2010年残雪歩き納め(天狗角力取山〜大滝山〜二ッ森)

年月日: 2010年5月2日(日)

行程: 観音寺林道・標高670m地点(06:45)〜分水嶺1338mピーク(08:21)〜天狗角力取山(地元呼称:てんぐのすもとりやま)・1360m(08:41)〜林道・三河小田川線開通記念碑(08:52)〜大滝山・1370.3m(09:07)〜二ツ森(09:13 - 09:30)〜天狗角力取山復帰(10:08)〜1338mピーク(10:26)〜1080mポイント(11:01)〜1130m地点で分水嶺離脱(11:10)〜観音寺川左岸に降下し渡渉(11:53)〜車に帰着(12:21)

1日早朝に川崎を出て栃木に戻り、午後に独りで猪苗代に帰省。例年ならば猪苗代の山肌に山桜とコブシの花が目立つはずだが、今年は春の進行が遅くてまるで冬山みたいだ。近年有名になった川桁の観音寺川土手の桜はまだ開花すらしていなかった。自分の記憶の範囲では今年の開花が最も遅い。

郡山市・湖南から猪苗代町に北上する途中、川桁山の裏(東側)から大滝山にかけてたっぷりと雪が残っているのが見えた。今年は残雪が多くていつも父と山菜採りする場所には行けないであろうから、川桁山の裏で残雪歩きでもしようと思った。残雪が豊富だった2006年に大滝山まで行ったことがある。このときは出発が遅かったので二ツ森に行かずに引き返してしまった。よって、二ツ森まで足を延ばしてみるのが第一の目的である。

1998年に稜線のイヌツゲをかわしながら観音寺左岸尾根を縦走して分水嶺(猪苗代・郡山市境界)に行ったことがあった。分水嶺にはさほど疲労せずに到達(1157.1m三角点ピークに立ち寄ったのかどうか記憶が定かではない。)。あわよくば天狗角力取山まで縦走してやらんと意気込んでいたのであるが、分水嶺で待ち受けていた蔓混じりのチシマザサ密藪に辟易し、分水嶺を700m程度進んだだけで(標高1,080mポイントの辺りで)ギブアップ。無雪期に歩く場所ではないので、残雪利用で前回の未踏区間を歩くのが第二の目的である。

当日朝は車のフロントガラスが凍りつくほど冷え込み、残雪歩きには好都合。観音寺川沿い林道の標高670m地点に雪が残っていたのでその手前に車を置いて出発。林道上に雪が残っていたのはここだけ、その先標高850m地点まで雪無し。今年の総積雪量は決して多くはなく、山上に雪が多いのは4月の低気温と降雪に因る。岩魚釣りの車が2台雪を越えていったが、雪代がゴンゴン流れる観音寺川では釣りになるまい。

前回と同様、天狗角力取山の禿に突き上げる谷に進入。1338mピーク経由で分水嶺の残雪の状態を確認すべく、谷の左岸側の尾根を辿った。この角度から観音寺川奥部を見るのは初めて。

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川桁山〜小田峠〜天狗角力取山(1327m、1360m)(08:15)


1338mピーク南側の分水嶺に雪がたっぷり残っていることを確認してから分水嶺を北上。大滝山・二ツ森方面に高い人工物が2本建っているのが見えた。

南から見る天狗角力取山(08:26)


天狗が相撲をとる場所とされる禿げは2箇所ある。風衝地であり、強い西風が吹き抜ける。

南側の禿げ
北側の禿げ(08:31)


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天狗角力取山から見る猪苗代湖(08:32)


大滝山一帯の山林の所有会社は根性悪そう。前回よりも警告表示の数が増えた。民間会社が何で水源涵養保安林を所有しているのか解せんな。

林道・三河小田川線にある目障りな警告表示(08:52)


高い人工物のうち一基は林道の近くにある。一見するとただの避雷針だが、保安林内作業許可済標識に拠ると、東電が設置した大滝山地点風況調査に伴う観測設備であるようだ。風の強い場所であるので、ここに風力発電施設を建設する計画でもあるのかもな。無粋な話。意味の無い林道を長年綺麗に維持している理由はこれか?

同じ建造物が二ツ森の近くにも設置されている。邪魔だ。

大滝山からみる二ツ森(09:07)


2006年時に露出していた大滝山三角点は今回は深い雪の下。二ツ森まで楽に行ける。二ツ森はなだらかで樹木が少ないのでチシマザサの海になっているのかもしれない。残雪期は美しい場所だ。

二ッ森のブナ林


地面が露出した1314mピークで軽食休憩して引き返す。大滝山は尻セードで一気に降下。

天狗角力取山の東側 (10:02)
1338mピーク南側(10:33)


1338mピークの南側の分水嶺は標高が低い割りに残雪が多い。丈の高い密なチシマザサ藪が発達する訳だ。

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最低鞍部1080mポイントから見る川桁山 (11:01)


最低鞍部から登り返して標高1130m地点から北西に派生する枝尾根を下った。笹薮は無く、カモシカや根曲がり竹採りが辿る踏み跡が断続する。ショウジョウバカマとイワウチワが開花中。とくにイワウチワは足の踏み場がないくらい広範囲に群生している。

ショウジョウバカマ(11:25)
イワウチワ(11:32)


1998年時は途中で尾根を離れて進行方向右側の谷に降りたので、今回は末端まで尾根筋を下ってみる。標高900mで尾根が二つに枝分かれする。地形図を持っていないので正解が判らん。左の枝尾根を下っていくと、最後は崖になっていて安全に降りられないことが判明。湾曲した谷状の地形を下り最後は垂れ下がる樹木につかまって後ろ向きに降下。降下地点は予定していた場所よりはるかに下流側(811mポイントの約200m西方の林道カーブ)だった。観音寺川沿いに厚く残っている残雪を利用して、林道がある右岸側へ難なく渡渉。

林道沿いのキクザキイチゲ (11:58)


山野・史跡探訪の備忘録