岩間駅〜愛宕山〜難台山〜吾国山〜加波山〜岩瀬駅

年月日: 2013年12月29日(日)

行程: 常磐線・岩間駅(07:24)〜愛宕山(08:15)〜見晴台立ち寄り〜団子石峠(09:28)〜難台山(10:15-10:25)〜吾国山(11:15-11:25)〜正法寺右手前から破線路を辿り車道に抜ける(13:38)〜加波山(14:11)〜燕山(14:43)〜雨引山(16:00-16:05)〜御嶽山(16:32)〜岩瀬駅(16:58)

2013年は茨城の山で歩き納めとする。北筑波の関東ふれあいの道で歩き残している区間(加波山〜岩瀬駅)を歩いておきたい。岩瀬駅から歩き始めれば簡単なことだが、交通の便が悪い地域であるため中途半端な場所で下山すると戻るのに難儀する。加波山から登り始める場合は逆にアクセスするのが不便。筑波山神社から全コースを再トライするのも嫌。常磐線の岩間駅から愛宕山〜難台山〜吾国山と縦走して加波山の東側にアクセスし、加波山到着時に十分な残り時間を確保できれば岩瀬駅方面に関東ふれあいの道を下る。日没時刻を意識して少々無理をしたことは否めないが、暗くなる前に予定の全コースを歩き通すことができた。愛宕山〜難台山のハイキングコースは眺めも雰囲気も素晴らしい。難台山〜吾国山の区間はやや植林の区間が多いものの吾国山山頂及び中腹の伐採地からの眺め良し。吾国山到着までにかなりの労力を要すため本来ならば福原駅に下山すべきところ、加波山にこだわって吾国山から西南西に下った。歩道が在るのは車道まで。その先に登山道として整備された道は存在せず、破線路に相当する痕跡すらない。大増地区から加波山に登る破線路も似たような状態で、道形こそ留めているが登山道として整備されたことは無く放棄されて久しいようだ。。

愛宕山は駅前から見えるし、駅前から案内があって迷わず行ける。

画像
岩間駅西口にある案内図


愛宕山全体が公園化されていて東側の眺望に優れるが、特に目立つものはなく海岸まで広がる平野が見えるのみ。忠実に参道に沿って鳥居を潜りながら登って行った。山頂直下は勾配きつく長い石段がある。昭和38年に氏子や近隣の有志者の寄進で建設したものであるとのこと。

愛宕神社の階段
愛宕神社本殿


愛宕信仰は神仏習合の修験に起源を持つので、明治の廃仏毀釈以前はここも神社だけではなかったと思われる。愛宕神社が祀る火防の神様は阿当護神だそうだが、神仏習合の時代は勝軍地蔵を火防の神として祀るのが一般的だったようだ。例えば、安蘇の愛宕山の山頂には勝軍地蔵が彫られた石が残されている。この愛宕山に勝軍地蔵が存在するのかどうかは未確認。愛宕信仰は天狗信仰と密接な関係があるようで、こちらの愛宕神社も大きな天狗の面が飾ってある。


縦走路に連絡する途上にあるスカイロッジも眺め良し。水戸ナンバーと土浦ナンバーの車が多数有り。地元の宿泊客がそこそこいるようだ。スカイロッジ奥から適当に斜面を下って遊歩道に抜けた。愛宕山まで車で上がってきて鐘転山や南山展望台まで手ぶらでウォーキングする人が多いようである。

分岐の道標に見晴台と書いてあったので立寄り。樹木が邪魔になって写真撮影には不向きの場所。鐘転山方面と思しき方向に向かうと手ぶらの年配者と遇った。そちらの方向から難台山に向かう道はなさそうなので引き返して分岐に復帰。雰囲気の良い広葉樹林の中を辿る。

前方にさきほどあいさつした年配者が見える。追い抜くのも気まずいので、南山展望台直下で未舗装車道に逸れた。車道は362.3m三角点峰の方に向かっていく。尾根を跨ぐ場所から展望台に上がった。あいにく先客が前をゆっくり歩いていたので、挨拶だけ交わして展望台には寄らず難台山へ。

難台山までのアップダウンが予想した以上にきつく進行が捗らない。言い換えればなかなか歩き甲斐のあるハイキングコースということ。獅子ヶ鼻、天狗の鼻、屏風岩等、所々眺望が得られる場所が在って楽しめる。団子石峠から難台山山頂に至る間に早くも単独行者数名と家族連れ1パーティが下ってきた。地元では人気の山のようだ。

難台山に向かう途上
筑波山〜燕山(天狗の鼻から)


難台山山頂はさほど眺望の良い場所ではないが広々としている。

軽食休憩中に道祖神峠方面から若い兄ちゃんが上がってきた。せわしなく頂上を何度も行ったり来たりして最後は三角点を踏みつけて戻っていった。俺の存在が邪魔だったのかもしれない。道祖神峠方面に下っていくとすぐに兄ちゃんの後ろ姿が視界に入った。オヤジに追いつかれるのは気分悪いであろうと思いペースを落として等距離を保って進行。上り坂でこちらの存在に気付いたようで、坂を上りきると姿が見えなくなっていた。走って逃げたな。好都合だ♪。遠慮なくスピードを出せる。

長い下り坂で必死に走り下る姿を再びとらえた。先が長い当方に競争する意思は毛頭ないのだからそんなにムキにならんでも良いのに。彼は道祖神峠まで車で上がってきて難台山までの往復するのが目的だったようだ。

