ヒツ沢右俣を詰めて大佐飛山(初日)

年月日: 2010年9月18日(土)

行程: 落合出発(07:31)〜大長山北北東尾根・1,560m(11:16)〜ヒツ沢左俣・標高1,170mに下降(13:05)〜標高1,250m付近で引き返す(13:25)〜ヒツ沢二俣(13:45)〜右俣の左俣に入る(14:25)〜右俣の滝(14:55)〜大佐飛山山頂(16:55)

三連休は天候が安定しているという。今年は早めにアユ釣りを終了したこともあり、昨年に続き山中泊前提で9月の藪山歩きに挑戦。今年中に栃木県と縁が切れてしまう予定なので、栃木の自宅をベースに藪歩きするのは今回が最後となろう。挑戦してみたいことはまだ幾つかあれども、行く先は思い入れの強い男鹿山地とした。隣の高原山が癒しの場であるのに対し、男鹿山地は容易に人を寄せ付けない厳しさを持ち、自身にとって常に挑戦の場であり続けた。この山域で得た知識と経験をフルに活用して自身の栃木県における藪歩きの締めくくりとしたい。

目的は2つ。一つは2008年にヒツ沢二俣から西俣沢に尾根越えする途上で見た滝らしきものの正体を確認すること、そして二つ目はヒツ沢右俣を遡行して大佐飛山山頂を踏むこと。昨年も同じ目的で挑戦したのであるが、涸れ棚で行く手を阻まれ、体調と天候を考慮して途中退却した。今回はその再挑戦である。計画段階では帰りのルートに3つの選択肢があり、初日の藪漕ぎの結果次第でいずれかを選択する。

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西俣沢右俣の支沢 (09:29)
ダイモンジソウ(尾根越えの涸れ沢にて)(10:15)


こんな所に4回も来ることになるとは。

大長山北北東尾根・1,560m(11:16)


1,560mからヒツ沢二俣に下る尾根の派生箇所までの下り方が難しい。素直に高度計と方位磁石を信じれば尾根に入れるはずなのだが、上からは尾根があるように見えないため、安全策をとるうちに結局猛烈なチシマザサ藪にはまってしまう。チシマザサに抗えず急峻な涸れ沢に押し出されてしまい、数十m下ってから藪の薄い場所を選んで登り返した。

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ヒツ沢左俣の支流(尾根下りの途上・標高約1300mから)(12:52)


2年前に見た滝らしきものの正体はヒツ沢左俣本流の滝ではなかった。昨年下りで行き詰った涸れ棚の直下で西側から急峻な支沢が合流する。その支沢の流れであるらしい。目的の一つは達成。

二俣に下降するつもりであったが、チシマザサが密で再びコースから左俣側にずれた。沢底に降りやすそうであったのでそのまま左俣に下降し、空身で約100m遡行してみた。

トリカブト(ヒツ沢左俣) (13:12)
ヒツ沢左俣の小滝 (13:17)


こんな場所に渓流釣りの残したゴミ(紅茶花伝の空ペットボトルと賞味期限が2010年8月13日のコンビニおにぎりの包装)があったので回収。ここまで来る度胸・能力がありながらまともな情操教育は受けなかったらしいな。世の釣り人全てがばか者扱い受けかねない行為で迷惑だ。もしこの記事を目にすることがあったら反省しろ。

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二俣 (13:45)


右俣は谷幅がやや狭く流木や藪があって、左俣のような開放感はない。

ヒツ沢右俣 (13:48)


最初の合流点で左俣を選択。もう滝はないであろうと安心していたら滝が出現してショック。

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標高約1,430mにて (14:46)


滝は標高1450mにある。直登は不可能。右側を巻けるかどうかは不明。滝左側に草付きの涸れた沢筋があり、これを約50m登ってから藪を右側に進む。

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右俣の滝・落差20m (14:53)
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巻く途中で横から見た図 (14:59)


動画はこちら

滝上に沢が2本存在しており、どうやら滝の落ち口直上で合流しているらしい。辿るべきは向こう側の沢である。合流点(落ち口)まで下って右俣に入った。

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標高1,700m付近・北西 (15:57)
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標高1,700m付近・南 (15:59)


シカの鋭い警戒音が何度も響き渡る。越冬できる場所ではないので黒滝山方面から入りこんだと思われる。

大佐飛山直下から流れ下る沢は標高1800m付近でも水流がある。

標高1,800m付近から見た那須岳方面 (16:32)


標高1,850m以上は沢筋が藪になるので右手の緩やかな斜面を適当に登った。概ねチシマザサの藪は薄く順調に標高1,880mの稜線に抜け、稜線上のやや濃い藪を漕いで5年ぶりに大佐飛山の山頂到着。

大佐飛山・三角点 (16:57)


三角点横に幕営。上空は晴れており、月が照って明るい夜。適度に風が吹いて冷え込み無し。繁殖の相手を求めるオスジカの鳴き声が聞こえる。山全体を吹き渡る風音が聞こえてくるが、山頂の笹薮は無風で静か。大佐飛山は結構露出度の高い山であり、期待通り夜景が楽しめる。南東方向にはさくら市やさらに遠くの街灯りが、東側には樹幹越しに黒磯・大田原方面?の街灯りが見える。登山道が無いが故に深山のイメージが強いが、街灯りを見ていると深山にいるという感じはしない。

山野・史跡探訪の備忘録