小足沢大滝見物 〜 大ナラキ沢左岸尾根 〜 国境平 〜 カマノ沢右岸尾根

年月日: 2011年6月19日(日)

行程: 銅親水公園出発(04:16)〜小足沢出合い(06:30)〜小足沢上部滝第一展望岩(07:35)〜小足沢上部滝第ニ展望岩(07:49)〜標高1,250m(08:58)〜大ナラキの頭(11:25)〜国境平(時刻不明)〜カマノ沢出合い(13:25)〜銅親水公園帰着(16:50)

今年は今のところアユ釣りの予定がないので暇。金曜日に降雨したので、土曜日は利根川でハクレンのジャンプを観察するチャンス。そのついでに夜に足尾に移動して、翌日曜日に5年ぶりに松木渓谷を歩いてみる。つい先日、滝屋さん達が雪田爺さんの掲示板で小足沢の上部滝を紹介していたのに刺激された。地形図で検討した結果、自分の技量でも近づけそうである。小足沢の上部滝を見物した後で尾根歩きするつもり。

土曜日、期待に反して利根川の水位が低く濁りも少なくてハクレンの集団が大ジャンプする条件が揃っていなかった。それでも、2時間程度粘っている間一度だけ10秒程度ハクレンの集団が水上を舞う姿を見ることができた。200m以上離れた場所だったので写真撮影はできず。

夜8時過ぎに足尾の銅親水公園着。松木渓谷全体が良い香りに包まれていた。この季節の花で思い当たるものはない(翌日の帰りにようやく香りの源が判明。)。堰堤の落水音が心地よく、久し振りに熟睡。

日曜早朝はまだ山が一部雲がかかっていたが、天気予報通りまずまずの天気になりそう。渓流釣りの第一陣に遅れること約15分で出発。岩や地面が露出する斜面は根粒菌と共生するエニシダの花が満開で黄色く染まっている。

松木渓谷は鳥獣保護区であるためか、他所に較べると渓谷の底に居住する野生動物が人慣れしている。シカは遠くまで逃げずにこちらを注視しているし、谷奥側から道を歩んできたキツネも平然と通り過ぎていった。

松木村跡の先にある道路分岐の左側が進入禁止、右側がS字を描いて高度を稼ぐ。前回の記憶がおぼろげで、今回も騙されて右側に入ってしまった。斜面を下って正式な道に復帰。

高台に在る天保年間のお墓らしきもの


最初に松木渓谷を歩いたのが2004年。渓谷沿いの工事用道路が現役だったのが平成6年(1994年)だから、道路が荒れ始めて10年後のことだ。その時から7年が経過してさらに歩きにくくなったように感じる。松木沢6号ダムを越えて程なく右から合流する三沢を見る。あまり水量は多くない。その少し先で本命の小足沢が合流する。こちらは降水面積が広いので三沢の2倍程度の水量がある。

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小足沢の下部滝


(滝見のルートは安全を保証できませんので詳述しません。)

取付き予定地は想像通りで、勾配がきつくややガレてはいるもののリョウブやヤシャブシが生えているため危険はあまり感じない。一頭のシカが延々と警戒音を響かせながら一定の距離を保って上方に移動していくので、道案内してもらっているようなものだ。予定した場所に上がってから尾根を下って小足沢の上部滝に接近。下降予定地の傾斜がきついため、一旦下降をあきらめて尾根をさらに進み第一展望岩に達した。上部滝の上段と中段を観察できる。

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小足沢大滝の上部


再び下降点に戻って下降ルートを模索。バランスの悪い重装備が災いして、ここに至るまでにニ回軽くずっこけて右掌が内出血、左掌も軽く皮が剥けている。懸垂下降する気になれないので、樹木につかまりながらトラバースして第二展望岩に移動。上部滝の中段と下段を観察できる。

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小足沢大滝(全景)


