塩沢峠〜オドケ山〜西御荷鉾山〜東御荷鉾山〜雨降山

年月日: 2013年3月16日(土)

行程: 神流町・八幡神社から塩沢川沿いに10分程進んだ場所の路肩出発(08:08)〜塩沢峠(時刻不明)〜オドケ山(10:45-10:50)〜西御荷鉾山(11:50)〜東御荷鉾山(12:50)〜雨降山(14:08)〜元坂原(15:49)〜(日本中央バス利用、¥600)〜八幡神社(16:45)〜駐車地帰着(16:57)

雪山歩きに興味ないので、冬場は健康のために体を動かすことが唯一の山歩きの動機となる。山中で動けなくなったら凍死するかもしれないし、誤射される怖れもある。よって、この時期は低山のハイキングコースを歩くことが多い。年明けに雪が降って寒さが厳しくなって以降、仕事が忙しくなったこともあって、山歩きしたいという意欲が湧かなくなった。雪が消え、狩猟期間も終了して山歩きの自由度が上がり、山歩きを計画しようという意欲が徐々に回復。

昨年2月に玉淀駅から山伝いに長瀞駅まで歩いた際、陣見山林道から(榎峠と間瀬峠の間で)初めて御荷鉾山の姿を見た。雨降山の背後に東御荷鉾山と西御荷鉾山が整列したかのごとき様子が印象的。山の容姿を見ただけで行ってみたいと思ったのは久しぶり。やや遠い場所であるので、どうせ行くなら一回で縦走してしまいたい。尾根歩き後にどうやって戻ってくるかが解決すべき課題。

陣見山林道から見た雨降山と御荷鉾山(2012/02/12)


国道462号を歩いて戻るのは、足裏の疲労、所要時間、そして歩道が全く無い点で非現実的。先日、「マッピング ぐんま」で神流川沿いの路線バスがあることを知った。本数も朝夕に複数有って利用し易そう。

15日帰宅後にコースを検討し、無駄の無い実現可能性のあるコース設定が完成した。先ず御荷鉾スーパー林道の雨降山登山口に車を置いて、国道462号線に下り、元坂原から神流町・八幡神社までバス移動し、塩沢峠から雨降山まで縦走して車を置いた登山口に下山する。

上記の時間割は原理的には可能なはずだが、前日に十分睡眠をとれないのが難点。元坂原バス停で07:39の便に乗るには、遅くとも朝7時には御荷鉾スーパー林道の雨降山登山口に着いている必要がある。現住所から駐車地まで3時間かかるとすれば、3時半には起きなければならない。日常の睡眠サイクルに合わないので睡眠不足になるのは確実。結局、起床時間を遅らせて出発が約1時間遅れて最初から実行に黄色信号が灯った。

寄居で国道254号から国道140号に入り、長瀞町で右折して県道13号を進み、神川町までは順調。しかし、藤岡市鬼石でうまく国道462号に入れず時間ロスして当初案を放棄。国道462号沿いに駐車できそうな場所は無く、バス下車予定地であった塩沢川まで移動。塩沢川沿いにしばらく県道46号を進むと広い路肩があった。近隣住民に咎められる心配がないので、ここに車を置いて尾根歩きをして、下山後にバス利用で戻ってくる。

塩沢川は南東に流れており、朝方は背後から朝陽を浴びて快適。塩沢ダム(平成7年竣工)はその規模の割に不釣り合いな立派な管理棟を持つ。上流に架かる蛇神橋を渡って程なく、「万願の水」という標示がある場所から右側の沢に下っていく道に入る。

塩沢ダム管理棟


湧水「万願の水」は水量しょぼく、ポリタンク持って水汲みに来るような場所ではない。その少し先で塩沢川に合流する支沢沿いの破線路を辿って塩沢峠に上がる予定であった。支沢右岸側に荒れた舗装林道が存在するが、しばらく登っていくとガレガレの沢中で消えてしまう。その先は道が期待できないし、沢底の遡行も難しそうなので、一貫して沢右岸側のスギ植林斜面を適当に登って行った。一か所、明らかに人為的に造られたと思しき開けた広場が存在する。昔の峠道と何か関係があるのかもしれない。

スギの落ち葉や枯れ枝を踏むたびに花粉が舞い上がる。風が吹いていたら樹上からどっさり花粉が降って来そうだ(この影響なのだろうか、尾根縦走中に鼻水が止まらず手洟しっぱなし。寒いときに山歩きすると鼻水が出るのはいつものことだが、今回はその比ではない。大量に花粉を吸いこんでついに抗体ができてしまったのだろうか?)。

