奥武蔵ハイキングその11(林道・横倉線終点〜大持山〜浦山〜鳥首峠〜ウノタワ)

年月日: 2012年8月12日(日)

行程: 林道・横倉線終点出発(06:59)〜秩父・飯能境界尾根・1060m(07:57)〜大持山(08:25-08:31)〜大持山南西尾根・標高1142m(08:46)〜大神楽分岐・標高1080m(08:52)〜杉林上端・標高1010m〜標高910mで西尾根選択(09:05)〜標高850mのネット上端で西南尾根選択(09:14)〜安曇幹線323号鉄塔(09:30)〜川俣地区水源(09:51)〜旧川又小学校・渓流荘(10:00)〜鳥首峠(11:57-11:25)〜ウノタワ(12:03)〜苔ノ間(12:14)〜車に帰着(12:30)

夏休み前半の天候が良くないようなので、墓参りに合わせて13日に帰省することにしたため暇ができた。12日は曇り基調で一時晴れ間も覗く予報であったため、この時期ならではのテーマで近場の低山に向かった。目的は奥武蔵の夏の山野草観察。

8月はレンゲショウマが開花する季節である。奥多摩の御岳山がレンゲショウマで有名らしいが、くそ暑い時期に人だらけの御岳山なんぞ行く気になれんわ。植林だらけの奥多摩にレンゲショウマがあるのなら、奥武蔵の広葉樹林にもあって不思議ではない。今年4月に探った上名栗の横倉入沢の植生の観察に行くことにした。植物観察が外れの場合は大持山の南西尾根を辿って秩父の浦山地区に下り、鳥首峠→ウノタワとつないで周回するつもり。雷雨の予報も出ているので午前中勝負。

林道・横倉線終点までスムーズに行けた。終点に先客無し。

終点に一見して毒々しい植物があった。やや大きめの葉の間から光沢のある花穂が直立する。開花を控えて少し紅く染まりかけている。見たことがあるような無いような(帰宅してから名前を調査。マルミノヤマゴボウでした。)。

マルミノヤマゴボウ@


林道・横倉線終点〜大持山

横倉入沢沿いの登山道に目ぼしい植物無し。印象に残ったのはミヤマタニソバの三角形の葉のみ。。

ウノタワに向かう登山道と別れて横倉入沢奥に向かう。飛び地的スギ植林地と大岩の先にある緩斜面に何か生えているのではないかと期待していたが、何も生えていない。めぼしい植物が無いという意味ではなくて、藪が全く存在しないのだ。局所的にトリカブトとモミジガサを見る程度である。

植物観察の当てが外れたので、いまひとつ気乗りのしなかった尾根歩きに目的を切り替えた。標高800m付近で右岸側の尾根に取付いた。この辺りは勾配が緩いので、登山道など無くても秩父・飯能境界尾根に簡単に上がることができる。落葉樹林の尾根の林床に藪無し。この日歩いた山域はどこもこんな感じで、植生が非常に貧しい。


林道終点で気温20℃だったはずだが、近くの景色がもんやりとするくらい湿度が高くて、200m程度登っただけで熱中症になりかけたのか気分が悪くなった。藪が無くて登りやすいのは結構なことだが、いまひとつ山を歩いている感じがしない。ときおり霧が漂う尾根筋にはハエもアブも蚊もいない。足元に黒くて太いヤスデ一匹を見たのみ。あまりに生きた気配が感じられないので黄泉の国でも歩いているのかと思った。中腹でようやくハエが一匹現れた。お伴ができてうれしいぜ。

尾根筋には薄いがしっかりした踏み跡が存在し、何か所かケルンが積んである。登るにつれて徐々に調子が上がって、標高1060m付近で境界尾根に抜けた。境界尾根は微風があって心地良い。境界尾根の登山道脇で開花していたのはミヤマママコナのみ。

ミヤマママコナ
大持山山頂に先客無し。


大持山〜(南西尾根)〜浦山

秩父方面の上空に青空がポッカリと広がっていた。しばらく雨が降るようには見えない。予定通り浦山に向けて南西尾根を下った。南西尾根はバリエーションコースとして辿る人がいるようで、ポツポツとテープが付いているし、うっすらと踏み跡も認められる。こちらもすっきりした藪の無い尾根で、少なくとも尾根末端以外は危険個所無し。

