小坂山 〜 酸釜山 〜 鞍手山 〜 楊枝峠(中山峠)縦走 (2018年3月)

年月日: 2018年3月24日(土)

行程:  農道横(壺楊の字の南側にある橋手前)を出発(09:30)〜小坂峠(09:53)〜小坂山・663m 〜小坂峠復帰(10:11)〜760m級ピーク(10:39) 〜 酸釜山・855.6m(11::27) 〜 鞍手山(13:24) 〜 楊枝峠(13:43) 〜 車に帰着 (14:35)

ようやく地獄のような繁忙期から脱しつつある。お彼岸に合わせて4か月振りに年次休暇を1日取得して土日に付けて3連休とし、夢街道会津号を利用して帰省した。これまでどういう訳か最前列の右窓側の座席に座ることが多かった。今回は左窓側に席を取ったので、鞍手山トンネルを抜けたとき、かつて楊枝集落のあった場所の南側の山が真っ先に目に入った。

このところの暖かさで融雪が進み、川桁山のような雪崩が起きそうな場所には行けない。残雪歩きは期待していなかったのであるが、里山の北側の尾根には雪が残っているので、かねて興味のあった壺楊と山潟の間の尾根を縦走してみようと思った。末端部の小坂峠は訪問済みだが小坂山は未訪問。壺楊の谷最奥の鞍手山も訪問済みだが、西側から藪漕いで登っただけで分水嶺は辿っていない。夏場は見通し悪く且つ沢筋でメジロアブがワンワン群がる。実行するなら今が頃合いだ。

土曜日朝方、やかましいカラスの鳴き声のせいで眠りを邪魔された。睡眠をしっかりとることを優先して、9時過ぎに父の車を借りて出発。小坂峠の近くに車を置きたいが、壺下集落からモロ見えのたんぼのど真ん中に車を置くと不審に思われかねない。すこし谷奥側に進んで広い農道横に車を置いて出発。

前回の小坂峠訪問時は志田浜側から線路を越えてアプローチしたため、小坂峠の入口から入るのは初めて。入口らしき場所の地面が荒らされぐちょぐちょになっている。こんなところにもイノシシがいるのか?

藪化した廃道は4回折れ曲がって峠に上がる。

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小坂峠


まずは小坂峠から小坂山まで往復。踏み跡はないが藪薄く歩きにくくはない。陽だまりにいた獣がうなり声を発して逃げた。数十m先で停止してこちらの様子を窺っているようだ。カモシカではないな。色が黒くなかったからクマでもない。猪苗代にシカはいない。ということはイノシシか。接近するとまたうなり声を発して数十m逃げて停止。3度目はさすがに危険と思ったのか山頂をかすめて山を下って行った。

梢越しに眼下の碧い猪苗代湖を眺めることができる。芽吹き前の小坂山の雰囲気は少なくとも五万堂山に優る。

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小坂山から猪苗代湖を見下ろす。


峠に復帰して縦走開始。こちらも藪というほどではなく辿るのは容易。標高700mの稜線は雪が中途半端に残っており、残雪歩きには程遠い。

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小坂峠の西側・標高700m級の尾根


標高760m級ピークへの登り区間に入ると植生が一変する。林床が一面のイヌガヤに覆われている。川桁山系のやや急な谷の斜面によく見る植物だが、こんな穏やかな斜面を覆い尽くす光景は見たことがない。

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760m級ピークの林床は一面のイヌガヤの藪


地形図を持たない思いつきの山歩き故、766.0m三角点の存在には気付かず。その先の尾根幅が広がる場所は上戸(じょうこ)側が植林されており、日陰の50p程度の厚みの締まった雪の上を快適に進める。780m級ピークから先は再び落葉広葉樹の尾根となり雰囲気良し。順調に酸釜山に近づく。

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780m級ピークから北東に向かう主稜


昼ごろになってようやく磐梯山や川桁山の山頂部を覆っていた雲がとれつつあった。川桁山上部は昨晩から今朝にかけて降雪したようだ。あの様子では危険すぎて登れまい。今日この辺りを遊び場にしたのは大正解である。