最後の詰めを登り切って塩沢峠の東南東の丘陵状の場所に抜けた。勾配の小さい丘陵(尾根)を西側に下って広い耕作地(かんな高原農場)の縁に至る。耕作地の反対側の山の斜面に県道46号のガードレールが見える。農場は頑丈な金網や鉄条網で囲ってあり直進できない。大きく997mポイントの南を迂回して、農場西側境界の小尾根を登って県道46号に抜け(標高1040m)、道路を東に歩いて塩沢峠到着。秩父側の見晴らしが良いのだが、秩父の山は歩いてみて初めて良さを感じる場所であって、見える山並みは凡庸である。

塩沢峠


尾根縦走の破線路はかつて登山道として整備されたことがあって、要所に木製の道標や青く塗られた古いブリキ製の道標が存在する。少なくともここ数日は歩いた者がいない。荒れが少なく基本的に足に優しい道だ。尾根上を御荷鉾スーパー林道が並走しているため、林道を歩いてつまみ食い的に山登りすることも可能であるが、足裏に負担を掛けないようにできるだけ破線路を利用。古峠なる場所の存在には気付かず。

オドケ山入り口


オドケ山(ドケはドッケのこと?)はどの方向から見ても対称形で、ミズナラ等の広葉樹の植生も一様。これまで見た山の中で最も美しい形状とテクスチャを持つ。砕けた小石混じりの土壌に厚く覆われているようで、岩が剥き出しの場所は少ない。ジグザグに登って石祠が2基建つ頂上着。山頂は樹木に覆われているが、芽吹き前であるためこれから向かわんとする御荷鉾山を確認できる。

オドケ山山頂


オドケ山で早めの昼食をとり、今後の行程を再確認。ここまでのペースを維持できれば、元坂原のバス停の14:59 の便に間に合って早く帰れるかもしれない。

秋葉峠に相当する場所で御荷鉾スーパー林道に降り、以後は西御荷鉾山の登山口の標示が現れるまで林道歩き。この辺りに中曽根康弘総理大臣の書が彫られた林道竣工記念碑が建つ。

西御荷鉾山山頂手前で南面の登山口から登ってきたと思しき夫婦一組と遇った。山頂は開けた広場風で南側も北側も眺め良し。山頂西側には南側を向いて不動明王が立つ。山頂の東端にも不動明王らしき彫像が2体あって北側を向いている。富士講と浅間講が関係しているのだろうか。

西御荷鉾山の不動明王


バスの時間が気になるので休憩なしで東御荷鉾山に向かった。植林の中の道を辿って一気に300m弱下って、投石峠で再び御荷鉾スーパー林道に降りる。廃道化したハイキングコースでたまに見かける朱い筒型の吸い殻入れが残っており、ハイキングコースとして整備された時代が古いことを物語る。いまどきタバコ吸いながら健康維持を目的にハイキングする人は稀有であるから、山に吸い殻入れが新規設置されることはもうないだろう。

東御荷鉾山への登り口は峠から御荷鉾スーパー林道を東に数十m進んだ場所にある。勾配がきつくルンゼ(というか薙状)の上を渡る危険な道筋である。ルート設定した人の安全感覚を疑う。地形図を見る限りではもっと安全なルートが可能と思うが。

地形図の破線路は1184mポイントピークを通るが、実際の登山道は東御荷鉾山西側の鞍部まで南面の植林斜面内を巻いていく。稜線勾配が緩く順調に山頂到着。男性ハイカー2名(中年男性と若者)が休憩中。ここにも何か祀られていたが、開けた場所ではなく眺望もよくないので確認せずに休まずに東に下った。雨降山方面が望める場所で休憩。

雨降山は東御荷鉾山より200m以上低いため、東御荷鉾山から東側を見ると顕著なピークが存在するように見えない。東御荷鉾山〜雨降山の間には急勾配がない反面、距離が長く(西御荷鉾山〜東御荷鉾山のそれの約1.5倍)、所要時間が読めない。

東御荷鉾山東側の登山道は石神峠に至る前に御荷鉾スーパー林道から分岐して上がってくる細い舗装林道によって分断されている。先を急いでいたため石神峠の記憶は残っていない。少なくとも御荷鉾スーパー林道沿いに968mピークに上がる道の入り口は存在せず、林道を歩いて968mピーク南面を巻いて雨降山に接近。

御荷鉾スーパー林道はこの先徐々に高度を下げて尾根から離れて行ってしまうので、約50m適当に登って雨降山西側鞍部に上がった。地形図の破線路に相当する踏み跡は存在しない。竹谷戸(たけのかい)に抜ける林道を横切っても明瞭な踏み跡には出遭わず。道標の類が全く無いので、雨降山西側の破線路が登山道として整備されたことは無いようだ。

展望台から上がってくる登山道出合は山頂の西側にある。登山道を東進して山頂到着。

雨降山山頂


何もない、つまらない山頂である。事前に雨降山に関して見た情報には「山頂は平らな草地で、眺望も素晴らしく・・・・」と書いてあったはずだが、草地なんか無いし、眺めも良くない。ページを制作した多野藤岡広域市町村圏振興整備組合は雨降山と西御荷鉾山を取り違えているんじゃないか?

