矢沢 (堰堤下流部、2018年8月)

年月日: 2018年8月13日(月)

矢沢取水堰管理道入口 〜 砂防堰堤 〜 11時前に車に帰着

今年は酷暑に加えて渇水続きで一度もアユ釣りせぬうちに8月に入ってしまった。8日に台風13号がもたらした降雨でようやく釣りができそうな気配になり、盆の連休に帰省するついでにアユ釣りしようと11日(土)にいそいそと仕掛けを準備した。ところが、11日に栃木県で激しい雷雨があって増水してしまい、またしてもアユ釣りはお預け。年券購入したのに一度もアユ釣りせずにシーズンが終わってしまうかもしれない。

13日の栃木や福島に出されている天気予報は冴えないが、午前中はなんとか天気が持ちそう。酷暑の中の山歩きは体質的に向かないので、軽く渓流釣りすることにして12日にフライを準備した。11日に降雨したばかりだから普段水量少なめの場所が良いであろうと考え、矢沢の取水堰管理道入口から右岸支流合流点下にある堰堤まで釣り上がる計画である(本来の矢沢は矢沢の滝で遊ぶことなど不可能な程の水量があるはずだが、取水堰で深山湖に導水されているために渇水時には取水堰より下流で一旦水流が途切れる。このため、矢沢の滝を流れる水は主に取水堰よりも下流で合流する右岸支沢によってもたらされている。)。

12日夜にさいたまを出発し、幸乃湯よりも奥で車中泊地を物色。候補地は幾つもあったのだが、新月で真っ暗のため灯りを消すと何も見えず、真っ暗な森の傍はちと不気味。できるだけ蚊が少なそうで静かでかつ舗装された広い場所として木ノ俣地蔵入口の駐車場を車中泊地とした。夜間は飛ばし屋の車が1台往復しただけで静か。3時間程度仮眠できた。

早朝、矢沢取水堰管道入口近くの広い路肩には既に一台の車が有った。これだけ気合が入っているのであればおそらく取水堰以遠に向かったことであろう。好々。出発の支度をしているともう一台ご到着。彼は小生が取水堰まで行かないことを確認して先に出発していった。

予想通り、堰堤下流部はドライフライを投げるのに適水勢。しかし、普段から多くの釣り人が歩いているせいか魚がいない。フライへの反応はたった一度だけ(ヒットせず。)。姿を見たのも一度だけ。釣れるような気が全くしないが、2か月振りの野外活動で気分は上々。早朝は青空が広がり、開けた渓流の雰囲気良し。

中間地点からナメ床が現れる。

画像


標高680m辺りで木ノ俣川の標高880m辺りと同様のモザイク模様を見ることができる。凹凸が無いので単なる礫岩ではない。種類の異なる大小の礫が混じった凝灰岩が変性して生じた岩石のように見えるのだが、真相は如何に?

画像
ナメのモザイク模様


結局釣果ゼロのまま遡行最終地点である滝まで来てしまった。

画像
堰堤手前の滝(名前不明、高さ6m程度か)


この滝は右岸の取水堰管理道から見下ろせる位置に在り、初めて矢沢を訪れた時からその存在を認識していた。滝の水流が溝に流れ込むため、下流から見ると滝本体が屏風で隠されているような構図となる。

男鹿山地は地質的に泥質の土壌を生じにくいため、流れ出るいずれの沢も水がきれいだ。水質は同じでも河床の岩の色によって異なる色に見える。岩が灰青色の大蛇尾川はブルー、赤茶けた白っぽい色の岩石が多い矢沢ではグリーン、その中間に在る木ノ俣川では岩石の特徴が大蛇尾川ほど明瞭ではないため川の色の印象が薄い。

画像
堰堤手前の滝(右側から)


階段状の岩を登って溝の中へ入ると滝本体の落水を見ることができる。矢沢本来の水流であれば入り込むことはできないかもしれない。

画像
溝の奥から見るとこうなる。


溝の奥のホールドを利用して簡単に越えられる。滝上に頭を出すと無粋な堰堤が出現して遡行終了。

画像
右岸支流合流点直下の堰堤


日当たりの良い乾いたナメ床で着替えてから右岸の取水堰管理道に上がった。繰り返し此処に来る者が居るみたいで、右岸側にトラロープが結わえてある。

さて、時間がたっぷり余っているのでこのまま帰るのはもったいない。何かめぼしい植物でもないかと思って15年振りに矢沢水系のある場所を探索。すると、意外にもお魚さんを発見してしまった。大小2匹いて、ライズも見られる。後方に障害物が無くてフライフィッシングにはおあつらえ向きの場所だ。試さぬ手は無い。一匹お顔拝見すべく、再び釣り道具を準備。

残念ながら反応してくれたのは小さい方だった。3年振りにきれいなイワナの姿を見ることができて満足。今年の渓流釣りはこれでおしまい。

画像


林道を戻る間に山に雲がかかり、車に戻った頃には霧のような細かい雨粒がふんわりと落ちてくる状態であった。取水堰奥に行ったはずの釣り人が先に戻っていた。おそらく上流では全く釣りにならかったのではなかろうか。

山野・史跡探訪の備忘録