動画はこちら

滝見を打ち切って尾根上に復帰。日照と温度上昇でエゾハルゼミが大合唱を始めた。尾根筋のヤシャブシの木にはたいてい2、3匹のエゾハルゼミが付いている。

ヤシャブシの枝に付くエゾハルゼミ
背景は沢入山


尾根を辿って標高1,250m地点で休憩。小足沢に下って、もし可能なら鞍部を越えて三沢に抜けて大平山に登りたいと思っていた。現地の様子を見てこの考えは撤回。鞍部は予想以上に勾配がきつくしかも掴まるものが少なそうに見える。鞍部を越えられたとしても、大平山南西尾根はさらに険しい。よって、1,269mポイントを経由して5年振りに大ナラキの頭を訪問することにした。以前から1,269mポイント付近のなだらかな地形に興味があったので確かめるのに良い機会だ。

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1,269m地点北西の岩場から見た小足沢奥部


なだらかで広大な丘陵状の尾根上はリョウブやミズナラ、カエデ類の樹木に覆われ、障害物も薮も無い。こんな穏やかな雰囲気の山が存在することが不思議だ。クマ棚や大きなクマの糞を見た。アプローチが大変な場所なので過去に訪れた人の数は如何ほどか。

大ナラキ沢左岸1,390mピークから先は地形図を準備してこなかったものの、過去に2度歩いているので余裕。お気に入りの場所を再び訪れることができて満足だ。

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標高1,650m付近にて(下から見上げた図。勾配は30°程度あります。)


本日は装備が重いし、さいたままで4時間近くかけて帰ることを考えると無理はできない。三俣山には向わず、県境尾根を少し歩いて松木渓谷を戻ることにする。2006年に皇海山越えした際、モミジ尾根の分岐に気づかなかったので、モミジ尾根分岐を確認したい。

標高1,700m以上は点在するシロヤシオが満開。今年のツツジの見納めだな。

三俣山遠望
 
カマ五峰のエロ岩


カマ五峰ではユキワリソウが満開。


撮影場所で大きな瑠璃色のハンミョウらしき虫を見た。ミヤマツチハンミョウなる種らしい。

県境尾根の崖周辺にはイチゴの仲間らしき白い花が目に付く。

       


地形図無しでうろ覚えだが、登りに使った尾根以外にも勾配的に県境尾根から松木渓谷に下れる尾根が3つ存在していたはず。その中でモミジ尾根ルートが最も遠回りで且つ勾配がきつい。カモシカ平の近くから下る尾根が最も近いが、今回はパス。国境平手前(北側)から下る尾根が勾配が緩く楽そう。国境平と思しき場所に行ってみたが、モミジ尾根の標示が見つからなかった(その手前で引き返してしまったのかも)。県境尾根にガスが出てきたのでのんびりしている余裕無し。下界が見えているうちに少し戻って勾配の緩い尾根を下った。

幅広の尾根は障害物無く緩やかでとても長い。人跡はなくシカ道が2、3本走るのみ。末端で勾配がきつくなる可能性があるが、懸垂下降の装備を持っているので冷静でいられた。左側にきれいな水の沢、右手には湿原が現れ、尾根末端で合流。

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尾根末端の湿原


さらに、沢は左手から来るやや濁った本流に合流し、しばし底の広い沢を下って松木沢出合い到着。濁っているけれどもこれはニゴリ沢ではない。雪田爺さんの記録によるとカマノ(釜ノ)沢らしい。出合いにはそこそこ立派な滝が懸かる。

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カマノ沢の滝


モミジ尾根取付きは現在位置よりはるか奥にある。松木渓谷が歩きやすかった頃ならともかく、今時モミジ尾根歩くメリットはないな。自分が偶然下ってきた尾根(カマノ沢左俣の右岸尾根)の方が楽である。

ゴーロ歩きから解放された頃には陽がすっかり翳ってしまった。

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鉱滓(カラミ)の投棄場所となった松木村跡


松木渓谷は相変わらず良い香りに包まれている。ヤシャブシの葉をつまんでみるとまさにその香りがした。新葉の裏側のねばねばが香りの源か?

荷物が重かった上に、写真撮ったりして道草ばかりしていたので、予定時間をかなりオーバー。最後は仁田元川側から導水管の橋を渡って銅親水公園帰着。近年橋が再整備されて渡りやすくなっているが、サルの糞が多いので要注意。

山野・史跡探訪の備忘録