奥武蔵ハイキングその2

(西吾野駅〜関八州見晴台〜丸山〜白石峠〜堂平山〜慈光寺〜明覚駅)

年月日: 2010年12月12日(日)

行程: 西武秩父線・西吾野駅(06:48)〜関八州見晴台(08:27)〜飯盛峠(09:05)〜ぶな峠(09:27)〜ツツジ山(10:05)〜刈場坂峠(10:12)〜大野峠(10:56)〜丸山(11:19-11:30)〜白石峠(12:19)〜堂平山(12:51)〜慈光寺(14:33)〜八高線・明覚駅(16:19)

今週も日曜日のハイキング。前週用意した地形図を頼りに歩き残した区間をササッと歩いて芦ヶ久保駅に降りて早めに帰宅する予定だった。気温が低くて発汗が抑えられて疲労感が少なく、快晴の下、眼前の山並みを見てつい欲が出て予定外の長距離歩行となった。

先週の到着地である西吾野駅から出発。間野集落で「パノラマコース入口」の表示を見つけた。先週下山時に大窪に下る破線路分岐にてパノラマコースの標示を見たのだが、そのときはパノラマコースで西吾野に下れることを知らなかったので選択しなかった。パノラマコースとは地形図に記載されていないコースらしい。面白そうなので入ってみた。冷え切った谷底に較べ山の中腹は暖かい。適度に冷えていて微風もあり快適な山登りである。

パノラマコースの前半は間野集落背後の浅い谷の源頭部を登る未舗装林道そのものである。源頭部が薮になっていて、植林の中の破線路コースに較べて開放感があって眺めがよく、これが名前の由来らしい。後半部は植林尾根の踏み跡を辿り、吾野駅から来る破線路に出合う。

今の時期の植林地は淡い黄色のコアジサイの葉が美しい。登山路の山肌にチャノキの花を見つけた(先週の下山時には気づかなかった。)。植林地内は放射冷却がなく適度に暗いために、手入れされていない植林はヒサカキやカシ類といった暖地性で日陰に強い常緑樹が育つのが普通である。ここではさらにチャノキが多数混じっている。チャノキが日本在来種であるのか大陸から人によってもたらされたのか確かなことは判らないらしい。仮にチャノキが大陸から伝来したものであったとしても、それは少なくとも千年以上前のことであるから、野生化して分布を広げたとしても不思議ではあるまい。

植林地内で見たチャノキの花(お茶の花)


順調に登って関八州見晴台に一番乗り(かどうか知らないが誰もいなかった。)。山頂を独り占め。

関八州見晴台の高山不動尊・奥の院
関八州見晴台から見た丸山


先週ほどではないものの本日も雲ひとつなく澄んでいる。目標地点を確認してヤル気が湧く。関八州見晴台から大野峠までの道は延々と稜線沿いに在り、何度かグリーンラインと交差しながら並走する。稜線に広葉樹林が残されている区間が多く、植林区間であっても概ね北東側の平野部を見渡すことが出来て稜線漫歩の気分。嬉しい誤算である。今歩いている尾根が昔大勢の人が往き交った場所であることを知り、古を訪ねる楽しみも加わって退屈しない。

グリーンライン沿いの古道の説明(飯盛峠にて)


グリーンラインと交差して下ったところに、道路から落ちて立木にぶつかり大破したトヨタの事故車有り。かなり古いものらしく、タイヤやパーツ類がごっそり剥ぎ取られている。

飯盛峠とぶな峠の間にある遺棄されたトヨタ車(事故車?


ぶな(木篇に義と書く。)峠を過ぎると尾根上の(特に833mピークからの下りの)スズタケ薮が青々として美しい。栃木でスズタケといえば薄汚れた葉っぱ+マダニというイメージしか浮かばないが、大型獣のいない奥武蔵のスズタケは美しい。

879.1m三角点峰はツツジ山という名らしいが、ツツジの木は無い。地形図に記載されていない正丸から来る登山道が分岐している。

刈場坂(かばさか)峠には先日の雪が残っていた。新しい見晴台もしくは駐車場の工事中である。北東方向の眺めがよい。峠に10軒程度の住宅があって実際に人が住んでいるのに驚いた。どうやって生計立てているんだろうか。

