年月日: 2016年8月14日(日)
行程: 一ノ滝駐車場出発(05:13)〜月山沢渡渉点(07:35)〜吹浦口分岐(09:53)〜ガラ場(12:11)〜帰着(13:43)
草花にだけ興味ある方はこちらにどうぞ。
13年前に初めて憧れの鳥海山を訪問し、長坂道を登って雄大な眺めと高山植物を鑑賞したまでは良かったものの夜に豪雨に見舞われ、翌日二ノ滝コースを下山する過程でほぼ遭難状態に陥った。結果的に下山することができたが、ほんの少し条件がずれていたら死んでいたかもしれない。とにかく生還することしか考えていなかったものだから、二ノ滝コースのことはあまり記憶にない。3年前に逆コースを辿ってやろうと再訪してみたが、あいにく天候が悪く三ノ滝を見て引き返した。
2年前に雪田爺様が二ノ滝コースを登って万助道を下って周回。その2日後にはなんと、万助道を登って七高山に至り、薊坂、幸次郎沢、二ノ滝コースを経由して日帰り周回されている。すごいですなぁ。夏山登山に向かない体質の自分には到底真似できないが、ミニ周回くらいなら試してもよいかなと思っていた。今年、爺様が長坂道を登って万助道を下られたのを知り、来年以降の次回訪問時の候補地に選定。
我が社の夏の連休期間(13日〜)の天気予報が冴えず、天気が良いのは14日まで。降雨不足で渇水が続きアユ釣りできないし、暑い時期にパンツまでぐちょぐちょにして藪や人の多い登山道を歩く気にはなれん。12日の夜、酒飲んでクテッと寝てしまい、朝の3時半に目を覚ました時点ではまだ何も計画が決まっていなかった。朝9時には予約済のレンタカーを借りに行かなければならない。鳥海山に登ってから田舎に戻ることにして、急きょ地形図をコピーして荷造りして出発。かんかん照りでくそ暑い中、一般道をトロトロ運転して12時間かけて車中泊予定地の西浜海水浴場到着。お盆で帰省客が多いためなのか、それともキャンプする海水浴客が多いためなのか、あぽん西浜は夜遅くまで賑やかであった。夜9時過ぎても徒歩で入浴に来る客が多いのに驚く。
14日朝は快晴。眼下の海岸線を見ながら長坂道を登るのも悪くないが、右前方から強烈な直射を浴びるのがつらい。早朝は日陰となる万助道を登って長坂道を下るのがよかろう。そんなことを考えながら一ノ滝駐車場到着。登山者の車が一台置かれているのみ。静かな山歩きができそうだ。鳥海山を選択したのは正解だったな。
車道終点に落ちていた棒きれを一本、杖兼護身用に拾って登山道進入。泥濘の無い歩きやすい道である。狭霧橋分岐に至って急に気が変わった。天気が良いのだから二ノ滝コースのリベンジといこうか。朝は日陰で都合がよろしい。
3年前霧中の姿しか拝めなかった三ノ滝を見て溜飲を下げた。
二ノ滝コースは観瀑できるのが最大の特徴だが、三ノ滝を過ぎると退屈な登りが続く。眺望無く、無風。樹陰で直射を浴びずに済むこと以外メリット無し。喜助平からの急登で不快度がピークに達する。
標高1147mポイントまで上がると樹高が低くなり、ポツンとある展望岩から眺望が得られる。千畳ヶ原方面がやたら高く遠く見えて気が萎える。
展望岩から月山沢渡渉点までの区間も二ノ滝コースの見所と思うが、天候の良い時に限られる。
13年間待ち望んだ月山沢渡渉点の現場検証の機会到来。あの時、すべての石が水流の下にあった。現在の渡渉点の岩盤の形が自分が渡った時の記憶と異なる。岩盤そのものが大きく変わるはずはない。渡渉点の水流が強くて渡れない状態であったため、その一つ上流側の石伝いに渡ろうとして渡渉点の上流側のプール(写真中央)に落っこちたようだ。
13年前、千畳ヶ原の川と化した登山道を辿り、渡渉点のことを気にしながら馬の背を下った。馬の背について詳細な記憶が無く高々数十mの登りのイメージしかなかったもので、200m以上の登りにうんざり。改めて自分が決して登山が好きではないことを思い知る。
現在は草原状の場所に木道が敷かれ、一昔前よりはるかに歩きやすくなっている。千畳ヶ原は高山植物の花をちらほらと見かける程度でお花畑という感じはない。既にニッコウキスゲやギボウシの花の盛りは過ぎ、イワイチョウの間にキンコウカやイワショウブがまばらに生える地味な草原が広がるのみ。登山道沿いにはトウチソウが目立つ。
トウチソウを撮影しようとしたら日が陰ってしまった。見上げるとポツポツと雲が発生し、同じ場所にとどまって拡大しつつある。山頂に行く予定はないから山頂が雲に覆われるのは構わないが、せめて長坂道から日本海が見える状態であって欲しいな。
