奥多摩湖〜大ブナ尾根〜御前山〜(大岳山をパス)〜馬頭刈尾根〜瀬音の湯

年月日: 2014年10月25日(土)

武蔵浦和駅・武蔵野線(05:28発)〜西国分寺駅・中央本線(05:58発)〜立川駅・青梅線(06:04発)〜青梅駅・奥多摩線(06:35発)〜奥多摩駅・西東京バス・小菅の湯行き(07:25)〜水根バス亭下車(07:40頃)〜尾根取付き・標高530m(07:56)〜サス沢山・標高940.0m(08:45)〜惣岳・標高m(09:45)〜御前山・標高1405.0m(10:00)〜大ダワ・標高1000m(11:05)〜大岳山北側の分岐(11:52)〜富士見台(12:30-12:40)〜馬頭刈山・標高884.0m(13:50)〜瀬音の湯(15:30)〜荷田子バス亭・西東京バス(15:40)〜武蔵五日市駅(拝島行16:13)

日中自宅から一歩も外にでることなく週末を過ごすことがよくある。先週もそうだった。汗っかきだし、基本的に人間がきらいで仕事以外で電車で出かけるのが億劫。そういう事を言っているうちに、冷え込むようになったら全く外出する気も起きなくなる。あまり気乗りはしなかったが、せめて2週に一度位は体を動かすべく4年振りに奥多摩にでかけてみた。4年前の同時期に奥多摩駅から武蔵五日市駅まで歩いた経験を参考に、金曜夜帰宅後に短時間でコースを検討。今回はバスも利用して、4年前のコースの西側にある未訪尾根を繋いでみる。奥多摩駅からバスで奥多摩湖に向かい、御前山を乗り越えて大ダワ経由で鋸山の尾根に入り、訪問済の大岳山を回避して山腹のトラバース道を辿って馬頭刈(まずかり)尾根に入り、馬頭刈山から瀬音の湯に下りてバスで武蔵五日市駅に至る計画である。

奥多摩駅でバスの待ち時間が短くなるように、立川駅06:21発の奥多摩駅行きに乗り換えるつもりだった。立川駅で何故か一本前の青梅駅行き06:04発の便に間に合ってしまった。よく考えずに乗り込んだ06:04発の便は朝帰り客とハイカーでたいへん混み合っていて立ち乗り。さらに青梅駅で4両編成の奥多摩駅行きもハイカーが多くて座れず。奥多摩駅前で小菅の湯行きのバスの乗客のほとんどは雲取山方面に向かうのであろうから、後部に座ると途中のバス停で下車できない。バスの中央でまたまた立ち乗り。奥多摩行きは楽ではないな。

奥多摩湖(小河内ダム)に近づいて水根停留所の案内が流れた。奥多摩湖停留所で降りるつもりであったのだが、「タカノス山にはこちらが便利です。」の案内を聞いて御前山に向かう途中にあるサス沢山とかん違いし、下車するハイカーが1名いたのにつられて自分も降りてしまった。隣の奥多摩湖停留所まで歩いて2分もかからない。

ダム堤頂を対岸に移動。登山口方向の藤棚のある一段高い場所に人がいるのが見えた。男性が一名、朝からこんな場所で何やっているんだろう。藤棚を進んでいくと・・・・ ゲッ、スッポンポンだよ。早朝からこんなものがお出ましするとは。当方に気付いていないみたいだし平然と挨拶するのも変だから、気付かないふりして通り過ぎた。慌ててズボンを履いた様子をみると、変質者ではなかったみたい。誰も来るまいと油断して自然に回帰していたのかもね。俺もアユ釣り後や下山後に着替えするから似たようなものか。

ひと登りして尾根突端の頂上広場なる場所に行ってみたが雑木が邪魔で眺望悪し。行く意味は無い。尾根筋の登山道には荒れも危険個所も無く、そよ風が吹いていて、少し立ち止まって熱冷まししながら順調に登っていける。少なくとも尾根の片側に自然林が残されているため雰囲気がよろしい。

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サス沢山とおぼしき場所には先行者の男女が居たのでパス(事後に見た他者記録では、奥多摩湖を眺めるのに良いポイントであるようだ。)。

