をかくことはあるまい。
約80m登って西沢林道に上がり、一息入れてから、鍋割山帰りの登山者達と徒競走みたいに大倉バス停に向い、16:10発のバスに乗った。