滑川大滝

年月日: 2015年9月21日(月)

秋の5連休は少なくとも1日はアユ釣りに行こうと思っていた以外に何も計画していなかった。台風18号の降雨で連休の頃に川の状況が良くなることを期待していたら、とんでもない大雨出水となって連休中のアユ釣りが不可能になった。ウムム。何もやることが無い。折しも、9月20日の締日に向けて仕事に忙殺されて遊びを計画する気持ちの余裕が無く、移動手段の確保もしていなかった。9月13日になって、田舎の親父の遊びにつきあってあげようと思ってバスの予約状況を確認してみたら、初日は既に満席。レンタカーも空きが無い。連休中は天気良いみたいだし、遊びに行かないのはもったいない。一旦は電車を利用することを覚悟した。14日の帰宅後にバスの予約状況を再確認してみたところ、2日目は幾らか座席に空きがあったのでカード決済で往復切符を購入。

さて、田舎に行くことは決まったけれども何をしようかね。少なくとも1日はキノコ探しだな。もう一日は親父と滑川大滝でも見に行こうか。その存在は10年前から知ってはいたけれども、吾妻山の北側まで行く気になれなくて未訪であった。最近の瀑泉さんと雪田爺様のレポに刺激されて改めて調べてみると、85歳の父でも少なくとも滝を眺望できる尾根乗越までは行けそうである。吊橋が通行止めとのことだが、滑川温泉福島屋のホームページに掲載された情報から、姥湯分岐対岸付近から前川を渡って行くルートがあることが判った。しかも9月11日に刈り払いされたとのこと。親父殿は前川を飛び跳ねて渡るのは無理であろうから、親父用に自分の沢靴一足と自分用にアユタビ一足を持っていく。

父の車で出発。猪苗代から115号線で土湯峠越えて福島市に入り、フルーツラインを経て国道13号で山形入り。山形県と福島県の境は全て分水嶺であると思っていたので、今回地図を見て行程をしらべるまで、滑滝大滝が阿武隈川支流にあることを知らなかった。松川の二俣以遠は右俣と左俣が県境となり、それぞれ中央分水界に突き上げている訳だ。

万世大路(国道13号線)からは自分が運転。この辺りはなじみがなくて、通るのは7年前の朱滝訪問時以来2回目。

板谷の集落からいきなり道が狭くなって緊張する。この道は米沢藩の参勤交代にも使われた板谷街道の道筋であったらしい。途中の史跡案内で、板谷峠が赤穂藩士討ち入り(忠臣蔵)との関わりがあったことを初めて知った。

道は荒れているところは無いが延々と狭く、側溝が切ってあり、しかも朝から対向車が少なからず来る。退避点の間隔が長い区間で対向車が来るのではないかと気が気でない。特に萱峠を越えてからが恐怖。「おら、こんなとこ、もう来ねぇ。」とか毒づきながら無事、滑川温泉到着。行楽客のほとんどは吊り橋通行止めを知ってそのまま戻っていくみたいだが、姥湯方面に向かっていく車も少なからず。怖れしらずの連中だな。

前川に降りる場所はすぐに判った。細い角材が渡してあったのでうまくバランスとって簡単に対岸に渡れる。でも親父殿のバランスでは無理だ。沢靴に履き替えてもらい、棒きれで体を支えながら浅い流れを渡ってもらった。渡った先には赤布があるとのことであったが、そんなものは見当たらない(渡った場所が20m程度上流側であった。)。適当に左岸側の藪を歩いていくと刈り払いされたばかりの古い道型と出合う。以降は吊り橋から上がってくる道と合流して尾根上まで順調。

画像
尾根上からの眺め


大滝下で右から合流する支沢の細い滑滝の姿も良い。

滝の下まで行くかどうか父に確認したところ、行く気満々。大滝沢への下降路の途上、2箇所で眺望の良い場所があるので、沢歩きできなくてもそこそこ観瀑は可能だ。

尾根上から見た滑川大滝
尾根上からの眺め


台風18号の影響で最近水がゴンゴン流れたばかりなので、水流が強かった部分は沈着した酸化鉄が削られて本来の白い肌が出ており、窪みの透明度の高い水が綺麗だ。

靴を履き替え、登山靴を下降点に置いて遡行開始。アユタビでここを歩いた人は他にいないんじゃないか。

滑床
滑床
滑床の遡行
滑床の遡行(父)


滝に近づくと緑のポンチョを着た女性が三脚の横に立っているのが見えた。ふーん。先行者がいたんだ。遠目からも生脚であることは判るが、沢中だから特に疑問を抱かず接近。こちらアユタビ履いてズボンまくった姿でちと格好悪いけど滝前に行ったら挨拶せんといかんなと思いながら最後の大岩を越えると、眼前には下半身スッポンポンの男の姿が・・・。慌てて戻って親父を制止したのだが、親父殿は耳が遠いので俺の言ったことが理解できず体を乗り出してしまった。「どうぞだって」と父が言うもので自分も再び覗いてみると・・・・何も変わってねー。男は相変わらずスッポンポンじゃん。女も最初はこちらを向いておすまししておった。こっちの存在に気づいているのに、隠す様子もなく気を利かして避ける気配も無し。むしろ「撮って。」と言わんばかりにこちらに尻を向けて座って動かず。男の尻はなんとか画角から外れたものの、女が写り込んでしまった。

滑川大滝
少し戻ってから1枚


あの様子だと、女も下半身着衣無し。滝前で裸で写真撮っていたんだろうか。変態カップルと関わり合いたくなかったので、写真を1枚撮っただけでそそくさと滝前から退散。滞在時間たったの1分。

尾根上に登り返す際、2組が下っていった。さらに、駐車地に下る途中でもう一組の夫婦と遇った。最後の夫婦は前川を渡ってきたようには見えなかった。

刈払いされた道は新たに設けられたものではない。鉱山に関係する遺物が幾つかあるので、おそらく鉱山開発の頃に用いられていた道であろう。

索道の遺物?


帰りは往路を忠実に戻った。フルーツラインと国道115号の交差点にある松月堂にてビュッフェ形式で昼食。元々はお菓子屋さんだったらしいが、現在はうどん・そばもある大きなドライブインという感じ。

山野・史跡探訪の備忘録