登山道右側斜面下を林業用モノレールが並走している。標高1100m を超えると尾根上にはヒノキ植林がなくなり色付き始めた広葉樹林の中を進む。御前山は植林の山だとばかり思っていた。眺望はたいして良く無いし、美しく紅葉するカエデの木も少ないのだが、期待以上の自分好みの雰囲気が得られて満足。

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大ブナ尾根の雰囲気


標高1250mから急登区間が始まる。道標は登ってきた尾根を「大ブナ尾根」と称している。たしかにブナの木は存在するのだが、クリの木も多い。今年はクリの実りが良かったらしく、登山道上に延々と無数のちいさなクリのイガが落ちている。たそがれオヤジさん風に表現したらどうなるのかね(書かないけど)などと考えているうちに急登区間を抜けて惣岳到着。

御前山まであと少し。登山道両側にロープで繋がれた木の杭が連なり、「植生回復中。柵の中に入らないように。」旨の表示がある。元々藪の無い植生なのに、何を回復するというのか?繁殖の相手を求める雄シカの鳴き声が聞こえるが、シカの糞を全く見かけないし丹沢のような深刻なシカの食害があるようにも見えない。登山者が踏み荒らすような場所でもない。行動範囲を登山道に制限されたハイカーに対しては、「作の中に入るな」ではなく「柵の外に出るな」が正しい表現だろう。

御前山の高いところも一部伐採された過去があるようだ。広葉樹林のように見えてもカラマツが混じっている区域がある。坑木用途がなくなって以降、ここに限らずアクセスが不便な場所のカラマツ植林は放置されてしまったところが多い。

山頂に至る手前にベンチが一つあって富士山方面の眺望が得られる。撮影中に勢いよく迫ってきた後続者の足跡がピタッと止まった。彼も同じ眺望を期待してきたようだ。御前山山頂には先行者1名のみ。山頂の案内図を見ているうちに後続者も到着。後続者に挨拶したけどジロッと一瞥しただけで反応無し。そんなに他人と関わり合いたくないのなら一般登山道歩くんじゃないよ。こちらも不快になって迷惑だ。奴と空間を共有したくないので御前山を素通りして大ダワへ向かった。

御前山山頂手前からの眺め
御前山山頂


青いパーカーの兄ちゃん(おそらく山頂に先着していた方。ヤマレコ見ると自分の行程の+αの行程だったようだ。)がバタバタと勢いよく下っていった。若いから関節は持つだろうが、筋肉疲労が蓄積してそう長くは同じペースを維持できないだろう(予想通り大ダワで追いついてしまった。)。大ダワまでアップダウンを伴いながらの400mの下りは予想していた以上にきつく、中間地点のクロノ尾山のベンチで軽食休憩。かつて避難小屋があったと思われる場所を過ぎて程なく大ダワ到着。車道の峠になっていて自転車族が休憩中。鋸山直下で兄ちゃんは左(鋸山、奥多摩駅方面)へ、眺望の無い訪問済みの鋸山をパスすべく自分は右(大岳方面)へ。

大岳山に向かって南下する道は4年前に経験済み。アップダウンが少なくとても快適な道である。数は少ないが美しく紅葉している樹木を散見できる。人気のあるコースらしいが、午前中ということもあって大岳から北進してくる人は5名程度だった。

山頂狭く岩ゴツゴツして危険且つ混み合う大岳山をパスし、大岳山北の分岐で馬頭刈尾根に向かうトラバース道に入った。ハイカーはたいてい大岳山を目指して登ってくるので、このトラバース道を利用するハイカーは少なそう。事実、誰にも遇わず。真新しい踏み跡もなかった。植林斜面であるためリンドウを数株見かけたこと以外に特筆すべきこと無し。

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騒々しい集団の声が近づいてきた。程なく大岳山から下る道と合流。彼らは馬頭刈尾根経由で大岳山を目指していたようだ。ちょっとしたタイミングのずれで遭遇せずラッキー。日の短い時期であるから、正午を過ぎれば馬頭刈尾根を登ってくるハイカーは少ない。富士見台の北で10名程度のパーティ、南で中華系の男女と遇ったのみ。

