吹上バス停 ~ 西尾根経由で鳴神山 ~ 座間峠 ~ 神戸駅(2021年11月)

年月日: 2021年11月14日(日)

行程: 織姫バス・吹上停留所出発(08:52)~ 鳴神山登山口(09:10) ~ (西尾根経由) ~ 鳴神山(11:15) ~ 椚田(くぬぎった *1)峠(11:30頃) ~ 鍋足沢の頭・1059mピーク(12:30) ~ 座間峠(13:51) ~ 未舗装林道支線終点・標高720m(14:20) ~ (林道小平座間線) ~ わたらせ渓谷鉄道・神戸駅(15:38)

*1  読みはハイトスさんの資料を参考にしました。

2年前の晩秋に桐生駅から鳴神山に行こうとして、尾てい骨打撲の後遺症と腸脛靭帯炎発症のため金沢峠で断念して名久木に下った。人気のルートなので再挑戦する気になれず、地形図見て面白そうなルートを探しているうちに座間峠なる地名を知った。座間峠に行くついでに未経験のわたらせ渓谷鉄道に乗ってみたい。狩猟解禁前の最後の機会となる14日に挑戦。

現住所から最も安い鉄道ルートでわたらせ渓谷鉄道の神戸駅に行くには、相老駅で東武線からの乗り換えとなる。しかし乗り換えの時間が2分しかない。わたらせ渓谷鉄道は切符を買う必要があるので、2分で乗り換えできるのか不安。よって、鳴神山から座間峠に抜けて、帰りにわたらせ渓谷鉄道を利用する。鳴神山登山口に近い吹上(終点)まで運行する織姫バスの川内線支線の始発が相老駅であり、出発時刻8:15まで8分の余裕があるので安心。

人気の山なのだから登山客の利用者が他にもいるだろうと思っていたが、乗客は終点まで自分独り。沿線に人家は多いが、人の姿を見たのは宝徳寺の近くだけ。寂しいものだな。吹上で降車する際、誤ってつり銭用の口に200円入れたら50円玉と10円玉が出てきた。大人200円、子供100円の固定料金だから釣銭要らぬはずなのに何で?

薄暗い谷沿いの登山道を辿るのは面白くないので、駒形登山口から尾根末端に取り付くつもりだった.。尾根末端には踏み跡があって取り付き易そう。しかし、登山口前で出発準備中のハイカーに不審に思われたくなかったので、しばらく谷沿いの登山道を進み、標高460mで地形図で破線路が示されている谷に入った。谷両側の傾斜はきついが植林されているくらいだから登れないことはない。標高520m辺りで予定の尾根上に抜けた。

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朝方は薄曇りでぱっとしないお天気。湿度が高くそよ風も吹いていないので50mも登ると発汗する。自家用車利用なら汗だくになっても気にならないが、今日は公共交通機関を利用して帰るのだし、新品のリュックを汗ぐちょにしたくない。まめに休んで熱冷まししながらゆっくり登って行った。尾根上には比較的明瞭な道がある。標高640mで尾根西側斜面が広葉樹林となり雰囲気がよろしい。

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地形図の荒地マークの場所はヒノキ植林になっている。踏み跡の様子ではこの尾根を利用して鳴神山に登る人は少なからずいるようだ。地形図上は危険個所の存在が読み取れないが、標高770m級ピーク東で最初の岩稜に至る。ここにはトラロープが設置されているが、頼らなくても通過は可能。その後も2か所でトラロープを見る。

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背景は鳴神山方面
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見事なヤドリギ


白いテープでぐるぐる巻きにされた樹木が目立つようになった。アカヤシオ保護のためとの説明があったが、アカヤシオが食害を受けた現場なんて今まで一度も見たことがない。シカ糞の一つも見ないこんな場所のアカヤシオに手間かける意味はないと思う。いくらきれいにアカヤシオが咲いていたところで幹がテープでぐるぐる巻きになっていたら幻滅する。

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標高870mの辺りから尾根幅が狭まり岩稜が多くなって怪しい雰囲気。反面、眺めは悪くない。すっきりとした青空が広がり、湿度も下がって心地よい。