大神楽に下ることも可能なようだが、勾配的にあまり楽ではなさそうだ。

大神楽分岐


標高1010mで杉林の上端に至り、その後標高910mまで踏み跡を辿って順調に下れる。オレンジ色の境界見出標(?)は793mポイントのある南尾根に下っていく。ここで西尾根を選択。南側にヒノキ、北側にカラマツが植林されている。

標高850mの尾根分岐でネット上端に至る。

ネットから見た眺め


南西尾根の稜線上のネットに沿って下っていくと、標高750mで安曇幹線323号鉄塔に至る。ヒノキのしつこいヤニがついて真っ黒になった手を苔の絨毯になすりつけてみたら一発できれいになった。これは使えるな。

鉄塔からさらに少し下った749mポイントにNHK浦和放送局のアンテナ設備がある。ここからテレビ共聴ケーブルを浦山地区に引いている。ケーブルに沿っていけば人里に安全に確実に下れると思うが、ケーブルは尾根筋を維持しているうちに見えなくなった。尾根筋には山道が存在しており、勾配がややきつくなる尾根末端部でも安心して下っていける。尾根末端寸前で山道は進行方向左側の沢に降りる。そこは浦山地区の水源の一つになっている。左岸沿いの道を辿って堰堤を巻き、堰堤下で右岸に移る。浄水施設から溢れ出るきれいな水で喉を潤すことができる。右岸沿いの管理道を辿っていくと、墓地を通り旧浦山小学校(現老人福祉センター渓流荘)に抜けた。

浦山〜冠岩〜鳥首峠

空模様が気になるので道草せずに浦山川沿いの舗装路を急いだ。

冠岩方面に向かう舗装路は草木が張り出して廃な雰囲気。ここでも紅色が鮮やかなマルミノヤマゴボウを見る。

マルミノヤマゴボウA
マルミノヤマゴボウB


冠岩には3軒ほど人家があったらしいが、今は無人。沢筋に「わさび生産組合」の古い標示があったので、わさび栽培が生計の柱の一つだったのかもしれないな。最後に無人となったと思しき家はまだあまり傷んでおらず、内部に干し物が幾つか掛かったまま。管からとうとうと流れ出てる水で水分補給。鳥首峠寄りの場所には地蔵(菩薩?)らしきもの在り。確か昭和32年建立と彫られていたように思う。


植林地内では無数のザトウムシが無秩序に活発に蠢く。鳥首峠に向かう峠道は何度も枝尾根を横切る。勾配が緩い道であるため、大汗かきながらも順調に鳥首峠到着。

鳥首峠



鳥首峠〜ウノタワ〜林道・横倉線終点

秩父・飯能境界尾根は飯能側から涼しい風が吹き抜けて心地よい。湿度が高いため、裾まで汗ぐっしょりとなったズボンが乾く様子はなかった。

早春にウノタワを初めて訪れたとき、丈の高い枯草がないのが不思議であった。伝説にある如く水を満々と湛えているわけでもないし、動物の足跡も無い。どういう理由か不明であるが、ウノタワは夏場でも丈の高い植物が生育しない。

ウノタワ


ウノタワからの下り道は明瞭。中腹の苔むした岩が敷き詰められた様子が美しい。


林道終点に所沢ナンバーの車が2台停めてあった。道中誰にも遇わなかったのだから、ウノタワから大持山方面に向かったのであろう。

本日は天気予報が良い方向に外れて、午後から平野部では晴れ。山間部でも降雨したのは秩父の一部だけだったようだ。高温多湿の条件下で発汗しまくり、お目当ての植物を見ることもできなかったけれども、幾つか発見があってそこそこ面白い山歩きであった。

これまで日付・時刻の記録を画像のメタデータに依存していたのだが、2台所有しているコンデジがどちらも日付・時刻維持機能が働かなくなってしまい(新しい方のデジカメの故障は三沢大滝訪問時の水没がきっかけ、旧い方のデジカメの故障は原因不明。ボタン電池を交換してもダメ。)、メモを取りながらの山歩きは初めて。しょっちゅう紙とペン取り出して記入するのが煩わしいが、後で記録整理するのに有用と思う。

山野・史跡探訪の備忘録