年月日: 2020年12月20日(日)
行程: 鳥居観音出発(07:30)~ 金毘羅神社跡(時刻不明) ~ 林道・西名栗線の峠(時刻不明) ~ 人見入橋(11:45) ~ 鳥居観音に帰着(12:40)
狩猟期間に入って藪に入る気はしないし、12月に入ってからは寒くてすっかり出不精となる。たまには体を動かそうと思い、12日に現住所から戸田公園まで往復してみたのだが、市街地の埼京線沿いをマスクなしでは歩けないし、荒川の土手はハアハアするランナーだらけで通勤電車よりコロナウィルスの密度が高そうで不快。気乗りはしないが、余計なことを気にせずに山歩きできる候補地を物色。特に見るべきものがない今の時期は普段やり残している優先度の低い関心事を片付けるのによい。11月に名栗で紅葉の見納めをしようと計画した際、Google のマップで林道・炭谷入線を調べているうちに地形図に記載のない貫通林道が存在することに気付いた(2011年に有間川流域を周回した時この林道を横切っており、自身の記録にも残しているのだが、記憶からすっかり抜け落ちていた。)。鳥居観音(http://www.toriikannon.org/index.html)を起点としてこの林道の正体を確かめてみる。。
20日は快晴の予報。名栗は気温マイナス3℃で、場所によって風が吹きつけてとても寒い。鳥居観音の駐車場には先客者なし。入山料¥200をポストに入れて遊歩道に入る。
ここの仁王像は風格がある。吽像も見事だがガラス越しで上手く撮影できない。
恩重堂(観音堂、昭和27年建立)を経て平和観音に至る。
平和観音は標高350mの尾根突端にあり展望台になっている。駐車地からちょうど100mの高さにあり、白雲山の敷地全体を把握できる。
救世大観音の向きに宗教上の意味はないように思える。救世大観音と平和観音は真正面に向き合うように設計されたのであろう。
開祖、平沼彌太郎が当初目指したのは母の遺志を継いで観音様のお堂を建てることであったようだが、没年が昭和60年とのことであるので、山上の構造物全て平沼彌太郎の意志によるものだろう。由緒を知るまでは怪しい宗教団体の類ではないかと思っていたのだが、実際に訪れてみると有名な神社仏閣につきもののいやらしさは全く感じない。元々実業界の大物であり参議院議員も一期務めた関係で、政財界の広いつながりがある開祖の純粋な観音信仰が原動力となって成されたことのようだ。
玄奘三蔵塔から金毘羅神社跡に上がることもできるようだ。救世大観音見学を優先して、車道を歩いてさらに北隣の尾根に移動。現在車で進めるのは玄奘三蔵塔までであり、その先は崖崩れのため車通行が禁止。谷奥部を横切る車道は未舗装でガードレールもないが、少なくとも救世大観音までの区間に危険個所は見当たらない。。
平和観音の建つ尾根から金毘羅神社跡に至る登山道入り口をパスして、白雲山の他の施設見学を優先。谷を登ってくる車道に合流して、北隣の尾根上にある大鐘楼を経由して玄奘三蔵塔へ。平沼彌太郎は日中親善に役立つと期待して玄奘三蔵塔を建立したようだが、宇宙まで支配せんと企む悪の権化のような今の中国共産党の独裁を見たら絶句するのではないかな。
白雲山は紅葉の名所で、例年「なぐり紅葉まつり」が催されるとのことだが、今年はコロナ対策で中止。既にほとんどのカエデが葉を落としているが、残滓からかろうじて紅葉の盛期の様子を窺い知る。
救世大観音は遠くからみるとパッとしないが、真下から見ると青空に白い姿が映えて美しい。
救世大観音の東を回り込む場所に工事用モノレールが上がってきている。ボーリング調査中と標示されていた。その先、少し下った尾根上に駐車場がある。崖崩れはおそらく現在地から駐車場に至るまでの区間のどこかであろう。駐車場に行けないから車の通行を禁止しているということだ。
救世大観音の尾根に金毘羅神社跡に向かう登山道はないが、勾配的には登れそうな気がする。
納経塔の裏手から先に道は無く、最初は枯れたワラビに被われた灌木藪。標高420mの小ピークまで余裕で登って行ける勾配だが、数年前に何故か尾根筋の樹木を伐採して放置してあり、倒れた樹木を躱しながら登っていく。小ピークから先は人為的なものか不明の踏み跡らしきものがあり、このまま登って行ける可能性が高まる。