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椚田峠方面(背後に見えるのは残間山らしい)


座間峠はあの山の方角にあるはず。現在までの所要時間、疲労度とこの先の行程を考えると、予定の行動には少し無理があるように思える。座間峠までのアップダウンの多い尾根歩きには魅力を感じない。でも、せっかく公共交通機関利用して来たのだから、できることなら座間峠から東町座間へ下ってみたい。市境界尾根まで行って、その時の気力・体力と相談することにする。

急峻な岩稜帯に入って少し緊張。岩場の上からの眺望が素晴らしい。これ見ただけでも来た甲斐があったな。

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西側(赤城山方面)


岩稜帯を抜けると椚田峠から上がってくる一般登山道に接続する。程なく鳴神山神社に到着。地味な場所だが、山上の神社特有の囲いがある。意外にもハイカーの姿無し(後で他者の記録をみたら、この場所の写真撮ってる人はいない。烏ヶ森の住人さんの記録に拠れば、一般に鳴神山山頂とされている場所は東峰(桐生岳)で、自分が到達したのは西峰(仁田山岳)らしい。人がいなかったのは当然か。)。

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鳴神山神社


椚田峠方面に下り始めてすぐに背後から熊避け鈴の音が響いてきた。トレランではないが快調なペースで健脚者と思われた。椚田峠の道標によると、座間峠まで所要時間3時間とのこと。遅くとも午後3時前には座間峠に着いて、明るさの残るうちに山から下りられそう。座間峠方面に踏み出してカエデ眺めているうちに健脚者が追い抜いていった。

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健脚者は稜線からはずれて西側にトラバースしていく。落ち葉に埋もれて判りにくいが、ちゃんと道があるのだ。直進しても問題は無いと思うが、彼の後に続いて道なりに進む。

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西側の比較的勾配の緩い尾根を登っていく区間の道筋が判然としない。適当に北に向かう稜線に抜けて東側の眺めが得られる場所で軽食休憩。先行した健脚者の鈴の音は既に聞こえない。どのくらい離れてしまったのだろうと思いながら稜線を北に進むと、彼は近くの973mポイントらしき場所で休憩していた。

「此処がxxxという所なんですか?」と問われたが、自分は地形図しか持っていないので判らない。彼はここから引き返すとのこと。

973mポイントから先に踏み出してしばらくして、彼が追い付いてきた。何処から入山したのか確認しなかったが、渋川市在住の方。北に向かう人(小生)がいるので、良い機会だからもう少し先まで行ってみるとのこと。山中で遇った方とご一緒するのは、2004年の袈裟丸山以来だ。パワーが出なくて登りでチンタラしている自分にペースを合せていただきました。

彼は時々、(スマホか専用のツールか確認しなかったが)ツールで現在位置を確認している。時刻や標高を読み上げる音声機能付き。鳴神山と1,059mピークの中間に位置する1000m級ピークに正午過ぎに到着したことを知る。便利なものだ。YAMAPのアプリのような便利なツールがあることは承知している。でも、元々、本能に任せて野生動物のように行動したいという欲求が自分の山歩きの原点だ。時々致命的にならない程度の過ちを犯すことはあっても、地形・方位・高度を確認しながら己の目と勘で現在位置や進路を判断するところに面白みを感じているので、今後も電子機器のツールに頼ることはないと思う。

退屈なアップダウンを経て、ようやく1,059mピーク(鍋足沢の頭)到着。この先は彼のツールに入っている登山地図の範囲外とのこと。ここから引き返す彼と別れて先に踏み出す。

事前に地形図見てルートを検討したとき、山腹から派生する市境界尾根に入るルートが嫌らしく思えた。市境界線に沿って下るのは気に入らない。1,059mピークから真っすぐ北に下ればよいのだが、北側斜面が植林されており下方の市境界尾根を見通せない。山頂から東に踏み出してもう少し勾配の緩い場所を下るのが安全と判断。しかし、進んだ方角に道は見当たらないし、地形図と方角頼りで連絡尾根に直進しようにも勾配がきつくて躊躇してしまう。現在位置【36.512304N,139.360993E】とほぼ同じ高さの市境界尾根を視認できたので、植林された谷を渡って市境界尾根に移動。目論見通りではあるのだが、今一つスマートさに欠ける。本日最初のミスとしておこう。

