中吾妻山中腹と出森山

年月日: 2012年4月30日(月)

行程: 猪苗代町金堀・秋元湖岸林道標高773mから出発(10:25)〜破線路ムダ歩き〜林道ゲート・標高830m(11:00)〜穏婆菩薩(11:40)〜標高1430mで折り返し(13:37)〜穏婆菩薩に復帰(14:34)〜出森山に立ち寄り(14:50 - 15:45)〜車に帰着(16:13)

帰省先の猪苗代で今年最後の残雪歩きを楽しんだ。

前日夜に酒を飲みすぎて調子悪く、気合が入らん。穏やかな薄曇りで終日天気が安定する予報なので、ゴロゴロしているのはもったいないと思い家を出た。山ノ神峠(市沢峠)に向かう途上で猛烈な眠気に襲われ、広い路肩で1時間程度居眠り。時間的余裕が少なくなった。

当初はレークラインの中津川レストハウスから出発するつもりであった。当日朝のラジオのニュースで夜間通行止めの各有料観光道路が朝8時から開通することを報じていた。万が一帰りが遅くなっても良いようにレークラインには入らず、金堀側から秋元湖岸林道を歩いていくことにした。歩く距離は長いが、ザックにワカンを括り付けた姿を観光客の好奇の目に晒さなくて済む。林道沿いの植林内や沢にはまだ雪が多く、林道ゲートまで走行するのは無理と判断して、773mポイント辺りの広い退避点に車を置いた。

金堀から登山口までの林道歩きがかったるい。行程短縮しようと破線路に進入。伐採・植林時に使用した林道の成れの果てを辿って途中までは順調。しかし、林道終点から先に道跡らしきものは皆無。雪解け水が流れる底の狭い沢筋を詰める気になれなかったので、尾根越えして秋元湖岸林道に復帰すべく沢左岸側(東側)の尾根上に出てみたが、反対側に道路が見えない。そのまま尾根を辿ってしまえば近道できたのだが、所持していた粗い地形図コピーでは等高線が読み難く判断できなかった。安全策をとって反対側の藪沢に下った。樹木につかまりながら狭い沢を下っていくと信号ケーブル用の支柱があり、谷斜面に穿たれた東北大学理学部の吾妻火山・南吾妻観測所の入口があった。その先は踏み跡があり、程なく林道ゲートに出た。いきなり30分のムダ歩きで、時間的余裕を持って中吾妻山に登れる可能性は無くなった。目的を登山から今後の参考データ収集に変更。引き返す判断のタイムリミットを午後2時に設定。

穏婆菩薩


置いてあった刷毛でお掃除。「穏婆菩薩」と書かれているはずの板の向きを直し忘れた。

雪解けで唐松川の水量多めだが、かろうじて靴をびしょびしょにせずに飛び跳ねて渡渉。夏道にピンクの目印をたまに見かけるが、標高1010mまで続くスギ植林地内は残雪で道筋を追えない。標高1,100mまでの急登区間は落葉広葉樹が残されており夏道が露出。その上の緩斜面は全てカラマツ植林であり、残雪で笹薮の存在を感じさせない。雪の締まり具合は良好で、沈み込みは数p。夏道の場所は全く判らない。明瞭な尾根筋が存在せず下りの難易度の高い場所であるので、キョロキョロして周囲の地理関係や起伏の特徴を把握しながら適当に高みを目指す。

カラマツ植林


標高1250m前後の急登区間は雪の表面が緩んでいて滑りやすい。標高1,300m以上でブナ林に抜ける。

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ブナ林


疎林になっている場所は深いチシマザサの藪である。広大な緩斜面を自由に快適に移動できるのはこの時期限定。

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疎林(背景は西大巓と西吾妻山)


徐々にブナ林からダケカンバ林に移行し、針葉樹(アオモリトドマツ)が混じるようになった。最低目標としていた針葉樹林帯の最下部に到達。山頂まで残り500m。現在時刻が午後1時半。現在地から山頂までの往復に2時間半、穏婆菩薩まで1時間、林道歩き1時間とすれば、午後6時には車に帰着可能。しかし、あくまでアクシデントが無いことが前提となる。穏やかな天気ではあるが、清澄度が低いので登頂の意味が半減する。タイムリミット前にきりのよい標高で安全最優先で引き返すことに決定。

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折り返し地点・標高1430m
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磐梯山


登りの足跡が残っているため下りのルートを誤る怖れなく順調に下山。結局アルミワカン使用せず、全行程を滑り止めの無い登山靴で歩き通した。午後になって水量がやや増した唐松川の渡渉もクリアし、あとはのんびり林道を歩くだけ。

あきれたことに雪の残る林道を突破してきたオフロード車の轍があった。山の上で聞こえたエンジン音の主はこれだったのか。水溜りに産み付けられたばかりのカエルの卵はグジャグジャになってしまったことだろう。秋元湖岸林道は金堀側からしか出入りできず、中津川に架かる橋で行き止まりとなって秋元湖岸に行くことができない。何しに入ってきたのだろう。釣りか?厚生労働省の愚か者が決めたセシウムの新基準適用で猪苗代では釣りはできないはずだが。

帰りは否が応でも出森山が目に入る。出森山はほぼ全山が伐採されてカラマツが植林されている。地形図には当時の作業道らしき破線路が幾つも記されているがいずれも廃道である。雪で中腹の廃林道が浮き出ていた。時間に余裕があるし秋元湖岸林道から目と鼻の先。以前から興味があった場所であるので立ち寄ってみた。

地形図には秋元湖岸林道から連絡尾根を辿って山頂に至る破線路が記されている。実態は道ではなく、境界杭が設置されているだけ。地籍調査目的?で境界杭に沿ってチシマザサ藪を刈払ってある。藪漕ぐ手間は省けるが、チシマザサの切り口が危険。山頂直下は勾配きつく、中途半端に残る雪が笹で滑る。

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出森山直下から見る中吾妻山


頂上は丈2.5m程度のチシマザサ藪。三角点の在る南端で眺望が少々得られる。チシマザサ藪中の三角点は最近測量された形跡無し。

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出森山山頂
出森山の三角点・標高1064.7m


帰りは秋元湖岸林道の折れ曲がる区間を近道して順調。サルの群れと遭遇した。大木が多い山域ではないためか、クマが活動した痕跡は無し。

山野・史跡探訪の備忘録