13年前は雨と霧の中で道が判らず千畳ヶ原の大雪渓を彷徨い、運よく霧が切れた一瞬遠くに登山道が見えてT字分岐に辿りつくことができたのであった。幸次郎沢を下りきった場所に道標があれば道迷いを防止できると考え、その旨を当時の遊佐町の商工会議所に連絡したところ、さっそく現地調査に基づき道標を設置していただいた。現場をもう一度見てみたい思いもあるが、寄り道する元気がないので、まっすぐ鳥海湖を目指す。
爺様の記録にもある通り、万助道を歩く人は少ないようである。増水時は二ノ滝コースの代りに万助道を下れば安全と思うが、7月初め頃は雪が残っていて分岐を識別できないのではないだろうか。万助道分岐辺りは地形に多少変化があり、その分植生も変化が見られる。ヒトツバヨモギの葉は下界のヨモギよりも香りが良いような気がした。
万助道分岐の先、急登区間に入って道が消えた。???登山道を示すペンキ印を見落としたことが原因であったが、踏み跡の様子では迷い込む登山者が少なからずいるようだ。鳥海湖から下ってくる場合に迷うことはないと思う。ヨツバシオガマの花はほぼ終わりかけ、エゾシオガマの群落が目立つ。
鳥海湖南側のトラバース道を歩く人の姿が見える。1692ポイント方向から来た兄ちゃん4人組が下ってきた。湯ノ台口道で登頂し千畳ヶ原を巡って戻る登山者なのかもしれない。
長坂道に入れば誰にも会うまいと思っていたら、笙ヶ岳第三峰までに10人ぐらいの登山者とすれ違った。長坂道を登ってきたようには見えないので、吹浦口から登って笙ヶ岳まで往復した人たちと思われる。
既にオヤマリンドウの開花が始まっている一方、笙ヶ岳では花期の長いハクサンイチゲがまだ多数開花中。初夏と秋を同時に楽しめる。
笙ヶ岳到着時、長坂道の左右どちらにも眺望を遮る雲は発生していなかった。この時間帯に登ってくる人はもういない。静かな長坂道の雰囲気を再び堪能できて満足だ。
長坂道は草に覆われて登山道の土壌が露出していない区間が存在する。よく整備されている割に利用する人は少ない。
葉がゴボウに似ていて花茎がちょん切られている植物を何度も見かけた。人為的なものでないとするとこれを好んで食べている動物がいるのであろうか。ようやく花を特定できる個体を見つけて撮影。後日ネットで特定した結果、クロトウヒレンなる植物であるらしい。
長坂道は風通し良く途中までは快適な下りであったが、灌木帯に入ると風が遮られ頭上から容赦なく太陽が照りつけて一転過酷な歩きに変貌。まるでサウナで運動しているかの如し。ガラ場までの最後の標高差200mの下りは勾配もきつい。辿りついたガラ場は休憩に適した木陰がなく、腰を下ろすと熱せられた岩で尻が熱い。体を休める間もなく水分補給して木陰を求めて万助道との合流点に向けて下った。
刈払いされて歩きやすい道を下り、ヒノソ(檜ノ沢、地形図では南折沢)の右岸沿いに下る。13年前訪問時は美しい渓流であったが、雪解け水も降雨もない時分はなんと涸れ沢になってしまうのであった。
万助道と合流後、臂(ひじ)曲方面に高度を30m下げてから三ノ滝方面に向けて50m程度登り返しとなる。さらに地形図から簡単に読み取れない細かなアップダウンの繰り返しもあって、長坂道の下りで疲労した足にはとてもつらい。キレてでかい声を上げてしまった。中間地点の冷たい水場がなかったらもっとつらいだろう。この道筋、もうすこし改善できないものか。猪苗代町の吾妻山神社に至る道の如く、標高600mの等高線に沿った道を作れない何らかの理由があるのかもしれない。
ようやく狭霧橋分岐に到着。一ノ滝駐車場まであと少し。前方に捕虫網を持った家族連れがいて、先導するオヤジはこちらを意識して息子をせかしながら戻っていく。奥さんなのかお婆さんなのかよく分からなかったが最後尾の女性を置いてけぼりにして何が何でも先に行こうとする意識が見え見え。田舎者の車の運転じゃあるまいしねぇ。林道終点に出るまで、女性と距離を保って我慢して付いていった。林道終点に棒きれを返却。一日世話になったな。
駐車場に着いてびっくり。水汲みや滝見の客で駐車場は満杯。一番端に停めておいたので、なんとか恥ずかしい思いせずにアブに刺されることもなく車の陰で着替えを済まして退散。お盆は皆他に行くところが無いのか、下っていく間も続々と車が上がってくる。胴腹滝の駐車場も満杯だった。
急いで降りてきた理由は日帰り温泉が空いているうちに入浴してさっぱりしたかったから。あぽん西浜で\400ですっきりして新潟に向けて南下。岩ゴツゴツの登山道歩きで痛かった足裏は翌日には治まったが、なまった体で過度に発汗したことによる体へのダメージは少なからず。お約束のヘルペスを発症し、筋肉痛が完全に治まったのが4日後の18日という体たらく。結論: 夏山は体に悪い。
個人的に印象に残った草花は以下の通り。