少し軽食休憩しただけで下山開始。山頂の行き先表示は『登山口』と『展望台』の2方向のみ。『登山口』方向の道はやや険しく、滑落しそうなトラバース道が在って、想定していたお気楽な緩斜面の下りのイメージと大違い。それもそのはず、雨降山に関して極めて初歩的なミスを犯していた。

一般ハイカー用の登山道が整備されているからと安心して、雨降山の地形図は山頂付近しかプリントアウトしなかった。地形図には山頂から真っ直ぐ南に下る破線路が記載されている。実際は『展望台』に下る道なのだが、『展望台』から上がってくる道が山頂の西側にあったし、さらに前記ページの案内図の東峰が山頂であるかのようなイメージが頭に残っていたため、地形図の南に下る破線路が『登山口』に下る道であると思い込んだ。

この思い違いで雨降山で迷走。正しい道を下っていたのに、進行方向が南でないので道を間違えて別の登山口に下っていると判断。疲れていて登り返すのが面倒臭いし、さきほどの嫌らしいトラバース道を再び歩きたくない。よって、南斜面に向けて山襞を適当に横断。植林斜面はなんとかなるが、植林されていない急勾配斜面は登り返しが多くてヘトヘト。なんとかヒノキが植林されている南斜面に到達し、登山道に無事出会えたものの、道標は『登山口』ではなく『展望台』を指し示している。時間が気になって必死になって源頭部のザレを這い上がっている過程で地形図コピーを落としてしまったので、もう何がなんだか。唯一判っているのは展望台より東側に降りるのが正解ということだけ。

ヒノキ植林内には地形図に記載されていない未舗装林道がウネウネと走っている。『展望台』に向かう道と別れて、東側に向けて下り基調の林道を辿った。道間違いのおかげで山頂から御荷鉾スーパー林道に出るまで40分も要してしまった。この時点で元坂原バス停14:59の便に間に合う可能性が消滅。陽光の下、林道をのんびり下ることにする。

約30分かけて御荷鉾スーパー林道を歩いて『登山口』到着。最初に辿った道を素直に辿ればここに下りてくることができたと思われるが、説明板と比較すべき地形図コピーが無いので何で迷走する羽目になったのかまだ判らない。

『登山口』からさらに約30分かけて坂原林道を下って元坂原バス停到着。林道から見た神流湖はエメラルドグリーン色。午後になって気温が上がり、山上では風に吹かれてスギ花粉が山火事のごとく舞い上がり、一部景色が霞んでいた。

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神流湖周辺はスギ花粉飛散の最盛期


元坂原バス停には公衆トイレがあって便利。10分程度遅れてきた16:09 の便に乗って八幡神社まで移動し、10数分歩いて帰着。

国道462号は何か所か工事中であり、運転が退屈である。西日を浴びる御荷鉾三山の写真を撮りに尾根に上がったついでに御荷鉾スーパー林道を走って帰ることにする。

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御荷鉾山(中央手前がオドケ山、左が西御荷鉾山、右奥が東御荷鉾山)、(17:20)


御荷鉾スーパー林道は何か所か路肩が陥没し、枝や小石が多数落ちているが、路面に雪は無く概ね快適に走れた。運転中に動物と遭遇。最初はカモシカ。勢いよく斜面を駆け下りて道路を横断しガードレールを器用に潜っていった。次に遇ったのはなんと猫。なんでこんな所にいるかね。

『展望台』に立ち寄り。景色が雑木に遮られていて『展望台』の名はふさわしくない。建設した頃は眺めが良かったのかもしれない。地元の伝承(御荷鉾の三束雨)の説明があって、一応立ち寄った甲斐があった。駐車スペースがあって安全に登り降りできるので、個人的には『登山口』コースより『展望台』コースを推奨。

展望台から御荷鉾山方面を望む


(参考) 雨降山ハイキングコースの地図

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『展望台』の案内図(画像配置を変更済)
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『登山口』の案内図


山野・史跡探訪の備忘録