吾妻山・大倉川再訪 (2018年10月)

年月日: 2018年10月13日(土)

新大倉川橋出発(時刻不明、9時半頃か)〜Badlands 入口・標高約1,060m で折り返し(時刻不明)〜茱萸採りしながら帰着(時刻不明、16時半頃)

今年もなんとか仕事のスケジュールを調整して3日休みを取得して帰省。前日のスカイバレーや裏磐梯の状況では紅葉期待の山歩きにはまだ時期尚早のようだ。冷気が溜まる渓谷沿いの紅葉を期待して、人がほとんど入り込まない大倉川を再訪してみた。

早朝は青空が覗いてお出かけ日和。普段の山歩きでは不要な装備(沢靴やアユタイツ)に気をとられ、登山靴、スマホ、そして母が用意してくれた昼飯も持たずに出かけてしまった。途中で忘れ物に気付いたのだが、川桁まで戻るのが面倒くさい。食料は明家のコンビニで調達し、林道歩きはカジュアルシューズで済ます。元々腕時計を所持しておらずコンデジの時刻機能も壊れているので時刻を知る手段が一切無いが、過去3度の遡行の経験に拠れば、比較的遡行し易い badlands 入口までの往復なら時間的に余裕があるはず。

参考記録: 2009/10/05 大倉川・大滝訪問

途中のゲートまで車で行けなくはないのだが、レンタカーに傷つけたくないので新大倉川橋袂の空き地に車を置いて歩いて行く。林道終点まで道横の藪が刈り払いされており、終点に軽トラックが一台停めてあった。野生キノコのモニタリング調査のため、キノコ採取を委託された人が入り込んでいるのだ。なるほど、6月に来たときに道が整備されていたのは筍のモニタリングが行われていたためなのかもしれない。

入川地点で着替えを済ましていざ遡行開始する頃には吾妻山上空が曇ってしまった。どうも大倉川とは相性が悪くて、すっきりとした青空の下で遡行したことがない。曇り空では紅葉が映えないのでいまひとつ意気が上がらない。カエデの葉はまだ色付いておらず、部分的に色が付いた葉をたまに見るのみ。葉を裏側から透かして見るとそれなりに面白いが、表から見るとじつにみすぼらしい。


入川して最初に左岸に渡渉した際、渡渉点のすぐ上流側の右岸の林でゴソゴソとキノコを探す2名の男性を発見。

遡行4回目なのでだいぶ大倉川の遡行のコツがつかめてきた。入川地点・標高965mから1,015mまでクネクネ蛇行する区間を、渡渉と増水時のみ水が流れる涸れ床利用のショートカットを6回繰り返して順調に6月時退却地点に到達。

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標高1,015m地点から見る直進区間


初めて遡行したときは馬鹿正直に沢中を遡行したように記憶している。つまらない直進区間は左岸の林の中を進むと楽。標高約1,025mで、1,262mポイント東の山域を水源とする支流が滝を懸ける。

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左岸支流の滝@


この沢の標高1,150m前後に小さな滝が存在するかもしれない。遡行可能であれば蒲谷地に抜けて戻ってくるのも面白そうである。

左岸の林を上流側に進むと藪中に浅い水の流れが在り、立ち位置が悪くてよく見えないが何かが驚いて反応する。しかもたくさん。最初はカエルかサンショウウオかと思ったのだが、動きが早いのでおそらくイワナだろう。帰りにじっくり観察することにする。この水流を辿ると美しい滝が現れた。顕著な谷型を持たないので湧水起源かもしれない。

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左岸支流の滝A(動画)


左岸の林の中に増水時に水が流れる浅い溝が在り、その横に薄い踏み跡らしきものを拾える。徐々に段差の大きな涸れ床となり、標高1,050mで平坦な左岸林が途絶え、右岸への渡渉を要する。

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この辺りは特に左岸側にカツラの大木が数多く存在する。


再び左岸に渡渉。標高1,060m辺りの左岸にはカツラ大木が林立。

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カツラの林


標高1,060m前後の左岸林は下流の左岸林よりも鬱蒼としている。この区間に支流の滝はなく、水流跡や踏み跡らしきものを辿るだけ。地形図の等高線の幅を信ずる限りでは上方に抜けられそうな場所があるので、獣が行き来しているはず。その証拠に2か所ででかい熊糞を見た。

左岸林の北端に在る折り返し予定地( Badlands 入口)に到着。既に脚に疲労感有り。出発前にはあわよくば大滝に再訪しようかなどと考えていたのだが、この先に嫌らしい場所が連続するのを知っているだけに、大岩ゴロゴロの光景を見たらそんな気は失せた。時刻を知る手段も地形図も持たないし、深入りしたら体力的・時間的に戻ってこれない可能性大。大滝に危険を冒してまで再訪する価値はない。あっさり退却決定。

badlands 入口
左岸の紅葉


帰りに晴れてくれることを期待していたのだが、完全に曇って日差しがなくなり、寒いし、紅葉も映えない。


食えそうなキノコは全く見かけなかった。

ナラタケ
ナラタケ


往路で発見したイワナ達を観察。最上流のペアの雌が時々体を平打ちして産卵床を造成中。放精の機会を待ち構えている雄は一旦ビューンと下って場を離れて戻る行為を繰り返している。期待が裏切られるたびに「またかよ!もう!」「こんどこそ!」って感じで、イワナの気持ちが伝わってくるみたいで見ていて飽きない。数m下流では別の2匹が仲良いのか悪いのかよく分からない行動を繰り返していた。それがこれ。

産卵期のイワナ(動画)

アクシデントなく時間に余裕を持って入川地点に復帰することができた。キノコ調査員は既に帰った後。この広大な谷に自分以外誰もいない。隣の中津川は今頃観光客で賑わっていることだろう。

往路で、ゲートより下流側の山側に人工的に造られたと思しき広大な平坦地があることに気づいていた。帰りに立ち寄ってみたのだが、だいぶ年月が経って藪化しているので深入りはせず。此処で茱萸(グミ)の木を見つけて面白半分で茱萸を採取。結構採れるので茱萸酒作ってみようかと思い、つい本気モード突入。大倉川沿いに茱萸の木がたくさんあり、道草しながらちょこちょこ拾い採り。紅葉は期待外れなるも、収穫多き一日であった。

山野・史跡探訪の備忘録