北武蔵ハイキング(玉淀駅〜八幡大神社〜鐘撞堂山〜円楽田湖〜陣見山〜不動山〜宝登山〜長瀞駅)

年月日: 2012年2月12日(日)

行程: 東武東上線・玉淀駅出発(06:48)〜八幡大神社(07:04)〜八幡山(07:16)〜鐘撞堂山(08:02)〜高根山(08:21)〜円楽田湖南東端(08:40)〜円楽田城山ハイキングコースに入る(09:06)〜軽食休憩約10分〜陣見山(10:19)〜榎峠(10:45)〜間瀬峠(11:22)〜不動山(11:45)〜昼食休憩約10分〜埼玉長瀞GC西側の500m級ピーク南斜面の藪でウロウロ約30分〜宝登山(14:11)〜着替え・顔洗い約10分〜秩父鉄道・長瀞駅(15:08)

寄居から長瀞にかけて荒川左岸側に低山の長い尾根が連なる。大部分は破線路や車道があって奥武蔵並みに歩きやすそうで、眺めも良さそう。冬場に鉄道を利用して縦走してみたいと思っていた。できれば鐘撞堂山から宝登山まで歩き通したいものだが、途中2か所で尾根が分断されていて、少なくとも地形図上には連絡道が記されていない。鐘撞堂山から陣見山の間は地形が比較的単純なので、歩きやすそうなところを選べば何とかなりそう。出牛峠と宝登山の間は地形に美しさがなく、人家や藪があって簡単に通れそうにない。未知の歩道の存在を期待し、最悪の場合は車道歩きして遠回り、もしくはあきらめることにする。電子国土ポータルの印刷機能がまたまた改悪され、どうやっても思い通りの印刷ができない。寝る時間がなくなってしまうので、なんとか印刷した見にくい地図で済ます。時間配分は考えない。武蔵浦和の始発時間と長瀞駅の発車時刻を幾つかメモ。

コースの詳細を事前に知ってしまうとモチベーションが薄れてしまうので、近郊のハイキングを計画するときは基本的にガイドブックも他者の記録も見ない。電子国土地図に記載されている情報だけでコースをあれこれ検討するのが好きだ。現実には地図に記載されていない遊歩道が整備されていて、幻滅することもあれば逆に感謝することもある。酷い藪・人家・やかましい犬・道迷いなどの理由で思い描いた通りにいかず無駄歩きすることが少なくないのだが、予期せぬ出遭いを求める代償だからそれも良し。帰ってきてネット上の情報と照合するのも楽しみの一つ。今回のハイキングもまさにそんな感じだった。

今回のコースも概ねポピュラーであるため、印象に残ったことのみ記す。


<武蔵浦和駅〜(武蔵野線)〜北朝霞・朝霞台〜(東武東上線)〜玉淀駅>

名前は同じ東武東上線でも池袋から来る電車は小川町が終点で、その先は4両編成の電車に乗り換えなければならない。一応暖房が入ってはいるのだが、座席下に手を当ててようやく暖気を感じる程度。風が当たらないだけマシってことか。乗り降りの少ない路線では寒い時期は押しボタンによるドア開閉が普通だが、東武東上線は各駅で全開。車内の温度は外気と変わらない。体が冷え切ってしまった。


<東武東上線・玉淀駅〜八幡大神社>

人家は多いのにコンビニが無い!


<八幡大神社〜八幡山〜鐘撞堂(かねつきどう)山>

八幡大神社右横から登っていく遊歩道が整備されている。植林が無いため雰囲気良し。

八幡山付近 (07:11)


谷津池のある谷の稜線部までが深谷市の一部であるため、鐘撞堂山の東側の遊歩道の一部は深谷市が整備している。1955年に用土村が合併して現在の寄居町ができた。このため、美里町と深谷市の間に寄居町の一部が飛び出る形となっていて、同じ町なのに他の自治体を通らないと行き来できない。

