奥多摩から秩父へ(古里駅 〜 赤久奈山 〜 日向沢ノ頭 〜 有間峠 〜 滝入ノ頭 〜 浦山大日堂バス停)

年月日: 2016年5月1日(日)

行程: 古里駅着(07:28)〜丹叟院 と熊野神社の間の廃道を登り川井駅から来る尾根道に合流(0819)〜赤久奈山(09:21)〜頭痛を発症し大事を取って川乗山目前で退却〜日向沢ノ峰(11:29)〜有間峠(12:10)〜ヘアピンカーブから林道に入る(12:44)〜林道終点から秩父・飯能境界尾根へ復帰(13:29)〜滝入ノ頭〜境界尾根離脱(13:51)〜ワラビ採り〜冠岩橋付近に下山(14:45)〜浦山大日堂バス停

5月2日は立場上休みがとれないので、飛び石連休の前半3日間は帰省も遠出の予定もなし。久しぶりに秩父に行ってみたいと思った。浦山大日堂から16:00発の秩父市営バス(¥300)があるので、奥多摩の古里駅から川乗山、日向沢ノ峰を経由して浦山に下山するルートを計画。浦山に下山するなら蕎麦粒山を経て仙元峠から浦山に下るのが素直なルートだ。しかし、それでは長沢背稜細切れ歩きの一環で歩いたときと方向も一緒でつまらん。このとき浦山から登りで使った有間山西を巻くルートを逆に辿ってみたい。ついでにワラビでも採れれば儲けもの。

4月30日(土)に行くつもりであったが良く眠れなかったので中止。つい先日、強烈なめまいでぶっ倒れたばかりなので無理は禁物。仕切り直して、翌日曜に決行。

古里駅からズマド山を巻いて赤久奈山へ向かう破線路が2本ある。一本は小丹波の熊野神社と丹叟院の間を急登してズマド山東で川井駅から来る尾根道に合流する。もう一本は少し遠回りしてズマド山西側を巻く。両者はズマド山北側で合流する。なんとなくマイナーっぽい前者を試すつもり。前の案内板には登山口は記載されていなかった。廃道の可能性が高い。

古里駅から見上げるズマド山の斜面は威圧感がある。こんな壁みたいな植林斜面登るのか。きついな。

駅東側の踏切を渡って丹叟院には迷わず行ける。案の定、登山口の標示は無い。隣の熊野神社の裏手にも登り口はなかった。熊野神社と丹叟院の間にある階段を上がってみると、細い道型がまっすぐ上方に続く。間伐材が放置された状態で最近誰かが歩いたような跡はない。この瞬間、廃道歩きが確定。

入り口付近のスギ林の中は折しもシャガ大群落が満開。今年、黒山三滝付近のシャガを見に行こうかと思っていて果たせなかったのでちょっと嬉しい。

丹叟院 と熊野神社間スギ林内のシャガ群落
サクラソウ?
          


よく手入れされた植林斜面で障害物こそないものの、斜度がきつく植林特有のざれた表土で歩きにくい。体調もすぐれず少し吐き気がするし、10mも登るとすぐに息が上がってしまう。このまま登って大丈夫なのか?こんなところで目が回ったら助からんな。


目に付くのはオオバノイノモトソウの伸びつつあるシュートくらい。勾配のきつくなる最上部では道跡らしきものは視認できず。小足沢右岸尾根に上がる斜面よりも勾配ありそうな詰めを突破してようやく尾根上に抜けた。

川井駅方面
       


現役の登山道は廃道が出合う地点から尾根を離脱しズマド山北東斜面を横切って北に続く尾根に抜ける。よって、廃道の登りで左に逸れると現役の登山道とは出合うことなくズマド山を越えることになる。

ズマド山北方で古里駅から上がって来る現役の登山道と出合って以降は整備状態の良い道を快適に歩ける。

標高909mピークの北側から雰囲気が良くなる


赤久奈山は眺望が優れない。その先、200m程度進んだ地点のトラバース道から南西方面の視界が開ける。

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御嶽山〜大岳山〜御前山(赤久奈山の約200m西側から)


957mピーク手前で地形図記載のない林道が尾根を跨ぐ。川乗山方面を示す案内が在ったが信用できないのでそのまま尾根を直進。957mピークを下っていくと左手から巻いてくる林道に合流。957mピーク南東側鞍部から約400mは破線路と林道の道筋が一致している。

案内に従って林道と別れて植林内の登山道に入り、200m登って尾根上に抜ける。尾根上は防火帯になっているところが多く、尾根幅の広いところは開放的。この辺りで下ってくる2組と遇った。

川乗山方面に向かう尾根の防火帯

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川乗山方面に向かう尾根の防火帯


川乗山は日向沢ノ峰に向かう尾根道から外れた位置にある。ここまで川乗山の案内しかなかったのでついでに寄ってみる気になった。ところが1,300m辺りを登っているとき頭痛の予兆があった。すぐにノーシンを服用したが、川乗山を目前にしたT字分岐に至るころには息が上がると痛みをはっきり感じるようになった。自分の頭痛の原因は気圧と眼のいずれか。後者の場合は寝て視神経を休ませないとどんどん悪化する。なんとか頭痛薬で進行を鈍らせて下山するしかないのだが、前に進んでも引き返しても距離が長い。どうせ倒れるなら人が多いところの方がよいであろう。日向沢の峰を越えて有間峠を目指す。

