猪子峠〜仙人ヶ岳〜白葉峠〜姥穴山〜叶花カタクリ群生地〜石尊山〜深高山

年月日: 2012年3月14日(水)

行程: 林道粟谷松田線・標高350m出発(07:48)〜猪子峠〜仙人ヶ岳(09:47)〜(食事休憩約20分)〜白葉峠(11:51)〜姥穴山にて休憩(12:24-12:44)〜叶花(かのうけ)カタクリ群生地(13:11)〜釈迦岩に立ち寄り(14:15)〜石尊山(14:32)〜深高山(14:53)〜駐車地に帰着(15:10)

2007年に白根隠山で腕時計を落として以降、腕時計は所持せず、普段は車の時計や携帯電話で、山中ではもっぱらデジカメで時刻を確認している。前回(1月14日)、電池の接触不良で異常となったデジカメの表示時刻に惑わされて慌てて山歩きを中断してしまい、石尊山・深高山は未訪のまま。猪子峠を通って松田町地区に向かう際に仙人ヶ岳登山口を確認したので、今回は猪子峠を起点として仙人ヶ岳〜白葉峠〜石尊山・深高山を周回してみる。

週末に好天が望めそうにないので、月一回の血液検査に備えて体を動かすべく有給休暇を取得した。平日に山歩きするのは半年ぶり。普通の現役会社員としては平日に山歩きの服装で公共交通機関を利用することにおそろしく抵抗感がある。車の運転は億劫であるが、自分だけの空間と行動時間の自由度の確保を優先して、自家用車を利用することにした。


<さいたま市南区〜猪子峠>

前々回、国道122号線と国道50号線の組み合わせが少々判りにくかった。今回は行田市で17号線バイパスから武蔵水路沿いに北上して利根大堰(武蔵大橋)を渡り、県道22号線をそのまま北上して渡良瀬川の川崎橋を渡り、適当に足利市街を走り、足利市名草上町地区から藤坂峠を経て松田町に抜けた。朝は通勤の車の混雑に遭うことなく比較的スムーズである。

猪子トンネル松田町側手前に林道粟谷松田線の起点があり、その駐車スペースに車を置くつもりであった。前回歩いて通過したときは広く見えた場所だが、いざ駐車しようとすると先客の車が1台あるだけなのに妙に狭く感じる。林道途中に広い場所があるだろうと思って進入して後悔。この林道は舗装状態は良いが、狭くて退避点が少なく方向転換もしにくい。対向車が来ないことを願いながらどんどん高度を上げていく。

最初の退避点は標高350mで深高山に向かう登山道と接する。ここを出発点とし、猪子峠に向けて山下りで歩行開始。微風快晴、程好く冷え込み最高のハイキング日和である。


<猪子峠〜仙人ヶ岳>

登山道入り口に、3月25日に予定されている仙人ヶ岳トレイルラン大会の告知があった。人に迷惑をかけない限り山の中走るのは個人の自由と思うが、大会とは多数が参加することを名目に非参加者を一時的に排除してしまう一面があるので、日頃単独行動を好む自分はこの手のイベントに遭遇することを嫌う。しかしながら、全て良くないと言う気は毛頭ない。仙人ヶ岳トレイルラン大会の場合は地元の協賛があって行われており、イベントを通じた地域の結束強化や地域活性化を目的とした、いわば現代のお祭り的意味合いが込められている。

猪子峠から仙人ヶ岳に向かう長い尾根は地形図上の等高線の流れが美しくない。すなわち、細かい凹凸を繰り返す岩剥き出しの稜線である。反面、眺めはまずまず。

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浅間山(08:16)
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赤雪山と松田ダム(08:21)


足利周辺に有名な山が幾つかあれども、地理的に中央に位置し、地形的特徴の際立つ石尊山・深高山の山体が足利を代表する山であることは一目瞭然。等間隔で谷が刻まれた北側斜面は巨大な三葉虫の如き景観を呈す。

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深高山〜石尊山(08:38)


地形図を見ずに何も考えず尾根を辿ったので、記憶にある光景の場所を地形図上で特定できるのは551mポイントのみ。上の写真を撮った後で稜線がガサガサ崩れた場所を経由し、嫌らしい鎖場を過ぎて程なく松田ダム方面から上がってくる道が合流する場所(犬帰り)に至り、551mポイントを過ぎてから岩切から谷沿いに上がってくる登山道と合流する。551mポイントは松田ダム方向に開いた谷の急斜面が稜線まで皆伐されており眺めが良い。松の苗を植えたようだが手入れされていないので荒れた印象だ。