鐘撞堂山の展望台は桜の枝が邪魔で写真撮影に不向き。展望台下からの眺望が優る。


<鐘撞堂(かねつきどう)山〜高根山〜円楽田(つぶらだ)湖>

鐘撞堂山頂西側から南に向かう尾根を下るとすぐに円良田湖方面に向かう道と尾根を南進して高根山に向かう道に分岐する。前者は円良田湖の何処に出るのか不明なので、高根山まで行ってから少し戻って、予定通り241mポイントから緩い勾配の西尾根を下った。高根山は幾つか石積みが在るだけで眺望無し。西尾根に明瞭な踏み跡はないが、たまに辿る人がいるようで歩きやすい。途中から尾根上は灌木の藪になる。しばし藪を潜り抜けて円良田湖南東端に抜けた。鐘撞堂山を指し示す道標が在るので、尾根上の分岐から道標に従い遊歩道を辿ればここに至ると思われる。

円良田湖は美しい人造湖で、ヘラブナ釣りとワカサギ釣りの名所らしい。どちらの釣り客も多し。ヘラブナは不味いから誰も食わず、何度もボロボロになるまでキャッチアンドリリースされる。よって、へら鮒供養塔なるものが存在する。

円楽田湖 (08:47)



<円楽田湖 〜円良田城山(虎ヶ丘城址)>

地形図でルートを検討したときは円楽田湖西南から尾根に取り付くことも選択肢の一つだった。現場を目にするとそんな気にはなれず、円楽田地区に向かって円楽田湖西岸沿いの車道を北上。

円楽田地区に円良田城山ハイキングコースなる案内があった。これは地形図の破線路に相当する。以降はこれを辿るだけ。利用する人は多くなさそうだが、歩きにくい場所や判りにくい場所は無い。日当たりの良い場所で10分程度軽食休憩。谷の奥を上り詰めると波久礼駅から尾根を登ってくる道に合流し、程なく急な階段を登って円良田城山に至る。数名の先客有り。

円良田城山(虎ヶ丘城址)は戦国時代の鉢形城の支城であったとされるが、本当か?こんな不便な場所の狭い山頂に籠って何か意味があったとは思えない。


<円良田城山〜陣見山>

円良田城山の先で男性ハイカー1名を追い越した。その後、宝登山までハイカーの姿見かけず。

勾配のきつい鞍部(尾根北側斜面を走る舗装林道が稜線に最も近接する場所)につくばナンバーのオフロードバイクの集団がいた。この手のヒルクライムする連中には良く知られた場所なのであろう、高篠峠並みに稜線がズタズタにされている。茨城からこんなところまで来るとは、筑波山周辺では取り締まりが厳しいのか?

陣見山近くで舗装林道が尾根を跨ぐ場所に、「この道はハイキングの方が大勢通りますので二輪車での通行はご遠慮ください。長瀞町」と書かれた注意書き在り。言うことが甘いね。連中はここから延々と尾根筋を鞍部まで走っていったらしい。稜線を激しく痛めてしまうので環境保全の観点で禁止すべき行為だが、地権者が「禁止」と言わないのだからしかたないか。自分も学生時に一度オフロードバイクでハイキングコース(泉ヶ岳〜定義)を走った前科があるからあまりえらそうなことは言えない。まあお気をつけて。

稜線からの眺望はやや期待外れ。陣見山付近は植林地帯で眺望無し。陣見山だけを目的に山登りする価値無し。この山は尾根縦走の一通過点に過ぎない。

今回の縦走コースは奥武蔵でもなければ秩父でもない。一言で何と表現するのが妥当か考えていた。陣見山山頂に「北武蔵ハイキングコース」なる表示があった。なるほど。


<陣見山〜榎峠>

群馬県の山々の眺望が得られる場所が何か所か存在する。折しも、上空に雲が留まり北風が強く当たって雰囲気悪し。

最初に舗装林道と交差する場所は長瀞八景の一つで荒川沿いの眺め良し。

榎峠は今回のハイキングコース上で最も峠道らしい雰囲気を残す。


<榎峠〜間瀬峠>

中東京幹線鉄塔から先はあまり踏まれていない。鉄塔西側に簡素な分岐標示があり、尾根を北側に下る踏み跡は「間瀬湖」、尾根を直進する方向は「雨乞山」と標示されている。電子国土ポータルの印刷がいまくできなかったせいで、ちょうどこの辺りだけ地形図を所持していなかった。雨乞山が如何なる存在なのか知らない(眺めの良い場所であることを後で知った。)。行く先が間瀬峠なのだから間瀬湖方面に向けて尾根を離脱するのが無難と判断し、尾根と並走する舗装林道に降り立った。

