熊倉山〜酉谷山〜水松山〜大血川中央尾根(長沢山北東尾根)

年月日: 2012年11月10日(土)

行程: 林道・奥大血川線起点出発・標高530m(06:50)〜林道終点・標高約740m(07:21)〜熊倉山西尾根・標高約1040m(07:56)〜1307mポイント(08:33)〜熊倉山・1426.5m(08:55)〜大血川分岐・標高約1480m(10:27)〜酉谷山・1716.3m(11:14)〜滝谷の峰・1710m(12:15)〜水松(あららぎ)山・1699.2m(12:45)〜長沢山東側・標高1700mで長沢背稜離脱(13:07)〜1358mポイント(13:37)〜榊山三角点北東の標高1000mでモノレールと出合う(14:30)〜東谷林道・標高約740m(14:57)〜駐車地に帰着(15:50)

今年の風邪は性質が悪い。自分の場合、発熱がないので風邪の病原体とお友達状態が長く続き、重症化することはなかったものの最終的に痰が治まるまで丸々3週間かかった。呼吸器系はほぼ回復したので、弱った筋力を鍛えるべくリハビリ兼ねて今年最後の紅葉狩りを計画。

昨年同時期に大血川中央尾根から見た大血川東谷一帯の紅葉が見事であった。今年の紅葉狩りの締めは長沢背稜細切れ歩きの一環とし、熊倉山尾根を登って大血川中央尾根を下降する。

大血川東谷林道の奥から酉谷山手前の小黒に上がる道があるらしいのだが、それでは熊倉山尾根全体の紅葉を堪能できない。よって、林道・奥大血川線の終点から熊倉山に上がることにする。熊倉山尾根の縦走は今年春に経験済みで不安無し。一方、大血川中央尾根は登りの経験があっても下降に不安が残る。尾根末端が急勾配で安全に下れる場所が存在しないため、長沢背稜細切れ歩きに使用する秩父側尾根で最も難易度が高い。植林地(東大の演習林)の作業道をうまく見つけられるかどうかがポイントである。


駐車地(林道・奥大血川線起点)〜熊倉山

舗装林道の緩い登りで呼吸器系の状態を確かめた。問題はなさそうである。最初のカーブを曲がると人家が一軒在る。犬がいないのでほっとした。3番目のカーブの先にも人家が数軒存在する。怪しまれたくないので植林地を登って回避。林道を跨いでさらに林道終点まで植林地を直登。

林道終点から点々とスギの木にピンクのリボンが巻き付けられている。細いが視認しやすい踏み跡が植林地上方に続いている。主に植林関係者が利用する道らしい。熊倉山西尾根に上がれれば場所はどこでも良いので、道なりに登って行った。直登に較べればはるかに楽だ。

緩斜面の明るい植林地でピンクリボンと別れヒノキ植林を抜けて西尾根に出た。標高は約740m。尾根北側が広葉樹林で雰囲気がよろしい。

標高約1000m


ヒノキ植林の上端が標高約1050m、間をおいてその上方にカラマツの植林地がある。標高1200m以上は全て広葉樹林だ。鮮やかな紅葉は見られないが、朝日を浴びて黄金色にそまる雑木林の雰囲気が良い。


アセビの木が次第に濃くなって程なく1307mポイントに到達した。大血川を指し示す標が残されている。自分が登ってきたコースには明瞭な踏み跡が無いので正式な登山道標示ではないと思われる(*1)。明瞭な踏み跡は1307mポイントから北側に下っていく(*2)。

1307mポイント (08:33)


標高1400m前後に岩場が存在する。巻き道に掴まるものが少ないし、トラロープの類も設置されていないので、下りに使うのは避けたほうが良いと思う。さらに熊倉山に近づき立ち入り禁止のロープを跨ぐと白久林道コースと合流する。現在、白久林道コースそのものが通行禁止になっているため人が歩いた形跡はなく、山頂までの道が不明瞭である。


熊倉山〜酉谷山

熊倉山山頂に先行者はいなかった。熊倉山尾根のカエデ類の紅葉は既に終わっていて、ややくすんだゴヨウツツジの紅葉を散見する程度。蝉笹山頂のゴヨウツツジ(アカヤシオかどうか不明。)の発色が最もよかった。


蝉笹山頂の南側に眺望の良い場所有り(*3)。

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芋木ノドッケ〜霧藻ヶ峰(左が大血川中央尾根、右奥は和名倉山)
両神山


逆光となるが、これから向かう長沢背稜方面も見渡せる。

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長沢背稜方面


目印の付いている踏み跡は標高1580m辺りで南方向に斜面を横移動してから小黒山頂に直登する。決して近道になっていないし、山歩きのルートとして美しくない。よって、目印を無視して素直に尾根筋を辿った。小黒山頂の北側は地形図からは読み取れない二重尾根構造を成している。