1,059m ピークから先の尾根は歩きやすいが踏み跡は薄い。道標は朽ち倒れ、ポツポツとテープがついているだけ。林道小平座間線を走る車の音が聞こえる。桐生市側斜面は比較的勾配が緩く植林されている場所が多い。急峻なみどり市側は落葉した樹木の梢越しに草木湖が見えるので、1,059m南の尾根に較べると雰囲気がよろしい。予想より早く座間峠に行ける見通しが立って不安感も薄れた。1,059mピークまでややハイペースであったけれども体の調子は良い。

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949mポイント東の岩稜帯を抜け、1000m級ピークに向けて実質的に本日最後の登りに入る。鞍部からたかだか70m程度の登りなのに、進行方向左に続く市境界尾根が壁のように見える。

座間峠に近づいているという安心感で油断し、手に持っていた地形図を確認することなく広くなだらか1000m級ピークを漫然と進んでしまった。道が消えて藪尾根となり谷に下っていく。本日2度目のミス【36.516138N,139.377751E】。左側に見えているのが本来進むべき尾根だ。少し登り直してなだらかな斜面を横切って本来の道に復帰。

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14時前に座間峠到着。明るいうちに下山するための時間を確保できた。一時は弱気になって計画放棄も考えたのに、ここまで順調に来れたのは健脚の彼とご一緒したおかげ。ありがとうございました。

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峠道は明瞭で歩きやすい。峠から山腹を横切って下りの尾根に入る区間は地形図記載通り。トラバース道は勾配が変化する場所に沿って設けられることが多く、此処も蛇尾川ダム沿いの道みたいに足元に急勾配斜面を見下ろしながら進む。

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座間峠から斜面を横切って尾根に入る


尾根西側斜面に陽光が射して美しい。

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標高850mの辺りであったと思うが、樹木が伐採されて眺めの良い場所がある。

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764mポイント下のトラバース道を怖々進んで標高720mの辺りで稜線に復帰すると、そこには地形図記載のない未舗装林道が延びてきている【36.528474N,139.373773E】。峠道の続きの案内は無い。林道と反対の方向にテープが付いていたような気がするが、林道が峠道の続きであると思い込み、手に持っていた地形図確認せずに林道を下ってしまった。本日3度目のミス。

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林道支線の終点


未舗装の林道は標高700m級の尾根のど真ん中を貫いている。こいつは林道小平座間線の支線が延長されたものらしい。この時点で峠道を外したことには気付いたが、トラバース区間の多そうな峠道より安全な林道支線を下る方を選択。

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標高700m


下の方は道がやや荒れて砕石で歩きにくい状態だが順調に林道小平座間線に抜けた。標高450mで緩やかな植林地を下って谷沿いの舗装路にショートカット。なんと降り立った場所で道横の山肌に差し込まれたパイプからきれいな水が勢いよく吹き出ている。これは好都合。駅で着替えできないかもしれないので、誰もいないこの場所で着替えして駅に向かおう。気温が低いから平地を歩く分には汗をかくまい。汗ぐっしょりのリュックは手にぶら下げていく。

渡良瀬川の橋を渡ったところで親子3人が前を歩いていた。会話の様子では彼らも神戸駅に向かうらしい。お父さんが子供に「3時40分の列車に間に合わないぞ。がんばれ。」と言うのを聞いて、時間的に余裕がないことを悟る。少し列車が遅れていたこともあって、切符を買う余裕あり。

この付近にどんな見所があるのか、神戸駅には予想より多くの人が帰りの列車待ちをしていた。山で着替えを済ましたのは正解だったな。満員ではなく余裕で立ち乗りできる程度の混み具合。換気していないのがちょっとね。だだをこねる小さな子供や大声で談笑する鉄道愛好家らしきグループがいてやかましい。皆マスク着用してはいるものの、コロナ禍なんて存在しなかったかの如きはじけっぷり。相老駅で東武線に乗り換えて順調に帰宅。

山野・史跡探訪の備忘録