道祖神峠から吾国山の登りは大部分が植林地である。難台山からは低く見える吾国山だが、道祖神峠から登るとどうしてどうして結構きつい。中腹の伐採地から得られる北東の眺めが良い。

画像
吾国山中腹からの眺望(右が難台山方面)


吾国山の山頂には神社が在って周りを土盛りと生垣で囲まれている。八溝山の神社の規模を小さくしたような構造だ。神社が北を向いているので福原方面の住民が祀る神なのであろう。中腹で追い抜いていったトレラン3名が休憩中。彼らはもしかしたら筑波山の下りで遇ったトレラン3名と同じ人達かもしれない。スマホで記念写真を撮ってあげた。構図はあれで良かったですかね。

画像
筑波山〜燕山(吾国山山頂から)


伐採地で写真撮影時に手袋を置き忘れてきてしまったみたいだ。\600の手袋のために戻る気になれず先に向かう。西南西方面に下る道は勾配がきつい。車道の切通の反対側に上がる場所は無い。車道を歩いて大覚寺に向かうしかなさそう。しばらく車道を西進すると422mポイント方向に上がっていく作業用林道の痕を見つけこれを辿る。尾根上に破線路に相当するような明瞭な踏み跡は存在しない。まだ本日の予定をギブアップする時間帯ではないので藪尾根下りを選択した。

422mポイントから南に下る尾根を途中で西側に離脱しなければならない。南に見える大きな211.5mの丘陵が目印となるので離脱ポイントはほぼ正確。ここ下っていって大丈夫だろうかと思うような勾配で常に立木につかまっている必要がある。急勾配の藪尾根を150m下って植林地帯に入っても相変わらず道跡らしきものと出合わない。標高250m辺りで若干東側に逸れてしまい、舗装林道の終点に下りた。葛老山の南斜面を下った時のような展開だ。

ひとまず安心。でも、これでは大増側に出られない。尾根に復帰して大増側に下ると思しきかすかな窪みを辿った。手入れされていない植林の中の窪みは次第に明瞭となって谷地に抜けた。1990年代の韓国に出張中に、天生山(천생산)に登ってみたいと思ってこんな感じの田舎に行ったことを思い出した。まだ牛を使って農耕しているのを見て驚いた記憶がある。

廃道経由で大増地区側に下山
香取神社(背後は経由した422mポイントのある尾根)


一本杉峠を目指すのは時間的に無理がある。香取神社から西進して県道64号を突っ切って正法寺の手前から破線路を辿って加波山に向かう車道を目指す。最初は植林地の舗装林道だったものが、一部ぬかるむ未舗装林道となった。軽自動車が一台停めてあって、道奥に向かった足跡在り。ジグザグに斜面を登っていくと上方の林の中を動く黒い姿を発見。どこかの神主さんが榊を採りにきていたようだ。

作業道はいくつかに分かれて踏み跡程度になる。適当に選択して辿っていくと広葉樹林帯に抜けてやや不鮮明となった。藪や倒木の様子では長いこと用いられていない。登山道として整備された跡も無い。またまた予期せぬ廃道歩きとなってしまった。大増地区では山に登る風習はとうの昔に絶えているのであろう。

スズタケが繁茂する区間に入ると古い赤テープを幾つか見かけた。遺棄されたペットボトルが目立つようになってすぐに車道のヘアピンカーブに抜けた。場所は地形図に記載された破線路の接続点よりも若干北側である。そのまま車道を右に向かい、加波山に向かう支線に入り加波山神社到着。この間、破線路の接続点らしき場所を見かけなかった。

加波山神社は初詣を迎える準備が整っていた。道も駐車場もやや狭い。地元の人は初詣にここまで車で上がってくるんだろうか。ここまで来たら、縦走よりも未訪問の山頂詣でが優先。その結果として時間が余れば縦走を続行する。

加波山神社
加波山山頂


うっすらと雪が残る参道を登って加波山三枝祇神社まで往復。

吾国山〜難台山
       


未舗装林道の日溜まりで休憩して栄養補給。燕山方面から歩いてきた一人の年配ハイカーに、「関東ふれあいの道はこれで良いのですか?」と問われた。時間的におそらく加波山山頂もしくは一本杉峠から長岡に下る予定なのであろう。当日山中で遇った人はこの方が最後であった。

14:43 分に燕山を通過。燕山から北の縦走路の雰囲気も素晴らしい。ゆっくりしていられないのが残念。平地では小走りで先を急ぐ。幸いなことに、関東ふれあいの道は疲労した身にとっては難所と見ていた392mピークをパスしてくれている。雨引山に16時前に到着して日没まで約30分の時間を確保。なんとか車道に逃げることなく最後まで関東ふれあいの道を完歩できそうだ。

雨引山山頂
加波山〜筑波山(雨引山から)


御嶽山に向かう連絡尾根に不安定な大石がゴロゴロしているためか、尾根を避けて一旦沢に下って登り返す必要がある。ここでイノシシを見た。今年の11月まで野生のイノシシを見た経験は一度だけ。12月に入って早朝や夕暮れに里山を歩いているためか既に3度。場所や時間帯によってはシカやサル並みの確率で遭遇する動物なのだな。

画像
夕暮れ(御嶽山に向かう途上)


格好つける人はアーベントロートとでも言うのかね。夕暮れの山頂でゆったりとコーヒーを飲むという嗜好が解らんでもない雰囲気。空に明るさが残るうちに下山し、前回と同じ17時16分の小山行きに乗った。

山野・史跡探訪の備忘録