小黒の北側


長沢背稜が近づくと秩父側から東京都側に稜線を抜けていく空気の流れが強くなって少々寒い。山頂到着時は無人。富士山の写真を撮っていると長沢山方面から1パーティ現れた。この日山中で遇ったのは彼らのみ。

酉谷山から見た富士山 (11:15)



酉谷山〜滝谷ノ峰〜水松山

長沢山方面に少し下り、風の当たらない陽だまりで10分程度昼食休憩。酉谷山以西は植林が少なく長沢背稜で最も雰囲気の良い区間であると思う。


長沢背稜の登山道は徹底してピークを巻いていく。せっかくの機会であるから、登山道を無視して酉谷山から水松(あららぎ)山まで稜線を忠実に辿った。地形図に表されない岩場や二重尾根構造が何か所かあって、飽きさせない。予想したより時間が掛かるが、特に危険な場所や歩きにくい場所は存在しない。

滝谷山の西側に滝谷の峰ヘリポートが築かれている。尾根を削ってあるために眺望は良い。

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滝谷の峰ヘリポート
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熊倉山尾根


長沢山東側で稜線を離脱すべき場所を正確に把握するため、水松山三角点に寄って高度計の精度を確認した。

水松山三角点 (12:45)



水松山〜大血川中央尾根〜駐車地

稜線歩きに予想より時間をかけてしまったので、水松山から先は登山道を利用。長沢背稜で唯一、秩父側斜面を巻く区間が存在する。危険個所があるわけでもないのに必要以上に下らされるのが少々面白くない。

標高1700mで長沢背稜を秩父側に離脱して、迷いなく大血川中央尾根に入った。1250m辺りから稜線上にピンクテープが散見されるようになった。今年の春に植林関係者が作業した際に残したものらしいので、どこかに尾根に上がる作業道があるはず。1223mポイントの北側鞍部から北東方向に下っていく細い踏み跡を辿っていくと北東方向に伸びる顕著な枝尾根(地形図上の"東谷"の文字に向かう尾根)に乗った。

尾根上に道は見当たらないものの歩きやすい。そのまま下って行って標高1000m辺りで行き詰った。右側の谷の植林斜面を下っていけそうだが、東谷林道終点から離れた場所であるため安全に沢沿いに林道終点まで行けるかどうか不安。安全策をとって榊山三角点を目指すべく退却決定。

退却点から見た長沢背稜 (14:10)


戻る途中で北西方向に植林斜面をトラバースする細い作業道を発見。植林されていない沢筋を一回跨いで、榊山北東斜面の若い植林地下部(標高約1000m)に至る。ここで北東に下る小さな枝尾根の上にモノレールに出合った。

モノレール (14:30)


モノレール沿いに下れば東谷林道へ出られるはずである。尾根勾配がきつくても安心して下っていった。モノレールは最終的に右側の支沢に下り、滝と下流側の堰堤の間で支沢を跨ぎ、さらに東谷本流を跨いで東谷林道に在る起点に向かう。

支沢の滝(約8m)


堰堤の下側で東谷本流の川原に降り、渡渉して東谷林道に上がった。東谷沿いには鮮やかな紅葉が幾らか残っていたが、歩いたのが午後で日が当たらない時間であったのが惜しまれる。

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大血川東谷


大血川中央尾根の突端にある神様に寄って、着替えを済ましてゆったりと車道を戻った。気温が低くて微風快晴の好条件下で、アクシデントも藪歩きによる傷も無く、爽快な山歩きであった。

今年の紅葉前線は昨年に比べて遅れ気味と思っていたが、秩父に関しては昨年と同じかむしろ早いようである。今週で秩父の紅葉は終わりのようだ。奥武蔵辺りで今年の紅葉狩りを締めくくろうと思う。

編集後記: 一通り記録をまとめ終わってから他者の記録を調査。ブログ:花のひかり等から得た情報を以下に記す。確証は無いので全て"らしい"付き。

*1 : 1307m ポイントの紅い道標は大血川の住人が私的に開拓した『勝っちゃん新道』を意味するものらしい。西尾根から離脱する場所にもう一か所道標があるとのことだが、尾根筋を登ってきた時はその存在に気づかなかった。

*2 : 1307m ポイントから北に下るルートは『聖尾根』と呼ばれているらしい。正式な登山道ではありません。危険個所有り!

*3 : 蝉笹の南に位置する眺望の良い場所は『シラカケ岩』と呼ばれているらしい。

山野・史跡探訪の備忘録