オロ山北尾根・1682mポイント訪問

年月日: 2013年10月13日(日)

行程: 銅親水公園スタート(05:10)〜松木沢6号堰堤手前のザレ場(06:56)〜オロ山北尾根・標高1,560m(08:35)〜1682mポイント(時刻不明)〜オロ山(9:30 - 9:46)〜沢入山(10:50)〜中倉山三角点(11:44)〜上久保沢左岸尾根経由で仁田元沢沿い林道に降下(12:40)〜井戸沢で着替え〜銅親水公園帰着(13:34)

年次休暇が余っているので、福島の田舎で山中泊前提で山歩きすべく、3連休(12、13、14日)の前後に1日ずつくっつけて5連休とした。ところが、会津の天気が良いのは14日だけ。山歩きよりも親父のキノコ採りに付き合うのが優先なので会津で山歩きするのはあきらめた。13日に天気の良い栃木で短時間で山遊びしてから福島の田舎に戻ることにした。11日は疲れをとって床屋に行っておしまい。3連休初日(12日)の午前中に山歩きの候補地を選定。猪苗代の実家に午後7時前に着くには山歩きを午後2時頃までに終了する必要がある。できるだけハイカーに遇わずに歩ける場所を物色していて、足尾に長いこと興味を抱きながら未訪であったオロ山北の丘陵に着目。2004年に中倉山から庚申山に縦走した折に眺めて以来、遠目にはこの世の楽園の如く見える1682mポイントの丘陵を訪ねてみたいと思っていた。ルートを検討した結果、等高線幅を信ずる限りでは、松木沢6号堰堤下の谷筋を登っていけそうである。必要範囲の地形図を印刷して、出発地近くで車中泊すべく午後にさいたま市を出発。混雑する埼玉県を長い時間かけて脱出し、桐生市で買い物を済ませて現地入りした時は既に午後6時を過ぎていた。今回も過去3度利用した場所で車中泊。12日の日中は汗ばむ程の陽気であったが、夕方から徐々に気温が下がり翌朝は10℃位まで下がった。夜中何度か起きてその都度衣服を足して温度調整。そろそろ車で快適に眠れる季節は終わりだ。4時半に起床し、準備を整えてスタート地点候補地に移動。無料駐車場は駐車枠が指定されていないため広い割に停めにくい。縁の駐車スペースは全て先行車やテントで埋まっていて停める余地無し。仕方なく銅親水公園に向かった。銅親水公園にも既に何台か車が置かれており、次々に車がやってくる。さすが秋の三連休、気合入った登山者が多いようですな。

松木沢沿い林道近くにあった真っ黒な゚の山が消えていた。昔投棄された゚の処理は確実に進行しているようだ。

支沢を横切る際、真新しい足跡を視認。自分の出発時刻と比較すると真っ暗なうちに出発したはずであるから、皇海山を往復する人なのかなと思った(烏ヶ森の住人さんでした。)。


ウメコバ沢入口に達する前に空が十分明るくなり、晴天を確認して気合が入る。過去何度かウメコバ沢前を通過しているが、今回初めて入口を覗いてみた。地形図を見ると滝(崖)登りを要する場所が最低2か所は在りそう。その一つが入口の滝で、元々入り込む気は無かったのだけれどもベロンと垂れるロープを見てちと気が萎えた。この辺りの松木沢は広いゴーロに幾筋かの浅い流れが穏やかに流れており、イワナの稚魚がたくさん居た。松木沢に限らず、魚道の無い堰堤だらけの沢で行動範囲を制限されてもなお種を維持しているイワナの生命力はたいしたものだ。

6号堰堤手前の登り口はガレガレ。

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松木沢6号堰堤(手前の右岸側のガレ場から登った。)


草付き斜面の期待は大外れで、登りのルートは一貫して不安定なガレ場の連続である。頼むから登る間に地震なんか起きてくれるなよ。恐怖を感じるような斜度ではないものの、足元が崩れたら岩で足を潰しかねないので慎重を要す。下りでは体重による衝撃が加わって足元が崩れる可能性が高まるので、ここを下りに使用するのは賢明な選択ではない。

強烈な朝日を浴びずに登れるという点は期待通り。適温、微風で、ほとんど汗をかかずに登っていける。

簡単に逃げられない場所にスズメバチの巣があった。攻撃前の最終通告であるガチガチ音が聞こえてきそうで緊張が走る。上に行くには巣の前を通過しなければならない。しばし様子見。見張りのスズメバチの姿が見えないので、放棄された巣であったようだ。


対岸の大平山南西尾根を背景にした眼下の谷は、少し登っただけでも高度感がある。登りで行き詰った場合戻れなくはなさそうだができることなら避けたい。幸い、ガレてはいても突破できないような涸れ棚は無い。


オーバーハング岩の先で谷は右側に向きを変える。

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オーバーハングする岩(標高1,220m)


標高1250m前後でわずかながら水流がある。その上流で谷が二筋に分かれ、左側が主筋である。数m程度の岩壁があって、ホールドが多くて這い上がることは可能なようであったが、安全を期して少し下ってから中央のダケカンバが生える小尾根を登って巻いた。この小尾根を登ってオロ山北尾根稜線に抜けることも可能である。登りが残りわずかであるので最後まで谷筋を行く。

