北筑波縦走(筑波山神社〜足尾山〜加波山で下山〜岩瀬駅)

年月日: 2013年12月1日(日)

行程: 筑波山神社・大鳥居でバス下車(08:36)〜御幸ヶ原(09:48)〜筑波高原キャンプ場(10:25)〜湯袋峠西側で舗装路出合(11:03)〜林道・筑波北稜線に入る(11:18)〜上曽峠(11:55)〜足尾山山頂(13:07)〜加波山山頂の南側(14:24)〜加波山西側山ろくの石切場(15:05)〜村社・加波山三枝祇(さえなずみ)神社親宮・本宮参拝(時刻不明)〜県道を北上して水戸線・岩瀬駅着(17:00)

氏家在住時、宇都宮方面に出勤する際、毎日のように筑波山を目にした。その横にやや小振りで似たような山が在って加波山らしいことは知っていたが、山上に車道が走っているので歩いてみたいと思ったことはなかった。最近、奥武蔵で似たような場所を歩いて舗装路歩きに若干免疫ができているので、自家用車が無くなったのを機に公共交通機関を利用して歩いてみようと思った次第。水戸線・岩瀬駅から筑波山まで歩く人は少なからず。しかし、現住所(さいたま市)から始発に乗っても岩瀬駅着が 07:04だ。筑波山つつじヶ丘の最終バス発車時刻が16:30 だから9時間程度で歩かなければならない。最終バスに間に合わなかったら悲惨だ。逆方向で歩こうとすると、つくばセンター(つくば駅)の始発バスに乗って筑波山神社の大鳥居から歩き始めるのが08;40 頃となる。日没までの行動時間が8時間程度しかないものの、最低でも雨引山辺りまでは行けるだろうし、暗くなる前に途中で麓に下りたとしても車道歩きの距離はたいしたことはあるまいと思った。北に向かって歩くと太陽の直射を受けずに済むし、電車は遅くまで運行しているので好都合。先週使用したザックを洗濯していなかった。汗を吸った肩掛けの部分がちと臭うザックを担いで電車に乗る気になれず、単身赴任時に丹沢歩きに使用していた小振りのザックを持っていくことにしたのだが、着替えを収納すると長い舗装路歩き専用のジョギングシューズを入れる余裕無し。筑波山神社から岩瀬駅まで直線距離にして20q程度だから、トレッキングシューズでも問題ないだろうと思った。これが大誤算。上曽峠からきのこ山に向かう途上で足裏に少しずつ痛みを覚えるようになり、以降は足をかばいながらの歩きで進行が捗らない。まだ行程の半分も消化していない段階で不安材料が生じて弱気になり、脚力もスタミナも十分に残して予定より早めに加波山から麓(長岡)に下りることにした。つい先日、烏が森の住人さんが岩瀬駅から歩いて加波山で下りたことは知っていたが、詳細を見ていなかったため、加波山の予備知識無し。所持している情報は地形図のみ。南端の社がある場所が山頂であると思い違いし、社務所らしき建物の横から長岡に下る道(地形図に記載されている道)を地形図に記載されていない近道と思って下ってしまった。よって、厳密には加波山山頂には行っていない。県道41号線にバスが走っていることを期待して長岡に下りてみたものの、どこまで歩いても停留所は無い(バス路線は2011年に廃止された。)。地域にとって重要な道であるにも関わらず公共交通機関が存在しないのだ。烏が森の住人さんが長岡から岩瀬駅まで歩いて戻ったことを把握していたら、バスの存在を期待して下りることもなく、時間ぎりぎりまで山道を歩く選択をしたと思う。足裏をかばいながらの長い舗装道路歩きがつらかった。全ては下調べや普段の準備不足が招いた結果である。次回は準備を整えて、別のコース設定で歩いてみたい。

始発バスが混むことを想定して筑波山行きバスの始発より30分以上前に着くように出発。南流山で武蔵野線から快適な筑波エクスプレスに乗り換えて順調につくば駅に到着。バス利用のハイカーの数は多いが、丹沢の大倉行きのバスのように超満員とはならず、余裕で座れた。ちなみに関東鉄道のバスはSUICA/PASMO が使えない。つつじヶ丘から登ればもっと早く楽に登れるのだが、少なくとも山歩きの始まりか終わりのいずれかでは神様にお参りして締めたいという願望があるので筑波山神社入り口で下車。料金は700円。

筑波山神社に参拝を済まして御幸ヶ原コースの登り開始。昨年筑波山に登ったときはつつじヶ丘コースの濡れた悪路の下りに閉口して、こんな山もう二度と来るもんかと思った。御幸ヶ原コースも斑れい岩剥きだしのゴツゴツしたルートであるが、つつじヶ丘コースよりは歩き易いように感じる。眺望の無いつまらないコースでも初めてなので新鮮味を保てる。