粒径の小さなシカ糞が多数散らばっていた。遊歩道傍らの常緑の草本類の先っちょが食われているので、おそらく夜中に金毘羅山から白雲山境内にシカが降りてくるのであろう。尾根は局所的に岩が露出し、表土が乾燥して滑りやすい。尾根の平均勾配はさほどきつくはないが尾根両側の斜面は勾配きつく滑落しかねない。幸い行き詰まることなく上方の植林地内に入り、玄奘三蔵塔から上がってくる登山道に合流。
登ってくる間、風が強くてとても寒かった。もう帰りたい気分。たった340m登っただけではここまで来た意味がない。9年前に経験済みの尾根道を辿る。
尾根を歩き始めた直後、ハンター1名が下ってきた。秋葉大権現に至る前にハイカーらしき男性も下ってきた。まだ朝8時台なのに何で下り方向にハイカーが歩いてくるのか不思議。
標高730m台の平坦な丘陵の南側急勾配斜面をトラバースする区間が怖い。万が一堕ちたら助かるまい。道が狭い上に落ち葉に埋もれているので慎重に抜けた。安全な稜線部との標高差たった10m をケチってわざわざ怖ろしい場所を通らせる理由が判らん。
この直後に逆川沢側から炭谷入側に抜ける謎の未舗装林道(西名栗線)の峠に至る。車が2台あって、ハンターが1名待機していた。さきほど遇ったハンターの仲間だろう。この後発砲音を聞かなかったので狩猟の対象となる動物はいなかったようだ。
9年前と比較して1時間程度遅く進行しているし、有間山に行ったらさらに寒そう。尾根歩きはせずに炭谷入側に下る。
快適な未舗装林道歩きを想定していたのに、だんだん怪しい感じになってくる。昨年の台風19号が原因と思しき深い抉れが生じており、通行止めなんかしなくても誰も入り込まない状態になっている。
林道の崩壊と言えば普通は法面の崩れや路肩の消失なのに、この林道は路面の抉れ、特に法面側の抉れがひどい。
炭谷入は藤棚山(標高920.2m)を頭として両岸主稜から20本以上の谷が切れ込み、その面積の大部分が収穫作業を控える植林地である。林道・西名栗線は炭谷入奥部の標高600mから700mの範囲をなぞるため出入りが多い。傾斜のきつい場所に幅広の道を設けるには山肌を大きく削るか、路肩に大規模な土留めをこしらえて土砂で埋めるしかない。西名栗線は大規模な土留めを多用しており、未舗装で且つ排水の工夫がお粗末であるため大雨に対して極めて脆弱な造りだ。外環道トンネル工事の影響で地下水脈を通じて土砂が失われ地下に巨大な空間ができてしまうくらいだ。こんな粗悪林道は19号レベルの台風がくればひとたまりもない。
被害は特に炭谷入の右岸側に集中しており、オフロードバイクですら通過できない状況にある。林道が完全に崩落した場所があるが、幸いなことに簡単に巻くことができた。
林道・炭谷入線の接続点は谷から押し出された土砂で埋まっている。
炭谷入の左岸側を東進する区間に入って陽だまりを得て気分が楽になった。台風19号通過時の風雨の向きが原因しているらしく、総じて左岸側の荒れは少ない。
至近距離からヤマドリのつがいが飛び立った。飛び立たなければ保護色で気づかなかっただろう。
林道・炭谷入線は732mポイントの東側を巻いて上名栗側に回り込む。この辺りだけ部分的に舗装されている。
奥武蔵のスズタケ藪は健在のようだ。
北向き斜面の上名栗側は日陰で寒い。炭谷入右岸側ほどではないが林道崩落箇所あり。
藤棚山側に向けて登っていく支線在り。腰が痛いし寒いので下山を選択。谷筋に落ちていた透明な堅いつららをガリガリ。美味い。くねくねと高度を稼ぐ区間で、一度だけショートカット。
どこが西名栗線と人見入線の境目なのか気づかなかった。少なくとも人見入線は名栗森林組合の管理する民有林道であるらしい。ゲートが2か所在って、オフロードバイクでも入り込めないようになっている。植林された沢沿いの林道は暗く、光量が足りなくて瞳孔が開いて視力が落ちる。人見入橋を渡ってめでたく酷道を抜けた。林道歩きの間、誰一人遇わず。
昼になって少し気温が上がり、人見入橋から鳥居観音まで入間川(名栗川)沿いに約4.4km、快適な散策。
高麗川神社の駐車場で仮眠。川越の県道15号でお決まりの渋滞にはまるも、眠気を催すことなく帰宅。