長沢背稜細切れ歩きその1(大日向 〜 榊山 〜 長沢山 〜 芋木ノドッケ 〜 霧藻ヶ岳 〜 太陽寺)

年月日: 2011年11月3日(木)

向岳橋近くの駐車地・標高670m出発(07:33)〜(東大施設立ち寄り)〜北北東尾根取付き(07:55)〜榊山・1181.0m三角点(09:22)〜1358mポイント(09:57)〜長沢山・標高1738m(11:03-11:14)〜芋木ノ(芋ノ木)ドッケ・標高1946m(12:33)〜お清(経)平(13:55)〜霧藻ヶ岳・標高1523.1m(14:13)〜太陽寺(15:18)〜参道入口(15:36)〜(東大施設に立ち寄って着替え)〜車に帰着(16:00)

長沢背稜を何回かに分けて歩いてみようと、ここしばらく他者の記録を一切見ずに地形図だけ眺めてルートを模索して楽しんでいた。日の短い秋に長沢背稜の西半分を日帰りで歩くには大血川渓谷を起点とする必要がある。周回ルートの一端は太陽寺の参道で決まり。もう一端は長沢山の北北東尾根としたいがどこも勾配がきつい。東谷の林道が左岸にある区間で比較的勾配が緩い場所を利用すればなんとか標高1181.0mの三角点と東谷間の登下降は可能と思われる。不安のある長沢山北北東尾根に取り付いて安全な太陽寺側に下ることにした。3日は週半ばで通勤疲れが無いため、早朝出発の日帰り山歩きに好都合。あいにく曇りだが、昼頃晴れ間が覗くとの予報に期待して出発。

大血川流域に入るのは初めて。大血川流域は全山紅葉真っ只中であった。東谷林道入口がゲートで封鎖されているので、西谷左岸沿いの舗装道路をそのまま進み路肩の広い場所に車を停めた。

西谷左岸沿いの路肩


山行後に東谷から長沢山に登った記録をウェブ検索。この地域の登山地図(エアリアマップ?)には東谷から酉谷山に登るルートが記載されているらしく、山行記録を見ると皆自分と同じ場所に駐車したようだ。特にのブログ:「藪山、岩山、花の山」の平成21年の記録は駐車地から長沢山まで足取りが全く同じ。ルート略図が記載されているので、併せて参照されたし。

舗装道路を下り戻って向岳橋を渡り、ゲートを潜って東沢林道に入る。東谷一帯は和名倉沢左岸同様に東京大学附属秩父演習林となっており、林道も東京大学の管理下にある。しばらく進むと東谷と西谷の中間尾根にあたる場所に東京大学大学院の秩父演習林大血川作業所がある。イチョウの黄葉が美しい。

東橋を渡って右岸側の林道を進むと「au」と書かれた立て札があった。docomoは圏外だが、こんな谷底でauが使えるのか?

立派な木橋が架かっているのを見つけた。

東沢左岸側に移動


演習林の作業道を利用して楽に登れるかもしれないと思い、左岸側に渡った。尾根突端に道は無く、山道は左岸沿いに奥に向う(他者記録には「けんか平歩道」なる名称が出てくるので、登山地図に道が記載されているのかもしれない。)。登ることは可能と思われたので尾根突端に取付く。

樹木や岩につかまりながら高度を上げる。登りはまだしも下りには使いたくない尾根だ。尾根西側が広葉樹に覆われ、色鮮やかなカエデが混じる。少し高度を上げると稜線東側がヒノキの植林地となる(地形図には広葉樹マークしかないが、ほぼ全て植林地である。)。

長沢山北北東尾根末端の雰囲気
長沢山北北東尾根末端の雰囲気


事前検討で懸念していた標高900mと950mの等高線幅の狭い場所は、決して安全とはいい難い場所だが稜線通しで這い上がれる。稜線東側の急傾斜の植林地を直登するよりは楽であると思う。

標高1100m前後がネットで囲まれた若いヒノキ植林地であり、酉谷山(とりだにやま)から熊倉山までの山並みと東谷の林道の様子を見渡せる。あいにく薄曇りで空が明るく、しかも逆光となるので写真撮影には不向きな状況だった。ひと登りして1181.0m三角点到着(他者記録に拠ると「榊山」なる名前有り。)。