どこかで昼食休憩したいと思いながら南下。ベンチのある場所はたいてい単独行の男性が陣取って食事休憩中。眺めの良くない富士見台が無人であったので日陰が得られる東屋で昼食休憩した。まだ足の疲労感はないものの、暑くてゆっくり歩いていても発汗する。トレッキングパンツだけ着替えを所持していないので、帰りのことを考えるとちと憂鬱である。

地形図のつづら岩とは切り立った岩峰群が連なる場所の総称なのであろう(後で調べた情報に拠ると、チャート質らしい。)。一般ハイカーが登れるような場所ではない。登山道は岩壁下に沿って下っていく。ロッククライミングの練習の場として有名らしく、岩壁の近くに踏まれたような跡が認められる。岩峰群の最東端(969mピークの西隣)でクライミングの練習をしている一団がいた。

アップダウンが多くても下り基調で前方に高い山が見えないため、馬頭刈山に向かっているという感じがしない。時刻的に登ってくるハイカーはいないが、馬頭刈山直下の伐採地で黒い服のトレラン野郎が1名、鶴脚山方面に向けてバッタのように飛び跳ねて行った。下に人がいる場合は少しは遠慮しろよ。バカヤロ。

馬頭刈山に休憩者無し。山頂から大岳山方面が望める。馬頭刈山の下り始めは東側斜面の植林が一部伐採されて平野部の眺めがよろしい。

大岳山
馬頭刈山の下り


登山道のような空間が開けた場所にはコウヤボウキが生育する。枝の先端に着く花は細い短冊状の花弁の集合体であり、葉が互生して、枝にはこまかい毛が生える。種は違えどトキワマンサクに似ている。コース上何度も見かけたが、植林伐採で空間が開けた馬頭刈山東側斜面で特に多く見られた。

コウヤボウキ


高明神社跡は800m弱の高みにある。麓との標高差550mの高みについ最近まで立派な社殿があったという(平成3年に麓の乙津に遷座。)。登山道はかつての参道であり、日光例幣使街道の杉並木とまではいかないが立派な杉の巨木が参道沿いに続く。これを見ただけでも来た甲斐があったな。

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高明神社


疲労した足で500m以上一気に下るのは無理。下るにつれて気温も上がって発汗する。何度か休憩をはさみながらゆっくり下山。ようやく人家の傍まで下りてきてすぐに車道に出られるのかと思ったら、山腹をトラバースして車道を跨ぐ橋を渡って再び対面の尾根の山登りを強いられた(瀬音の湯に集客するためのコースなので、瀬音の湯に寄る予定がないのであれば橋の袂から降りてバス亭に直行した方が近い。)。汗ぐしょぐしょ。瀬音の湯に下る前に尾根反対側の斜面でトレッキングパンツ以外を全て着替えた。やっていることは朝見た男性とたいして変らん。

降り立った場所(瀬音の湯の駐車場前)にはバス亭の案内が見当たらない(気付かなかっただけかも)。入浴客の車が向かってくる方向に車道を歩いて荷田子バス亭到着。待ち時間5分でバスに乗れた。でもハイカーで超満員で蒸し暑く汗臭い。この人達、一日歩いて着替えもしないで電車に乗って帰るのだ。汗っかきの自分には到底真似できない行為である。降車時に運賃支払いで滞ったハイカーのオヤジが逆ギレ。こんな非常識なやつがいるのだから、挨拶しても無視する連中がいるのは当然か。ますます人間嫌いになりそう。

拝島駅で乗り換えた中央本線の車内は混んでおり、西立川で一気に乗客が増えて朝の通勤ラッシュアワー並みの超満員状態となった。奥多摩方面に魅力的な場所があることは判ったけれども、行き帰りの混雑を考えるとでかけるのを躊躇してしまう。

無理のないペースを維持して快適に歩いたつもりだったのに、翌日以降ふくらはぎがパンパンに張り、筋肉痛が完全に消えたのが4日後の水曜日。ハイキングより藪歩きの方が足に優しいな。

山野・史跡探訪の備忘録