大野峠に至って本日2人目のハイカーと出遇う。赤谷方面から大野峠に上がってくるハイカーが少なからずいるようである。大野峠からひと登りしたところにあるパラグライダー離陸場からの眺め良し。まだ11時なので、丸山から引き返して白石峠方面(堂平山方面)に向かうことに決めた。この方面の地形図を所持していないがなんとかなるでしょ。鉄道の駅まで長い距離を歩かなければならないのが少し気がかり。

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大野峠近くの高台から見た堂平山方面


丸山は芦ヶ久保から登ってきたと思しきハイカー多し。展望台からの眺めは関八州見晴台に優る。初めて浅間山の姿を見た。

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丸山から見た秩父方面
丸山から見た浅間山


大野峠方面に途中まで戻って白石峠方面に向かう分岐に入った。小川町や都幾川町方面からのアプローチが非常に長いため、こちらから丸山に登ってくるハイカーはほとんどいないようである。道路に降り立って、高篠峠を経て白石峠に至るまで全て舗装道路を歩いた(舗装道路から874mピークには立ち入れない。全て尾根通しで歩くには、高篠峠から直接874mピークに向かう尾根を登れば良い。)。

白石峠から白石バス停に下ることができる。さすがに疲れてきたので下ってしまいたい誘惑に駆られたが、北側に下ると帰りが遅くなる怖れがあったので自重。白石峠から堂平山の天文台が見えたので、とにかく堂平山まで行くことに決め、外秩父七峰縦走ハイキングコースの案内がある尾根道に入った。堂平山は有名みたいだからおそらく登山路があるだろう。登山路を利用すれば車道歩きより労が少なくて済む。万が一登山道がなかったら観念して車道を歩くまでのこと。

堂平山山頂


山頂には登山道の案内図は見当たらないが、山頂直下の施設入口に「ときがわトレッキングコースに入るにはまっすぐ進んでください。」旨の表示がある。施設敷地を突っ切ってそれらしい道に入ると「ときがわトレッキングコース」の独特の形をした道標が現れる。慈光寺方面に下れるらしい。慈光寺の名はぶな峠の説明板に書かれていた。由緒ある寺院らしいので興味が湧き、長い植林尾根を歩くモチベーションが維持できる。

松ノ木峠を経て、公園として整備しようとして放棄したと思われる裸の斜面(森の広場)から未舗装道路に降りる場所で最初の案内図を見た(少なくともコース上の他の2箇所に同じ案内図が存在する。)。

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ときがわトレッキングコース


整備してからだいぶ年月が経っているらしく木の階段や一部の道標が朽ちつつあるが、迷うことなく歩いて慈光寺到着。慈光寺は有名な古刹らしいので記述省略(インターネットのページがあります。)。イロハモミジの木が多いので、紅葉の見頃に来れば見事なものであろう。

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慈光寺のイロハモミジ


誰一人遇わない参道に背を向けて着替え中に猫が参道を駆け上がっていった。すかさず得意のネズミの擬音を出すと反応有り。背を向けて何度もニャーンと鳴いてこちらに関心有りそう。ファーストコンタクト成功である。スプレー行為をしていたからオス猫だな。最初は警戒していたが、愛想が良くてとても器量良し。本日は無愛想なハイカーが多かったが、最後に猫に癒されたな。

慈光寺参道で出会った猫


バスの本数が少ないし、システムがよく判らないので八高線の明覚駅まで5kmを歩いた。駅を示す案内は皆無であるが、道は単純で標高の低い方向に(川沿いに)ひたすらまっすぐ向えば良い。トロッとした流れの渓流と幅広の谷の組合せは栃木の粕尾川沿いの雰囲気に良く似ている。ビワの花の少しくせのある香りが漂っていた。

明覚駅にもときがわトレッキングコースのポスターが貼ってある。開設当時の写真を見て現地に行くと廃な雰囲気とのギャップに戸惑うかもしれない。都幾川町が企画したものであるから廃止になることはないだろう。道標類はいずれ再整備されるのではなかろうか。

45分待って17:02の高麗川行きの電車に乗った。明覚−(八高線)−越生−(東武・越生線)−坂戸−(東武・東上線)−北朝霞・朝霞−(武蔵野線)−武蔵浦和と繋いで順調に帰宅。

山野・史跡探訪の備忘録