年月日: 2010年5月9日(日)
行程: 月夜野バス停出発(07:41)〜大渡キャンプ場で道志川右岸へ(08:28)〜久保からの登山道出合(09:34)〜大室山山頂(11:12)〜加入道山通過(12:08)〜畦ヶ丸通過(13:42)〜西沢出合・西丹沢自然教室(15:20)
5月に入って暑いこと。汗っかきなので暑い季節の山歩きは体に悪い。今年前半の丹沢歩きはこれが最後の機会となるので、海釣りよりも山歩きを優先。北丹沢から未訪の大室山に登って、山梨−神奈川県境を行けるところまで行ってみる。菰釣山まで行ってしまうと、最終バスに間に合うように下山するにはバリやったとしてもとんでもない行程となるので、実際には畦ヶ丸から下ることになるであろう。畦ヶ丸から西丹沢自然教室に下るかキャンプ場に下るかは気分次第。
橋本駅から三ヶ木行きの始発バスには意外にも登山者の列ができていた。ボーイ&ガールスカウトの一団がいてとても賑やかだ。登山者は皆、三ヶ木で月夜野行きの津久井神奈交バスに乗り換えた。相模原市役所の方が2名乗り込んで乗客に行き先と支払い手段の聞き取り調査をしていた。このバス路線は今後も存続するのだろうか。
晴天の下、新緑が眩しい。道志川沿いの山肌には満開のフジの花が彩を添える。焼山登山口入口で数名、平丸でボーイ&ガールスカウトの一団、そして東野で男性1名が降りて、残った乗客は自分一人。今でも富士急山梨バスが都留市駅〜月夜野で運行しているらしいのだが、日曜は運休なので月夜野から接続するバスは無く、(興味のある方は富士急山梨バスのHP参照。)しばらく国道を歩かなければならないので乗客が居ないのは当然か。おかげで本日の行程の前半は静かな山歩きを楽しめそう。
左下に道志川の渓谷を、さらにその南方に檜洞丸を垣間見ながら国道を歩いていく。国道413号は山中湖に抜ける近道なので、秘境みたいな場所なのに交通量が非常に多い。特にバイクのツーリング族が多い。歩道と呼べるような幅の余地が無いので少々怖い。
道路上に延々とクマバチが数m間隔でホバリングして縄張りを主張しているのが面白い。ハチについて詳しくないのでてっきりマルハナバチと思い、帰宅後にWebで検索。ところが、マルハナバチは集団を形成し縄張りは持たず、縄張りを持つのはクマバチのオスであるとのこと。写真を見て納得。勉強になりました。縄張りに入った人間を見て近寄ってはくるものの、平和的なハチであり決して人間に危害を加えることはない。可哀想に大型自動車に衝突してあの世逝きとなったクマバチの死骸もあった。
前回準備した地形図コピーの一部を流用するつもりだったのに持ってくるのを忘れてしまった。大室山の北側の主な登山口は久保の吊橋らしいのだが、道路歩きを短縮したいのでその手前の大渡で道志川を渡るつもり。道志川に下る道が見つかるか不安であったのだが、杞憂だった。大渡キャンプ場の入口に「ここから大室山に登れます。」と書いてある。地形図上の破線は一応舗装された私道で、道志川左岸のキャンプ場まで車で下れるようになっている。この道にもクマバチが点々・・・。
橋を渡った場所が尾根突端で、分岐の右側に行くように案内がある。急傾斜の踏み跡は細いものの、目印替わりにロープが這わしてあるので見誤ることはない。地面に乱れはなく蜘蛛の糸が引っ掛かるので本日最初の登山者である。しばし急登して幅広の道に出合う。幅広の道は通せんぼしてあるので、下っても川を渡れないのかもしれない。
幅広の道は尾根の大群沢側に回りこみ、スギ植林地の中で朽ちかけた道標を見る。幅広の道から分かれて上方に登っていく細い踏み跡がある。道標の位置からして、いかにもここから登って行けと言わんばかりだ。適当に登っていけば久保から上がってくる登山道に合流するのは確実なので、ダメ元で進入。
案の定、植林地で道を追えなくなってしまった。スギ林をしばし直登し、ヒノキ林に移行した辺りで明瞭な登山道に復帰。分岐で幅広の道を行くのが正解だったのではないだろうか。
尾根の稜線は幅広で凹凸も無いのに何故か登山道は尾根東側の斜面に設けられており、次第に細く歩きにくくなってから尾根上に出る。この辺りが最も判り難い箇所で、慣れない人は下山時に迷ってしまうかもしれない。尾根反対側はカエデ主体の広葉樹林で梢越しに道志川流域が見え、たいそう気持ちの良い場所であった。大室山山頂まで2時間と書かれた道標在り(そんなに時間かかるまいとたかをくくっていたのだが、暑いのでペースが上がらず写真撮りながら道草していたら本当に2時間近くかかった。)。
再びヒノキ植林地に入り、久保から上がってくる登山道と合流。よくもこんな高いところまで植林したものよとあきれながらひたすら広葉樹林帯を期待して登る。ようやくヒノキ林を抜けてアカマツが混じる広葉樹林の緩斜面に入ったのもつかの間、今度はカラマツの植林地帯となる。標高1,400m辺りまで登ると北側斜面にブナ原生林が広がるが、登山道の左側(東側)には再びヒノキ植林地帯が続く。植林地帯を完全に抜けるのは標高1,500m付近である。
登山者の姿は意外に少なく、登頂時に遇ったのは3名のみ。加入道山方面に下るとポツポツと登ってくる登山者と出遇う。
加入道山方面に下る途上の平坦地には檜洞丸を凌駕するオオバイケイソウの大群落がある。マルバダケブキも若干混じるが、やたらとトリカブトが多いように思う。トリカブト期待で登るのが良い場所なのかもしれない。
加入道山に至る県境稜線にはツツジ類がほとんど無い。マメザクラの残り花とキジムシロをパラパラと見かける程度。
白石峠を過ぎると、行けども行けども現れる道標にはいずれもモロクボ沢の頭としか書かれていない。畦ヶ丸ってこんなに遠かったっけ?地形図を所持していないもので少々不安になってきた。城ヶ尾峠方面の分岐(モロクボ沢の頭)に至ってようやく畦ヶ丸の名を見て安心。
この辺りの尾根はスズタケ薮の健康状態が良好。日頃笹薮の中を歩き慣れている自分には心地良い。
13:30過ぎて畦ヶ丸から白石峠に周回する登山者はもう居ないと思ったのだが、近くの避難小屋泊まりや遅いバスで帰る予定と思しき登山者が結構いた。畦ヶ丸も休まず通過し、西沢出合に向けて下山開始。1119mピーク西側の鞍部から断続的にヒノキ植林が存在する。搬出道を建設できないような険阻な奥山に植林するなんて、雪国の常識では考えられん。
沢沿いの道は特に歩きにくい箇所はなく、渡渉箇所の橋も全て状態良し。腐臭を放つカモシカの死骸と、大堰堤上部のゴーロに出る直前のスギ林で寄生植物がニョキニョキ生えているのを見た。寄生植物で検索した結果、ヤマウツボという名らしい。便利な時代になったものだ。
西丹沢自然教室到着時にちょうど臨時バスが来たので待ち時間無し。
西丹沢訪問は今回が最後になるかもしれない。予想以上の暑さで爽快とはいかなかったものの、良い山歩きであった。