勢至堂峠 〜 馬入峠(後半)

年月日: 2016年5月6日(金)

行程: 菅川左俣沿い林道の分岐・標高660m付近出発(09:30)〜標高700m付近で尾根取り付き〜994mピーク(10:35)〜990mピーク(11:02)〜992mピーク近く(11:53)〜994mピーク(12:23)〜940mピーク(13:04)〜馬入峠(13:30)〜隠津島神社参拝〜帰着(14:36)

この春の連休は今一つさえない天気が予想されていた。連休に入ってみると、快晴とまではいかなくても毎日青空が望める時間帯が得られて、短時間の山遊びをするぶんにはよい連休であった。6日は午後2時頃までは天気が持つようなので、勢至堂峠〜馬入峠の残りの区間を歩く。

縮尺を小さくして地形図を見ると、猪苗代湖岸から真南の高井原山を経て南の分水嶺まで尾根が連なり、小屋川と菅川がそれぞれ高井原山の東西を並行して猪苗代湖に向かって流れる。たとえ美しい景色が望めないとしてもこのような対称的な地形には探訪意欲をそそられる。勢至堂峠〜馬入峠を2分割して歩くにも好都合。今回は菅川の左俣(正式名称知らず)の奥から前回到達した994mピークの北西尾根に上がることにする。

馬入新田を経て隠津島神社方面に向かう。大鳥居を過ぎてから隠津島神社に至るまでの道路の様子が以前の記憶にある姿と違う。新しく付け替えられた広い道路をスイスイ走って、つい左俣の林道入り口を通り過ぎた。どうやら大きな砂防堰堤ができたようで、おそらく林道は堰堤で行き止まりであろう。隠津島神社の手前から下り気味に左俣の奥に向かう新しい未舗装林道に入り、旧道との出合に車を置いた。

標高700m辺りから林道は荒れ気味となる。取り付き易いところから雑木斜面を約70m登って小屋川との境界尾根に上がった。小屋川側が植林になっており尾根上は歩き易い。イノシシが稜線部を穿り返した痕だらけ。標高790mで小屋川側から未舗装林道が上がってきていた。994mピークの中腹を横切る林道がここまで延伸されているらしい。

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小屋川から上がってくる未舗装林道の終点


尾根直下を林道が並進する区間は日当たりが良く藪化してやや歩きにくい。稜線の笹が刈られて黄色いプラスチックの杭が点々と続く。順調に994mピーク到着。後半部の尾根歩き開始。

994mピーク北東斜面
994mピーク再訪


郡山市と須賀川市の境界線の方向はチシマザサの薄い藪。目印となるものは無いので方位だけ確かめて進む。すぐに30m程度急傾斜の下りとなる。掴まるものがあって下りるのに支障なし。

稜線部は雪庇が形成されるらしくチマザサ藪が濃い。福島県と栃木県の県境と同じ要領で、北側に少し逸れた場所を移動する。たいていは獣道を追うことが可能だ。980m級の郡山市・須賀川市・天栄村の三方境界ピーク西側に薙があって、北東鞍部からの眺めがよろしい。

鬼面山
須賀川市方面


三方境界ピークは直下のアスナロ藪を回避すべく頂上をパスして西側へ抜けた。

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三方境界ピーク直下のアスナロ藪


三方境界ピークの西も南も丈2m以上のチシマザサ藪が続く。鬼面山のような雰囲気を期待してきたので少しがっかり。996mピーク方面に続くうっすらとした獣道があるので、一旦は996mピークまで往復しようかと思ったものの、先の見えない藪漕ぎで往復するのはつまらないし、曇り空の下では気分が乗らないので中止。

たまには雰囲気の良い場所も在る。

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方位を確認しながら、境界から天栄村側に伸びている平坦な尾根2本に惑わされることなく進行。真面目に地形図見て藪歩きするのは久しぶり。

982mピークの東方にある標高840m級のなだらかなピークで南西から西に進行方向を変える。この辺りのチシマザサ藪が最も濃く、稜線部のような獣道も拾えない。このピークは北西斜面を横切れば楽に通過できたのであろうが、それでは境界尾根の探査にならんとポジティブ思考で藪漕ぎ続行。

982mピーク北の肩への登りも藪が濃く倦怠感が増す。982mピークに行こうという意欲は全く湧かず。何本か既に姫筍が出ていた。

稜線は丈2mを超えるチシマザサ藪の連続

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982mピーク北の肩から北西に下る区間は概ね快適。994mピーク東南東鞍部はどちらも植林になっている。994mピークへの登りは最初は藪無し。900mを超えると境界線上にチシマザサが現れる。これを回避して南斜面に回り込んでみたものの、頂上部は全てチシマザサ藪に覆われている。眺望は得られない。東の994mピークの樹木がブナ主体であるのに対し、西の994mピークの樹木はミズナラが主体だ。

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もう一つの994mピーク山頂


昼食休憩してから方位を確認して下り開始。標高930m辺りの天栄村側斜面に茅野があって、すこぶる眺めがよろしい。あの山越えれば目的地の馬入峠か。

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もう一つの994mピークの西側斜面茅野から見る馬入峠方面(遠くに見えるは那須)


994mピーク西の鞍部はガレているため、植生に特徴がある。

ヤブレガサ群落
ワサビの花芽は晩酌のつまみによい。
          


鞍部のガレは西側ピークの斜面が浸食崩落してできたもの。地形図より傾斜がきつく感じる。単純な藪ではないのでちょっとしたアクセント的存在だ。

もう山歩きが終わった気分になって、地形図をポケットにしまいこんで適当に稜線を進行。

トウゴクミツバツツジ
ムラサキヤシオ


稜線上の岩場をクリアしてから左手に現在地より高い尾根が見えた。まっすぐ進んで勾配のきつい尾根を下ってしまっていた。進路を誤ったおかげでツツジを愛でることができたということか。斜面を横切って境界尾根に復帰。

標高900m以下で勾配が緩やかになりカラマツの植林斜面となる。最近、下生えの雑木が刈り払われたばかりでデブリだらけの尾根は極めて歩きにくい。県道235号線が見えてきた。県道は峠に向けて登っていくので進むべき尾根を誤ったことを知る。またまた斜面を横切って方向修正。最後に気が緩む悪いクセは直らんな。

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馬入峠


峠の西側には上杉が徳川の会津攻めに備えて築いた堡塁跡があり、以前訪ねたことがある。東側にもあるのではと期待していたのだが、境界線上にはそれらしき跡を見ない。南側に出張った尾根上に何かあるのかもしれない。

県道235号線は工事中で通行止めの表示があったが、たまにバイクや車が走ってくるので通行に支障はないらしい。峠から隠津島神社までの区間は道が狭いため車で通ると嫌らしい感じだが、歩く分には快適。

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隠津島神社に参拝。由緒の説明に拠ると、「宗像大社より勧請し隠津島神社の号を復した。」「隠津島神社は総じて宗像三社(奥津宮、中津宮、辺津宮)に擬しており・・・」とある。宗像大社の場合は島だから奥津宮ではなく沖津宮である。隠は沖にちなんだ名前のようだ。現在の隠津島神社は中津宮、昨年訪ねた元唐沢の菅神社は辺津宮の位置づけである。

参考@ 布引山、隠津島神社、馬入峠

参考A 菅神社

隠津島神社の周辺だけ原生の森が維持されており巨木が目立つ。今回歩いた範囲でこのような巨木が残されている場所は存在しない。すべて何らかの形で人間が手を加えた過去があるということだろう。

山野・史跡探訪の備忘録