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頭痛発症のため目前にして川乗山行きを自重


日向沢ノ峰に向かう尾根上にはアカヤシオの木が点在する。アカヤシオの花を見たのは2013年に足尾で見て以来のこと。ちょっとした慰めとなった。

川乗山東側の尾根道のアカヤシオ

川乗山東側の尾根道のアカヤシオ
          


川乗山を目指して登ってくるハイカーが多い。標高1175mの最低鞍部に至るまでに10名程度とすれ違った。後日調べた情報では川乗谷から登るのが一般的とのこと。では、あの軽装の人たちはどこから登ってきたのだろう。

頭痛薬が効いて、日向沢ノ峰に向けての登りをクリア。人気の山というイメージがあるのだが、滞在時は誰も来なかった。この山には三角点が設置されていないし、山頂が東京都側にあることもあって、棒ノ峰方面から来る人は素通りして有間峠や蕎麦粒山に向かう。4回目の訪問となるが、今回も清澄度が低くて富士山は見えず。

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日向沢ノ峰から見る長沢背稜


飯能・秩父境界尾根ではここからの眺めが最も好きである。この尾根にもアカヤシオが点在する。

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有間峠に下る途上の新秩父線・送電線鉄塔から見る広河原谷と大持山


5年以上前に枯死(原因不明)したスズタケのストロー藪が朽ち、、かつてそこにスズタケ藪があったことを知らなければ気にも留めないくらい消滅しかかっている。矮小なスズタケっぽい植物をたまに見かけるが、復活の兆しは感じられない。

林道日向沢線に下りて仁田山をパス。有間峠に下るまでに8名のハイカーに遇った。峠や林道日向沢線の路肩には十数台の車有り。広河原逆川線が一般車通行可能であるため、有間峠からお手軽に蕎麦粒山を目指すハイカーが多いようだ。

高度が下がったおかげなのか、それとも稜線上で常に飯能市側から流れる乾燥した涼風の心地よさに紛れるのか、幸いなことに頭痛が悪化する気配はない。広河原逆川線を秩父側に向けて、距離にして約 2q、高度差約 180m下る。有間山北西尾根上のヘアピンカーブから地形図に記載のない林道に入った。立入禁止の表示はあるがゲートは無い。この林道はしょうじくぼの頭とヤシンタイの頭の中間地点から秩父側の伐採・植林された谷に向けて南西に伸びる尾根上で終点となる。終点までゆっくりと約50m 高度を上げていく。終点から伐採・植林斜面の作業道を辿れれば滝入の頭としょうじくぼの頭の間の鞍部まで高度差はたったの30m。歩く距離は長いが、細かいアップダウンの繰り返しによる頭痛の悪化を抑えられるメリットは大きい。

2012年秋に歩いたときは林道は現役で荒れていなかった。伐採斜面の植林が完了したためであろうか、林道の最奥部は荒れが目立つ。

本日の天気予報は低地で最高気温28℃とのこと。風裏で日当たりの良い斜面は暑い。

有間山西側を巻く林道の土砂崩れ
秩父・飯能境界尾根の秩父側斜面
          


林道終点まで行って想定していなかった事態に遭遇。植林が終わった斜面全体がシカ避けネットで囲われており、2012年に辿れた作業道が利用できない。ここまで来て戻らなければならないのか?最終バスに間に合わんかもしれんな。金属のネットではないので地面に突き刺してある固定具を抜けば簡単に入れそうだが、できればそれは避けたい。ネットに沿って尾根を登ってみると、稜線部がネットに挟まれた通路になっていて上方に抜けられることが判った。これは不幸中の幸い。予定より50m余計に登らされただけで最終バスに間に合うめどが立った。

シカ避けフェンスの通路
滝入ノ頭から振り返る


鳥首峠北側にある真っ白な石灰岩採掘場が見えてくる。鳥首峠を指す標の立つ場所から西尾根に入る。ここも尾根南側が植林されたばかりでシカ避けネットが張られている。シカ避けネットを張る作業のために尾根が歩き易くなっていた。

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鳥首峠まで行かずに尾根を離脱


尾根の下側はやや古い伐採斜面で、稜線は藪化しており、傾斜もきつくてザレている。にさらに、白骨化したスギが倒れ込み、2012年秋に登りで辿った時にくらべて歩きにくい。茨で左手親指の腹をやや深く切った。止血のため右手しか支点をとれず、何度か滑って左腕に擦り傷も負ってしまった。チクショウ。

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白骨樹林


尾根末端まで下る予定であったが、すんなり辿れる状態ではなかったため、前回登りに用いた作業道を辿って尾根を離脱して冠岩沢の橋の近くに下山。廃業したキャンプ場の片隅で着替えと傷の手当を済まして大日堂前のバス停に移動。

トイレ前のベンチでバスを待っている間に頭痛がぶりかえし、二度目のノーシンを服用。

到着した市営バス「ぬくもり号」から日本人女性と刺青した外国人男性のペアが下車。大きなザック担いで彩の国キャンプ場方面に歩いていった。浦山大日堂からの乗客は自分一人。日向で口うるさそうなオバさん二人組が、鍾乳洞で年配男性ハイカー1名が乗車。男性と運転手の会話の様子では共通の知人がいるようであった。現在は浦山地区に子供はおらず、利用者は通院する老人だけであるとのこと。国道140号はお決まりの大渋滞。男性は車を取りに横瀬駅に行くため、せっかちなオバさん2人組も西武秩父線の時刻が気になるらしく途中で下車。

西武秩父駅は羊山公園の芝桜見に来た客で賑わっていた。階段登るだけで頭がズキズキ。終点飯能駅までずっと眼を閉じて神経を休めて頭痛を解消。順調に帰着。ワラビも収穫できてそこそこ充実感のある山歩きであった。

山野・史跡探訪の備忘録