ガレ場からダケカンバの斜面に移行。見た目は穏やかでも斜度がきつい。腰高の丈のミヤコザサの葉が登っていくときは常に顔面の高さにある。

ガレた谷筋を抜ける(標高1,450m)
ダケカンバ林とミヤコザサ林床の詰め


オロ山北尾根稜線を猛烈な勢いで風が吹き抜けている。風裏で軽食休憩して、レインウェアのフードを被って稜線に出た。皇海山が真正面に見える。いきなり吹き飛ばされそうになってゆったりと写真を撮る余裕が無い。

標高1650m前後で稜線から西寄りにある平坦な場所は北西風が当たらず穏やかであった。

オロ山北尾根・標高1,560mから見た皇海山
標高1650mの穏やかな平坦地


1682mポイントの丘陵の縁を移動すると、南西から南まで300°以上連続して遮る物無く見渡すことができる。中倉山尾根から北に出張った位置であるため、対岸の山並みの迫力を感じる。

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標高1670mから北尾根を見下ろす。
遠くに見えるは小足沢・三沢流域
1682mポイント丘陵のダケカンバ大木の林
 
オロ山を望む


オロ山北尾根の東側はミヤコザサが深い。コメツガ林のある西側に移動して尾根を南進。標高1,700m前後に、整備された登山道並みのシカ道が存在する。オロ山の西寄りにある三角点目指してコメツガ林の斜面を適当に斜めに登り、三角点から東側に10mも離れていない場所で稜線に上がった。シャクナゲ藪があるのは山頂直下のみ。

オロ山三角点
       


しばし休憩後、沢入山方面に移動始めて間もなく、コメツガ斜面のトラバース区間で単独行の男性登山者と遇い、道を譲っていただいた。強い向かい風の中を尾根縦走して午前10時前にオロ山に到達しているのだから、少なくとも庚申山までは行くのであろうと思われた(同日、15時頃に皇海山山頂で烏ヶ森の住人さんが遇われた東京の方と同一人物であったようだ。この日、国境平泊予定であったとのこと。)。

オロ山東側・標高1,750mから見る沢入山方面
中倉山尾根・1682mポイント西から見たオロ山北尾根の丘陵


ウメコバ沢斜面の紅葉が見頃。この写真を撮った頃、足尾のRRさんが150m下を登っていたそうです。

ウメコバ沢の紅葉
 
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ウメコバ沢の反対側(仁田元沢)


眺めの良い場所は決まって強風に煽られる。沢入山山頂西隣のピークは小足沢大滝を遠望するのに最適な場所だが、風に煽られてコンデジズームの画角に滝が安定して収まらない。岩場に這いつくばってコンデジを岩上に点接触させてなんとか撮影。

沢入山山頂西隣のピークから見た
庚申山、オロ山、皇海山方面
小足沢大滝遠望(見えるのは上1/3 のみ)


沢入山の風裏で昼食休憩。仁田元川の谷はまだ紅葉が始まったばかり。尾根から30m程度下った場所に一本だけ綺麗に紅葉したカエデの木があった。

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仁田元川側斜面のカエデ


沢入山に向かったと思われる一組の男女以外に登山者無し。

中倉山
リンドウ


最もよく登降に利用されていると思われる中倉山三角点近くから南に延びる尾根に入った。踏み跡や目印もあるが、2006年に下った時は標高1,200m以下のトラバース区間が不快で、途中から上久保沢左岸尾根に移動した。よって、今回は標高1,380m付近で踏み跡を離脱して最初から上久保沢左岸尾根(中久保沢右岸尾根)に入った。下り始めは藪薄く、踏み跡らしきものはなくても順調に下れる。ところが、標高1250m前後で進路を見極めにくくなり、傾斜のきついザレ場やシカ避けフェンスが何度も出現し、その度に右に左に迂回させられる。標高1,000m辺りまで下ってようやく見覚えのある場所に出た。最後は砂防堰堤上を右岸側に移動して林道に抜けた。踏み跡を素直に辿った方が安全で且つ早かったかも。

仁田元川沿いの林道に下降
       


林道を歩きながら幾つか地名を確認。2004年に登ったときにザレた稜線が危険と判断して途中退却した尾根は井戸沢右岸尾根である。自分は確率的にかなり危ないと判断したが、何も感じずあっさり通過してしまう人もいるようだ。この時、代替ルートとして選択したのが下久保沢右岸尾根(中久保沢左岸尾根)であったことを確認できてすっきり。井戸沢で顔を洗い着替えを済まして、導水管の橋を渡って銅親水公園帰着。

観光客の男性に、「すみません。ここは一体何が見どころなんですか?リュック背負った人やカメラを構えた人を見かけるんですが。」と問われて、少々戸惑う。最初に訪れた1992年頃は松木渓谷が今より荒涼としていたし、錆びついた足尾銅山の施設も多く残っていて、そこそこ感動した記憶がある。うーむ。確かに現在の銅親水公園からは足尾の歴史を知らない一般の観光客にとって見る価値のある景色は得られないのかもしれない。

山野・史跡探訪の備忘録