結果的に尾根伝いに間瀬峠に行くコースから外れてしまったものの、舗装林道も間瀬峠に向かう。新たに行ってみたい場所が見つかったので、舗装林道歩きの選択も決して無駄にはならなかった。

舗装林道から見た(左から)雨降山、東御荷鉾山、西御荷鉾山 (11:12)



<間瀬峠〜不動山〜出牛峠>

不動山も植林の山で山頂から眺望得られず。山頂に山チャリの集団がいた。

徐々に長瀞上空の雲が減少して日当たりが良くなってきた。不動山南斜面が大規模に伐採されたばかりですこぶる眺めが良い。伐採地で景色眺めながら昼食休憩。宝登山はまだまだ遠いな。

長瀞町を一望(右端が宝登山)  (12:11)


しばし稜線上の舗装林道上を進んだ後、尾根歩きにこだわって431.2m三角点のある尾根筋を辿った。地形図上は破線路が記されているが藪化して踏み跡がはっきりしない。秩父鉄道が主催するロングウォーク秩父路の古い標示が残されている。現在もこの催しは行われており、431.2m三角点経由の破線路ルートは用いず舗装路を歩いているようである。

地形図を見ずに漫然と稜線を下って藪にはまり脱出に時間を要した。この過程で迷い込んだ孤立したスギ植林地の斜面に、山中の結晶片岩を積み上げて大規模な段が形成されている。住居跡ではないし、防塁でもない。緩斜面だから土止めでもない。隔絶された場所(舗装林道と破線路が接続する場所(本庄市と長瀞町の境界)付近を起点とする行き止まりの未舗装林道沿いにある最奥のスギ植林地内)にいつの時代に何を目的として作ったものか不思議だ。植林地なのだからこの段の存在は当然知られているはずだが、少なくともウェブ上にそれらしき構造物に関する史跡の情報は無い。

植林地内の石積み (12:45)



<出牛峠〜皆野町大字金沢の県道13号の峠〜宝登山>

出牛峠以南に遊歩道らしきものは存在しない。アズマネザサの藪稜線を回避するため舗装道路を辿って金沢地区に抜けた。長瀞町に向かう県道沿いに別荘地らしきものがあり、売家多し。

峠から長瀞方面に少し下っていくと、道路沿いに一軒の民家があり、黒犬が狂ったように吠える。睨みつけながらズンズン近づいて通り過ぎた瞬間に吠え声がピタッと止み、再開するまでだいぶ時間がかかった。最初は調子こいて「おう!この野郎!」→相手が直視して近づいてくるので恐怖におののく。→危害を加えられなかったのでほっとして脱力。吠えすぎて息が切れた。→安全と知ってまた増長。

犬のいる民家を過ぎると沢に下る車道がある。水量の少ない沢底を下流側に数十m移動してから南側(右岸)の植林地域を上り詰めると皆野町と長瀞町の境にある台地状の場所に出る。薄い踏み跡は次第に鮮明な道となり、赤鳥居の神社、次に大きな廃屋の前を通って、めでたく根古屋から宝登山に向かう関東ふれあいの道に抜けた。この道の存在によって藪歩きを軽減できた。

宝登山はすごい人出。山頂のロウバイ園が見頃なのであった。

宝登山・奥ノ院 (14:15)



<宝登山〜長瀞駅>

遊歩道が存在せず車道を歩かされる。これが結構疲れる。午後2時過ぎても多くの老若男女が車道を歩いて登ってくるのに感心。

宝登山本殿前のトイレで着替えを済まして長瀞駅に向かった。


<長瀞駅〜(秩父鉄道)〜寄居駅〜(東武東上線)〜朝霞台・北朝霞〜(武蔵野線)〜武蔵浦和駅>

長瀞駅は中高年ハイカーだらけ。ハイカーのオッチャン・オバチャンはなんであんなにハイテンションで周りの迷惑顧みずうるさいのだろうか。小川町駅で池袋行き10両編成に乗り換えてようやく喧騒から解放された。

山野・史跡探訪の備忘録