この時間帯に登るハイカーの多くは家族連れでペースが遅い。できるだけ汗をかかないように抑え目に登ったつもりだが、上がるにつれてハイカーの姿がまばらとなった。御幸ヶ原に至るまでに抜いていったのはトレラン2名と若い男性一名のみ。早くも降りてくる人少なからず。御来光を拝むのが目的なんだろうけど暗いうちによく登る気になりますな。山降りた後は一日何して過ごすのかね。たいていの人はおそらく午後10時前に寝てしまう生活パターンなんだろうな。仕事前の日課として登っているとしたら超人ですな。

御幸ヶ原は既に多くのマイカー利用のハイカーやケーブルカーやロープウェイの始発で上がってきた観光客が大勢いた。最も女体山寄りのベンチで軽食休憩。

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御幸が原から(中央が加波山)


女体山の山頂に寄らずに筑波高原キャンプ場に向けて下り開始。北側で歩く人が少ないので岩ゴツゴツの場所が少なく快適。3名のトレランが走って下っていった。緩い坂でも走ると足関節にかかる負荷が大きい。山歩きだって下りは決して健康的な行為ではない。ましてや山を走って下る過酷な行為を日常的にやっていたら若いうちに人工関節のお世話になりかねないよ。

さて、キャンプ場まで下りてきたものの、湯袋峠に向かう道の案内が皆無(在ったのかもしれないが気付かなかった。)。キャンプ場に置いてある筑波山ガイドマップ(無料パンフレット)にも案内が書かれていない。北に向かう縦走路の案内があるはずと決め込んできたのでちと気に入らない。あー面倒くせーと思いながら地形図コピーを広げているうちにトレラン一名が未舗装林道に入っていったので自分もその後に続く。最初に現れた道標が湯袋峠を指していたので素直に遊歩道(関東ふれあいの道)に進入。

落ち葉の乱れが少ない。遇ったのは下る人2名、登ってくる人2名のみ。関東ふれあいの道だけあって金掛けて整備したらしく、沢沿いの歩道には石が敷き詰められている。山道のフワフワ感がなく舗装道路歩いているみたいで足裏の負荷が大きい。道はどんどん沢沿いに下って車道に抜けた。入口の道標は現在地が湯袋峠の西側であることを示している。200m程度西側に車道を下ってみたが林道の分岐は無い。想定していた道の西隣の道を下って遠回りしてしまったようで、湯袋峠の600m西側の破線路入口にいることになる。だったらキャンプ場付近の道標に湯袋峠なんて書くなよ。車道を下っていく方向(西側)には『真壁駅 4q』と書かれている。真壁駅?そんなものあったっけ?初っ端からケチがついたので真壁に下って帰ろうかと思った。

600m無駄に舗装路を峠に向けて歩いて林道・北筑波稜線に進入。交通量は少ない。眺望の良い場所がないので特筆すべきこと無し。上曽峠に向けて舗装道路が大きくくねる場所で植林を直進。近道はできたが最後はサルトリイバラに引っ掛かってもがいた。

県道7号と林道が交差する場所で先の行程を確認。行程の中間地点の足尾山まで約5qの道のりを残して既に時刻は11:55。この先長い林道歩きが続くし、途中で山歩きを止めても舗装路を長く歩く点では変わらないので少々げんなり。そこに、きのこ山方面から女1名を含む3人組が下ってきた。挨拶しても男2人は「お前なんかお呼びじゃないよ。フン!」てな感じで無視。さすがに女は軽く頷いたが、ものすごく感じの悪い連中だった。この類の輩に遭うと気持ちが荒むので一般のハイキングコースを歩くのは好きではない。その後遇った人達はみな感じの良い人達だったので救われたな。

道中にはきのこ山を指し示す道標があったのに、きのこ山山頂と思しき場所には何の案内も無し。休憩所には寄らずに足尾山を目指した。まだ行程の半分も消化しないうちに足裏にかすかに痛みを感じるようになった。足裏をかばいながらの歩きとなりスピードが出せない。

きのこ山の下りにて(加波山と足尾山)

きのこ山の下りにて(加波山と足尾山)
       


同じバンが荷を積んで足尾山方面に向かい荷を下ろして戻ってくることを繰り返している。何か工事用の資材を運んでいるのかと思ったら、ハンググライダーとパラグライダーを運び上げているのであった。足尾山南側に離陸場があって、本日は絶好のフライト日和らしく道路横にたくさんのハンググライダーがびっしり並べられている。ハンググライダーの実物を見たのは初めて。結構大きいな。

足尾神社の参道は廃れた雰囲気が漂う。社殿跡のような場所はナギナタコウジュの枯れ穂がびっしりで全く手入れされていない。山頂に上がる道の横には昭和四年に水戸駅構内人力車組合が建立した碑がぶっ倒れたままになっている。先客の男性2名と入れ替わるようにして上がった山頂は無人。思いがけず足尾山で自分好みの雰囲気に出合えて感激。