地形図には山潟地区から酸釜山の山頂まで破線路が上がってきているが、山頂部はただの雑木林であり、何を目的とした道なのか不明。

此処(酸釜山)から鞍手山トンネル方面に下る尾根筋の残雪帯を歩いてみようかと思ったのが本日の山歩きのきっかけであった。せっかくここまで来たのであるし、まだ雪の締まり具合が良いので、当初案通り鞍手山経由で楊枝峠を目指す。

酸釜山にて(辿ってきた方向)
鞍手山


酸釜山山頂から東南東に400mほど進んだ場所で進むべき方向を思案。酸釜山から鞍手山のある分水嶺に素直に移動できるものと思っていたのだが、分水嶺と現在地の間にはどこまでも深い谷が続いているかのように見え、眼下に連絡尾根らしきものを確認できない。現在いる尾根を素直に南に辿ると田子沼方面に下ってしまう。つまり現在地から見えない下方に連絡尾根が存在するはず。東に向けて尾根筋ではないやや急な斜面を下って標高730m級の連絡尾根に降りた。杉が植林された連絡尾根を辿ると、送電線(磐梯線)鉄塔の立つ開けた場所に至る。此処で昼食休憩。

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送電線・磐梯線の鉄塔からの眺め(成沢山〜鞍手山)


分水嶺の757mピークにだいぶ近づいているというのに、相変わらず分水嶺との間に広い谷が広がっているように見える。ということはどこかでさらに一段下らなければならない。尾根東端からは田子沼地区が見えるので行き過ぎだ。北に向けて下方に見える残雪の帯を目指して下っていくと、ようやく楊枝と田子沼の境界の標高660m鞍部に至った。

境界鞍部は松林となっている。踏み跡らしきものは無い。雪庇の名残が中途半端で使えず、藪を躱しながら757mピークに上がった。757mピークには高い樹木が存在せず、チマキザサの藪になっているようである。厚く雪が残っていて移動は容易。眺めがとてもよろしい。

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757mピークから見る沼上山方面(奥の左端が安積山)


尾根を辿っているときは鎌倉山の存在に気付かなかった。ここから見ると沼上山よりも存在感がある。

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757mピークから見る鎌倉山(左)と酸釜山の尾根


鞍手山は夏に登って、密な灌木藪以外に特徴の無い場所と思っていたのだが、郡山市側には岩場が露出している。

757mピークから見る鞍手山
雪崩落ちた雪庇


分水嶺の雪庇が危険な状態にあるため鞍手山に向けて稜線を藪漕ぎ。日当たりが良くて暖かい雪崩の跡地で、しばし汗が引くまで休憩。

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雪崩の現場から見る757mピーク


ヤマツツジの灌木藪を躱しながら鞍手山の山頂部に近づくとピンク色のテープが目に入った。目的は不明だが、郡山市側から上がってくる刈払いの跡があった。どうでもよい場所にやたらとピンクテープが付いているので全部除去。

鞍手山には丈の高い樹木が無く、夏場でも眺めが良い。

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鞍手山から見る猪苗代盆地


鞍手山北側斜面は雪が良く締まっており、グリセードやシリセードを試しながら快適に下れる。

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楊枝峠に向けての下り(遠くに川桁山と天狗角力取山)


動物の気配はないが、何日か前にクマが歩いた足跡有り。

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楊枝峠


無事、楊枝峠に降り立ち、後は林道をのんびり歩いて戻るだけ。

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鞍手山


最奥にある田んぼの表面がボコボコになっていた。これ全てイノシシの仕業か。丹沢の黍殻山避難小屋前の草地が全て掘り起こされていたのを見たことがある。近年は磐梯山のスキー場ゲレンデも被害を受けている。そのパワー恐るべし。うまく使えば田起ししなくて済むかもな。

全コースで野ウサギの足跡や糞を目にしたのは一度だけ。雪が消えるのが早い地域だから冬毛のウサギが敬遠するのであろうかと思っていたのだが、病気の流行で生息数が激減したらしい。昔は人里近くで見かける動物といえば野ウサギが代表格だったのだが、入れ替わりにクマ、サル、ハクビシン、イノシシが人の居住地域を闊歩するようになった。困ったものだな。

山野・史跡探訪の備忘録