榊山の1181.0m三角点
榊山の1181.0m三角点


三角点の先の鞍部は鉄砲沢側斜面もヒノキ植林となっていて、全く薮無し。点在するカエデの紅葉が植林地の暗い背景に映える。

コハウチワカエデ
コハウチワカエデ


大規模な植林地にはたいていどこかに作業道があるものだが、ここに至るまで尾根筋に明瞭な山仕事用の道をみかけなかった。鞍部から東谷に下っていく道形らしきものがあるので、尾根取付き部の歩道の奥から鞍部に上がってくる道がありそうだ。

1223mポイント先も東谷側にヒノキ植林地が断続的に続く。鉄砲沢側はほぼ全て二次林であり、梢越しに霧藻ヶ峰の様子が把握できる。この尾根を歩く登山者はほとんどいないと思われるが、過去の伐採作業や獣の通行による踏み跡があり、枯れたスズタケのストロー薮を掻き分ける必要なく快適に辿れる。

1358mポイントで軽食休憩。この周辺だけ昭和39年に植栽されたカラマツ林である。この先100mの急登となるので、脚の負荷軽減のために棒切れをストック代わりとして進んだ。この辺りは植林が無く、紅葉した二次林の雰囲気がすてきだ。

急登を抜けて初めて長沢山が視界に入る。

長沢山(標高約1450mの肩から)
長沢山(標高約1450mの肩から)


標高約1450m前後にも飛び地的ヒノキ植林があるのだが、アクセスが不便であるためか手入れされていない。標高1590mポイント前後は尾根幅が狭まり稜線を針葉樹の根が覆う。それ以外はブナやミズナラ主体の広葉樹林で雰囲気がよろしい。

長沢山北北東尾根、標高1590mポイント付近
標高1590mポイント付近


標高1590mポイントを過ぎた辺りでパラパラ雨が降り出した。晴れるどころか雨かよ。幸い雲がかかっていないので山並みは良く見える。長沢背稜に出て少し西に辿って長沢山到着。眺望は良くない。このとき西南西の方角から県境を弱い雨雲が通過中で、ちょうど長沢山滞在中に一旦雨が止んだ。

画像


長沢山で昼食休憩。汗ぐっしょりのTシャツ一枚でじっとしていると寒い。一旦着替えして上着も着用してみたものの、歩き出すとまた発汗する。長沢背稜を西に辿るうちに再び降雨し出したので、どうせ濡れるならと思い、Tシャツ一枚姿に戻した。

長沢背稜は地形・植生的に変化に富み眺めも悪くない。遇った登山者も単独行の2名だけで静かだった。でも何か物足りないというか心弾むものが無い。紅葉が終わってしまっているため?雨のせい?芋木ノドッケ(現地案内には芋ノ木ドッケと書いてある。)越えが控えているせいかもしれないな。

雲取山と芋木ノドッケ
長沢山西側から見る雲取山と芋木ノドッケ


芋木ノドッケ山頂まで行ってから三叉路で休憩し、白岩山に向った。半月前にはなかった赤テープがベタベタつけられていたが、道の不鮮明な場所が改善された訳ではない。

白岩山から先はメジャーな登山路であり、午後から登ってくる雲取山荘泊まりの人の多さに驚く。白岩山を下り始める頃になってようやく上空に青空が広がり出した。

雲取山登山道から見る長沢山北北東尾根
1580mポイント付近から見る長沢山北北東尾根


お清(経)平は紅葉真っ盛りで、落ち葉の香りもすばらしい。今年一番の雰囲気を堪能した。

お清平の紅葉
お清平の紅葉


霧藻ヶ峰に登り返して本日最後の登り完了。

白石山(和名倉山)
白石山(和名倉山)
妙法ヶ岳(奥の院)
妙法ヶ岳(奥の院)


霧藻ヶ峰から太陽寺に下る登山者は少ない。登山道は良く整備されていて判りにくい場所無し。眺望の無い登山道をひたすら下って駆け越トンネルに向う舗装道路を3回横断して太陽寺到着。でかいワン公がうるさいので、住職らしき方と挨拶を交わしただけでそそくさと境内を抜けた。

太陽寺の阿形と吽形
太陽寺の阿形と吽形


大日向までさらに標高差250mの参道を下り、人目につかない東大施設に立ち寄って着替えを済ましてから車に帰着。

道の無い稜線を急登し弾力の無い登山道を一気に下るコースであったためか、大腿筋と尻の筋肉が疲労した。日の長い時期ならば酉谷山を含むもっと大きめの周回コース(最近では2008年の anineco さんの記録があります。)も可能と思うが、その場合は逆周りした方が脚の負担が少ないかもしれない。

山野・史跡探訪の備忘録