川桁山(2016年3月)

年月日: 2016年3月27日(日)

行程: 川桁の実家(時刻不明)〜白津と内野の間で植生調査〜駒形神社〜大規模堰堤越え〜林道終点から左岸斜面を適当にトラバースして標高950m辺りで尾根上へ〜1080mピーク〜川桁山山頂(12:25 - 12:45)〜1192mピークから新道〜リステルスキー場上部(時刻不明)

28日(月)に休暇を取得して3連休とし、26日(土)に夢街道会津号を利用して帰省。猪苗代駅から郡山方面に向かう各駅停車の列車が来るまで1時間半程度時間があった。親に迎えに来てもらっても構わないのだが、天気が好いので運動兼ねて線路沿いの農道を歩いて川桁に向かった。ついでに川桁山の雪の残り具合を観察して翌日の行程を思案。登山自体が目的ではなく、血糖値対策で体を動かすついでに可能であれば軽く山歩きするつもりだった。

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川桁山(26日に富永と西舘の間の送電線鉄塔傍で撮影)


8時半頃にボロボロのスパイク長靴ぶら下げて出発。山沿いを流れる用水沿いに歩いてみた。戦時中は空襲を避けるために用水の土手を通学路にしていたと母から聞いた。白津地区を抜けて、ある場所で植生調査。今年は雪が消えるのが早かったのでなにかめぼしいものがあるのではないかと期待していたのだが、まだ何も出ていなかった。

用水沿いに少し戻って白津集落奥の谷に向かった。小学校通学時に通学路から毎日眺めていた場所なのに、これまで訪れたことが無かった。どんな場所なのか楽しみ。

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用水から見る磐梯山


昨年広範囲でクマ騒ぎがあったため、山の際に延々と電気柵が設置されている。電気柵跨いで林道を進むと駒形神社に至る。さらに谷奥に進むと大規模な堰堤で行き止まりとなった。右岸側のスギ植林地帯を巻いて左岸側の藪化した旧道に上がる際に右のスパイク長靴に水が浸み込んで右の足先が冷たい。これがその後の残雪歩きの支障となる。

藪化した谷を進んでいくと、水流が消えた辺りで左岸側に忽然と幅広の現役の林道が出現。狐につままれた感じ(後日、地形図を見て、駒形神社から延びている道であることを知る。)。林道終点からは谷が狭まって両側の斜面が急峻であり、安全に詰めることはできないと思われた。樹木の生える斜度40度以上の斜面を適当にトラバース気味に登っていった。結構きつい。標高950m辺りで尾根上に抜けた。

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尾根上に踏み跡は存在しないものの、笹、ツゲ、シャクナゲ等の藪が無いので歩きやすい。断続的に雪稜が残っており、順調に進行。


雪の上に人間の足跡らしき窪みが残っていた。もっと歩き易いルートがあるというのにわざわざこんなつまらない所を歩く人たちが自分以外にもいるとは驚いた。未知のルートの記録アップが目的だったようだ(http://nokazeuta.at.webry.info/201603/article_4.html、"密藪"のルートと称しているが、あの程度では藪とは言いませんよ。)。

1080mピークの上に大きなイヌツゲが鎮座し、ここは俺のものだと言わんばかりに四方に枝を伸ばしている。観音寺川南岸(左岸)尾根ではこいつに悩まされたっけ。

1080mピーク
       

1080mピークを下って程なく内野からの登山道と合流するのだが、内野ルートは北側の急斜面を登るルートであるためこの時期に利用する人はいない(利用するメリットが全くない。)。尾根上の登山道には中途半端に雪が残っていた。先に歩いた人たちは何も言及していないが、新道分岐のある1192mピークに至るまでの区間に雪で足を滑らせたら立木に激突して命を落としかねない痩せ尾根が存在する。雪の残っている時に行くべきではない。

1192mピーク以降は眺めがぐんと良くなる。微風で暖かく空気も澄んでいるのだから山頂まで行きたいものだが、先は長いのう。濡れた右足先が冷えて凍傷になりそう。時々長靴脱いで陽に当て手で揉んで温める必要があるため登りが捗らない。

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川桁山(右側の黒い小尾根を1977年に登攀、その左俣を2014年に、右俣を2013年に遡行)


2日前に降雪し、標高1200m以上では場所によって10p以上沈み込む状態だった。雪稜上に真新しいクマの足跡が続く。爪跡がくっきり。前足をついた場所にぴったり後ろ足をついて歩いている。器用なものだな。足跡は自分の開いた掌よりも大きかった。単独行動だから大きなオスのクマかもしれない。クマの足跡は山頂直下で北側に斜面を横切っていた。

クマの足跡
山頂直下のブナ


残雪期の川桁山は四方の主だった山を全て見渡せるのが魅力。雪稜を北に移動すると無雪期には拝めない眺めも得られる。

安達太良山
磐梯山
猪苗代湖
川桁山稜線
大滝山と天狗角力取山
檜原湖



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吾妻連峰


このまま北に尾根を辿って下館方面に下山しようかと思ったのだが、尾根が狭くてアップダウンが多いし、且つ中途半端に雪が残っている。右足先の状態が不安だったこともあってあきらめた。戻ろうとしたとき、西側斜面からサクサクと音が聞こえた。大きなカモシカが登山道のある稜線に向けて斜面を登ってくるところだった。このままいくと山頂でご対面かなと期待してカメラを構えて待っていたら、急にあわてた様子で踵を返した。カモシカは多少のことでは動じないはず。クマの足跡を見て警戒したと思われる。人間の存在を認識した途端、勢いよく走り下っていった。

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カモシカ


帰りはまあまあ順調。新道の尾根幅の広い場所でシリセードを試してみたら勢い付きすぎて制動できず立木に着地。雪の消えた夏道で落ち葉がズルーッと1m以上滑って派手に仰向け。後頭部を強打しないように反射的に首の筋肉を使ったようで、その後しばらく首が痛かった。

右下の谷間の残雪が見えたので、登山道を離脱し適当に斜面を下って下山。

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リステルスキー場のリフトから


山野・史跡探訪の備忘録