<仙人ヶ岳〜白葉峠>

岩切から来る登山道方面から登山者の声と熊避け鈴の音が聞こえたが、山頂到着時は無人。仙人ヶ岳は眺望が優れないので無休憩で通過。

桐生に向かう登山道に較べると県境尾根を南下する人の数は少ないようで、分岐に道標の類は無く、踏み跡も薄い。

すみれ山好会の建てた荒倉山(580m級ピーク、桐生市のNo.92基準点在り)の案内表示に拠れば、南に雷電山とでんべい山なる名の山があるそうだが、どれが相当するのか判らなかった。県境尾根に藪と呼べるような進行を妨げるものは無い。危険な岩場も存在しない。桐生方面に下る明瞭な道が現れるが、凡その地形と現在地を把握していれば惑わされずに容易に南下できる。

高萩山(376.6m、四等三角点)を下ると群馬県側が伐採地で眺めが良い。しばし写真撮影して休憩してから白葉峠に下った。

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桐生市街地(11:39)
赤城山(11:44)



<白葉峠〜姥穴山〜叶花カタクリ群生地>

静かな峠である。記念碑に拠れば、足利と桐生を結ぶ旧峠道が舗装車道となったのは昭和51年である。竣工当時はともかく、現在峠を跨ぐ交通量は如何ほどか?物流や人の往来を目的とした峠道としての役割は消え、林道として存続していくことになるのだろう。

白葉峠の碑(11:53)、写真左側のご神体は金毘羅山と白羽山。


当初は舗装車道を下るつもりであったが、南に見える山が気になり峠を跨いで県境を南進。踏跡はやや薄いが要所にきれいな案内表示がある。群馬県側の姥穴山(380.2m)の斜面は登山道が不明瞭で且つ踏ん張りにくいため、張ってあるトラロープにつかまって登る。山頂には祠と神像が建つ。建立年代が読み取れないが、台座に彫られた奉納者名が明瞭なのでそう古いものではなさそう。群馬県内の山であるが、奉納者の筆頭格は少なくとも小俣の住民である。

姥穴山(御嶽山) (12:24)


叶花(かのうけ)に下るべく県境尾根に戻った。尾根離脱に好適と思われたヤシオ山と城山(304.6m)間鞍部には麓に下る明瞭な歩道が在った。鞍部直下から麓までの谷斜面全体がカタクリ群生地となっており、あちこちカタクリの葉が広がりつつあった。ほぼ同じ範囲に斜面林を好むキツネノカミソリが群生している。8月になれば、ヤマビル対策して船生の奥地まで行かなくてもここで簡単にキツネノカミソリ本来の開花の光景を観察できそう。

叶花のキツネノカミソリ (13:04)



<叶花カタクリ群生地〜石尊山〜深高山〜駐車地>

石尊山・深高山も仙人ヶ岳同様、古生代のチャートで形成されている。理由は知らないが(地質的な差に起因する?)、石尊山の西南側は北側斜面の曲線美と好対照を成す展望の良い岩場となっており、信仰の対象であることが頷ける。小俣石尊山梵天祭りを見てみたいものだが、毎年8月14日は盆帰省するから無理だな。

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叶花から見る石尊山(13:14)


山上の社殿はボロボロ。扉くらい修理すれば良いのに。釈迦岩が気になったので、山頂に至る前に立ち寄り。近くで見るとさほど大きく感じない。現地に説明の類は皆無。岩の上方に縄が巻き付けられているのみ。岩場の先端で景色を眺めて引き返した。

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釈迦岩展望から(14:01)
釈迦岩(14:15)


石尊山〜深高山間は尾根は期待した通り快適な尾根道。南の湯殿山に向かう登山道は亀裂のため通行禁止となっている。

深高山から猪子峠への下りでやや勾配がきつく滑りやすい場所がある。しかも土止め階段の一つが崩れて転んだ。こんな場所をトレイルランの参加者は米担いで走り下るとのことだが、大丈夫か?


<猪子峠〜さいたま市南区>

鴻巣まで往路と同じルートを使用。渋滞する国道17号を避けるべく荒川を渡って東松山市に逃げ国道254号バイパスを利用したが、それでも帰りに3時間以上要した。さいたま市からで車ででかけるのは平日も休日も楽じゃない。

山野・史跡探訪の備忘録