北筑波稜線縦走(筑波山神社 〜 岩瀬駅)

年月日: 2015年12月20日(日)

行程: 筑波山神社入口(08:40頃)〜御幸ヶ原(09:50)〜女体山山頂〜キャンプ場へ下り開始(10:08)〜キャンプ場(10:30)〜破線路入口見過ごして約15分ロス〜湯袋峠(11:15)〜上曽峠(11:55)〜足尾山(13:15)〜一本杉峠(13:36)〜加波山三枝祇神社(14:24)〜燕山(14:53)〜雨引山(16:07-16:17)〜岩瀬駅(17:03)

2年前に初挑戦して足裏痛のため途中で下山してしまった北筑波稜線の縦走(2013年12月3日)に再挑戦。

公共交通機関利用の場合、筑波山神社に到達できる最も早い時刻が08:40で、山歩きの出発時間としては遅すぎる。このため、北筑波稜線の縦走は岩瀬駅から筑波山に向けて南進するのが一般的。しかし、筑波山神社の最終バス時刻が16:40とかなり早い。現住所から岩瀬駅に行ける最も早い時刻が07:03だから、許される行動時間は9時間余り。不可能ではなさそうだが、万が一間に合わなかったら悲惨だ。遅い時間帯まで交通の便が確保されている北進コースの方が自分にとって都合が良い。正面から日射を受けずに済むメリットもある。筑波山神社から北進した人は少なからずいるはずだが、ウェブ上のランキングが低いためなのか見たことがない。

今年最も日が短くなるのは12月22日。日の入りが最も早い時期は12月上旬とのこと。少し日の入りが伸びているとはいっても、今の時期に筑波山神社から岩瀬駅まで歩くのは自分の実力では時間的余裕が乏しい。17時頃には真っ暗になってしまうので、明るさが残るうちに行動できる時間はせいぜい8時間。それでもこの時期に挑戦するのは、高気圧に広く覆われて終日快晴の下、気温が低くて過度に発汗せずに思いっきり体を動かせるからである。2013年12月の初挑戦時、足に合わないトレッキングシューズで舗装路を長距離歩いて足裏が痛くなって弱気になり加波山で下山してしまった。同月に岩間駅から難台山・吾国山を縦走したついでに加波山に登り、初挑戦時に未遂に終わった岩瀬駅までのコースもひとまず踏破。初挑戦時の加波山三枝祇神社到着時刻が14:24に対し、吾国山経由の三枝祇神社到着時刻が14:11で、差がたったの13分。最初の挑戦時は加波山で下山してから足裏が痛いのを我慢して結局は岩瀬駅まで歩いたのであるから、湯袋峠の約20分の無駄歩きさえ無かったら縦走路を完歩できたのではないのかという思いがあった。車道を串刺しにして近道すれば、初回挑戦時よりも30分程度時間短縮できる可能性もあり、勝算は十分にある。

仕事、私用、天気、体調等、諸々の条件が合ってようやく再挑戦の機会を得た。天気図を見て予想した通り、20日は微風快晴。

時間に余裕を持ってでかけたため、つくばセンターから筑波山に向かうバス発車時刻8:00 に対し50分も早くつくば駅に着いた。地上のバスターミナル(つくばセンター)に暖かい休憩室は無い。氷点下に冷え込む中、バス停で待っていたら凍えてしまう。早朝営業しているのはスタバとマックくらいで、どちらも好きではない。結局、また地下に潜ってつくば駅改札前の寒々としたベンチで朝飯食べながら暇つぶし。ゴミを処理したくてゴミ箱を探し回ったのだが、どこにもゴミ箱はなかった。結局一日中持ち歩いて家で処分。関東鉄道もつくばエクスプレスも利用者の便宜を図る意志が感じられない。

前回と同じコース設定に意味があるため、時間的に余裕は無いことは承知の上で、つつじヶ丘には行かず敢えて筑波山神社から登る。スタート前に参拝してお札(玉串)を購入したいし、御幸ヶ原から縦走コースを一望してから北に下りたいという希望もある。筑波山神社まで\720。2年前に比べて\20値上げ。いまだにPASMO/SUICAが使えないとはね。

御幸ヶ原コースを登るのは2度目。前回の記憶が断片的にしか残っていないのでその分新鮮。記憶力が落ちるのも悪くないかも。2年前に比べると御来光拝んで下ってくる人が多い。朝からこんなに挨拶連発するコースは珍しいのではなかろうか。

北筑波稜線
北筑波稜線(御幸ヶ原から)