足尾神社
足尾山山頂から見る加波山方面


後日調べものをしていて得た情報では、2014年に社を再建する計画があるそうな。この光景はこれが見納めかな。

行程の中間点で13:00を過ぎた。全コースを明るいうちに歩き通すのは無理のようだ。途中で山を下りるにしても次回の訪問にうまくつながる場所まで歩いておきたい。とりあえず加波山までは行くことに決めた。足尾山山頂から一本杉峠に向かう山道はさらに廃な雰囲気が漂う。歩く人は少なそうで、落ち葉がたくさん積もっている。

少しでも足裏の負荷を軽減すべく一本杉峠から破線路を辿った。風力発電施設のある側の入口が判りにくくなっているせいだろうか、全コース中で丸山の破線路の踏み跡が最も薄い。

シキミ
丸山の風力発電施設と加波山


加波山は植生と地質に面白みがある。

加波山の特徴@: スズタケの林床
加波山の特徴A: 斑れい岩


山頂と思しき場所に至った(実際には山頂ではないのに社が在るので山頂と思い込んだ。)。もっと開けた場所かと思っていたので肩すかしをくらった感じ。

村社・加波山三枝祇神社本宮拝殿(たぶんね)
       


時刻は14:24。最も日の短い今の時期は安全を見て15:30までには山を下りたい。地形図を見て加波山を下るルートを思案。山頂の南側から下る破線路@と加波山と燕山の間から下る破線路Aの2ルートがある。山頂に至るまで破線路@の分岐を見た記憶が無い(山頂に達していないから当然。)。破線路Aを下ることにして北に向かおうとしたら、社務所らしき建物の横から長岡方面に下る道があった(これが破線路@だ。)。「近道だ、これ幸い。」と何の疑問も持たず進入。歩き易い道でどんどん順調に下山。

仏教だか神道だか判らない怪しげな廃施設の近くに三合目の鳥居があって、下ってきた道はどうも正式な参道ではないみたいだ(帰宅後に加波山神社のホームページを見てようやく理由が判明)。さらに舗装路を下っていくと、右から合流する道に二合目の鳥居があった。

住宅地域まで下りてくるとド派手な色使いの施設が目に入る。加波山神社真壁拝殿であるようだが、自分が抱く神社のイメージと乖離しすぎているので入らず素通り。さらに500m進むと加波山三枝祇(さえなずみ)神社が在る。こちらはたまたま山頂南端で見た神社の本宮で、いかにも神社らしい境内を持つ。山歩きの締めくくりにふさわしい場所に思えたので立ち寄って参拝。入口に銀杏がたくさん落ちていて踏まないように気を使った。

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村社・加波山三枝祇(さえなずみ)神社親宮・本宮


さて、県道41号まで出てはみたが、バス停留所らしきものが存在しない。なんだよ、旧真壁町の中心部でありながら公共交通機関が一つもないってか?栃木の田舎より不便だな。結局、岩瀬駅まで舗装路を歩くしかなく足裏の肉刺が悪化してしまうではないか。明日以降の通勤がつらそう。こんなことになるなら雨引観音まで山の中歩けばよかった。

過去に自家用車で栃木から茨城に出張した帰りに何度か県道41号を利用したことがあって、沿道から見る山並みを見るのは今回が初めてではない。関心が無かったわけではないのだが、この辺りを通過するのはたいてい夕刻で立ち寄る機会が無かった。立ち寄ったことがあるのは雨引観音のみ(孔雀がいたことしか覚えていないけど。)。途中から舗装路歩きになってしまったけれども、夕刻の山並みをじっくり眺めることができた点では良かったかな。

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燕山〜加波山〜足尾山


北の台の辺りで、道路横の湿った地面が乱れていた。こんな交通量の多い県道の傍らにイノシシが来るのか?丸山(218.4m)の西を通過する頃に日没となった。道路東側の田んぼ跡と思しき低湿地を2匹の大型獣が逃げていった。薄暗くてよく見えなかったがイノシシであることは間違いない。

県道41号と別れて岩瀬駅に向かう道に入る。細い道の割に交通量が多い。そして、歩道が全く存在しない。田舎では自分の足で移動する文化が失われており、道路に人間がいない前提で車を走らせる。危ない場面が一度有った。

岩瀬駅の南側の駐車場のトイレは男性用トイレと障害者用トイレの電気がつかない。駅のトイレにしてはお粗末だな。何で??? 女性用トイレに入るわけにもいかずトイレの裏側で着替えを済ました。さて岩瀬駅に入ろうとしたら線路南側には入口が無い。はあ?って感じ。ここは1987年に廃線となった筑波鉄道筑波線の岩瀬駅構内跡らしく、現在は公園になっているようだ。道理でトイレが整備されていない訳だ。17:16 の便に乗るべく、西側の踏切を北に渡って岩瀬駅に向けて走った。水戸線、宇都宮線、埼京線とつないで順調に帰宅。

山野・史跡探訪の備忘録