女体山山頂は岩場であって広場がない。こんな場所に大勢群がって御来光拝めるんだろうか。生活リズムに逆らってまで早出して凍えながら日の出を待つ趣味は自分にはない。

つつじヶ丘
つつじヶ丘方面(女体山山頂から)


キャンプ場に順調に降りて、無休憩で仙郷林道(*1)に入った。前回は湯袋峠を指し示す道標に沿って遠回りさせられたので、今回は一本東側の破線路(尾根コース)を利用する。道標があると決めつけていたもので、破線路入口を見過ごしてしまった。林道ヘアピンカーブを回ったところで方角的にさすがにおかしいと感じ、地形図を取り出して確認。入口は進入禁止の林道支線が分岐している場所の近くにあるらしいので、400mも行き過ぎてしまっていた。前回の無駄歩きによる時間ロス分を節約するつもりだったのに、またしても時間ロス。

破線路入口に案内も目印も無い。一見してただのアズマネザサの藪である。よく見るとかすかな踏み跡が藪中に続いており、たまには利用する好き者がいるらしい。維持管理されている様子はないが歩きにくくはなかった。仙郷林道の40m下を並走する土俵場林道と交差する場所は斜面が削られて踏み跡が途絶しており、雑木につかまって土壁を下りる。

交差点から下の区間は上の区間に比べると歩く人は多いようだ。イノシシが地面を穿り返した跡だらけでボコボコしている。たまに汚いビニールが結びつけてあったりするが、案内の類は全くない。手入れもされていない。最後は、北筑波稜線林道入り口の東側、太陽光パネルによる電光掲示板の在る場所に出てくる。

土俵場林道と湯袋峠の間
破線路の様子
湯袋峠の電光掲示
湯袋峠


前回は湯袋峠から上曽峠まで舗装路の95%を歩き、足裏痛を招いた。今回履いている靴は足に合っていて足裏痛の心配はないものの、舗装路をショートカットして時間短縮を図る。北筑波稜線林道入り口付近で取りつくつもりであったが、入口に乗用車が停まっていて中に人がいたので計画変更。少し進むと進行方向左側から谷が開く場所にお地蔵様(?)が建つ。ほんの数分前にどなたかがお参りしたばかりで、線香が供えられていた。

北筑波稜線林道の地蔵
北筑波稜線林道に進入して最初の沢にある像


沢沿いに山道がついている。ショートカットする方向と同じであるので、これをしばらく辿る。谷中にお線香の香りが漂っていた。水流がなくなる辺りで山仕事用の道は不鮮明となり、藪の多い植林斜面を適当に登る。作業道跡と出合うが茨藪になっているため進行が捗らない。茨藪にうんざりした頃になってようやく林道に抜けた。素直に林道歩いたほうが早かったような気がする。

上曽峠に下る場所もショートカットの対象区間。ヘアピンカーブからショートカットするにあたり下る方向を確認しなかったため、小さな谷沿いに下って上曽峠交差点の約150m西側(真壁側)で車道に至った。車道に沿って流れている小川を渡る際に、川の中に立つ大きな布製のトランクを発見。そこそこ重い。ファスナーが固くて内容物を確かめることはできなかった(中身が判らないので警察に通報するまでもないと思い、後日、桜川市にメールで遺棄物があることを連絡しておいた。)。

上曽峠の2つ目のヘアピンカーブから444m ポイントを経て再び北筑波稜線林道に至るまで、桜川市と石岡市の境界に沿って歩いた。444mポイント以北は境界のアズマネザサ藪が最近刈り払われたばかりで比較的歩きやすい状態にある。

踏み跡に沿ってきのこ山の最高点を踏んだはずなのだが、何故か三角点は目にしなかった。近くの東屋に夫婦のハイカーがいたのでガサガサせずにあっさりときのこ山通過。きのこ山東北東のヘアピンカーブもショートカットの対象である。日の当たらない植林斜面なのにスズタケの密藪になっていて下りでも閉口。きのこ山はじつにつまらない山域で、単に邪魔な存在にしか思えない。きのこが生えない山に不似合いな名称がついていることも気に入らない。

足尾山南のパラグライダー離陸場
パラグライダー離陸場から石岡市側


足尾山に最も近い離陸場にはハンググライダーが待機中。車道の上で待機しているので、車の迷惑になっている。

足尾山神社再建に伴い参道も舗装化されて廃れた雰囲気は消えていた。2年前に体験した廃な雰囲気もよかったけれども、青い屋根が映える再建されたばかりの社殿も良いですな。神社の社殿や祠は基本的に木製で朽ちるのがあたりまえ。出雲大社みたいに造り替えて更新するのが本来の在り方なんだろうな。ぶったおれていた石碑も修復され、奥の院の祠も新しくなった。

再建された足尾山神社
再建された足尾山神社
更新された足尾山神社奥の院
更新された足尾山神社奥の院


奥の院には先客の男性がいてご挨拶。「ここはきのこ山ですか?」意外すぎる質問に一瞬戸惑う。一本杉峠側から登ってくると足尾山の案内が無いのかもしれない。「これが足尾山っていうんですか。ここの眺めは素晴らしいねぇ。」としきりに感心しているご様子。神社再建のついでに奥の院の周りの樹木をいくらか伐採したため、南と西側の眺めがすこぶる良い。

足尾山から見る筑波山方面
筑波山方面(足尾山から)


彼はきのこ山に行こうとしていたのだが、きのこ山には何も無いことを伝えると行く気が失せたようで、下の社殿を見てから道路を歩いて加波山方面に戻られたようだ。

問題が一つ発生。劣化しつつあったトレッキングシューズが藪歩きしている間にボロボロになり、左右どちらも部分的に破れている。下りでつま先に負荷をかけ続けたら歩けない状態になるかもしれない。下り方に制約ができてしまった。

個人的には、足尾山から一本杉峠を経て加波山に上がるまでの概ね落葉広葉樹林が続く区間が好きである。

ウインド・パワーつくば風力発電所
ウインド・パワーつくば風力発電所
加波山南のスズタケ
加波山南のスズタケ林床


加波山南の肩にある殉職の碑から、この辺りで航空機事故があったらしいことが推測できる(加波山のどこかの社に変な形をした物体が置かれているのを見た。その時は怪しい宗教の類に思えて確認しなかったのだが、ウェブ上の情報に拠れば、それが事故機のプロペラであるようだ。

斑レイ岩のご神体
3つに割れた斑レイ岩のご神体
加波山三角点
加波山三角点


燕山は雰囲気は良いけれども344mポイントまでの下りがつらい。靴の状態が心配で脚の繰り出しに制約ができたため姿勢に無理がでる。階段が多くてつま先の負荷を軽減できるが、それでも足が壊れそう。マウンテンバイク走行により深い溝ができて歩きにくい場所が何か所か存在する。

陽が既に西に傾き、普段ならとっくに下山している時間帯である。344mポイントから先の高度差の少ない区間は小走りを交えて先を急ぐ。雨引山(409.2m)を登り切って安堵。

雨引山
雨引山


時刻は16:07。安全に下山するには16:00 に到着しているべきであったが、タイムリミットを16:30 であると勘違いしていた。知らぬが仏で気持ちに余裕がある。

雨引山から見る燕山・加波山〜筑波山
燕山・加波山〜筑波山(雨引山から)
夕刻の筑波山
夕刻の筑波山(雨引山から)


夕刻の眺めを見て満足して岩瀬駅方面に下り始めて間もなく、樹木の幹が夕日に照らされて赤く映えるようになった。一昨年末にこの現象を見たのはもっと下ってからだ。山を下りる前に暗くなってしまう。ライトを所持してはいるが、いくらライトが強力でも日中に較べると方向判断の正確さを欠く。少しまずい状況だ。

雨引山の下り
雨引山の下り


NTT岩瀬中継所を経て暗い植林地を抜けて北関東自動車道の岩瀬トンネルの上辺りに抜ける。遊歩道標識に忠実に従うと一旦進行方向左側の暗い植林の谷に下って登り返さなくてはならない。これを嫌って道標を無視して尾根上の踏み跡を直進して採石場に至った。既にイノシシが活動する時間帯。藪中でガサガサ音がするので道に出てこないように手をパンパン叩いて威嚇。

この道は採石場を横切るが故に正式な遊歩道とされていないようだ。地形図上では道が繋がっていないが、まっすぐ進めば左側に山道の続きが現れる。採石場が操業していない時間帯は問題なく歩けるし、楽。 御嶽山神社に至る前に正規の遊歩道と合流する。

地形図確認を怠ったことによる2度のミスがあったものの、最高の条件下で北筑波稜線を南から走破する目的を達成したことには満足している。同じコースで歩くことはもうあるまい。

今回の挑戦では前回の経験を踏まえてショートカットを交えて時間短縮を図った。しかし、帰宅後に初挑戦時の記録と比較してみると、なんと上曽峠と加波山三枝祇神社の到着時刻がそれぞれ全く同じ(* ̄ロ ̄)!。ショートカットは足裏の負担を軽減する効果はあっても結果的に時間の節約に寄与しなかった。このコースは急がば回れ、事前準備を怠らず正規のルートを無駄なく辿るのが正解のようだ。

山野・史跡探訪の備忘録